すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

起こりにくいこととの付き合い

2011年07月11日 | 読書
 ちょっと面白い本を読んでいる。

 帯には「小学生から読める大学用テキスト誕生!」と記されている。

 第一章は「ゆうれいの顔はなぜこわいか」。

 この本の際立つ特徴は、本の左上角にいわゆる「美人画」が全ての奇数ページに配置されていることである。パラパラまんが風にページをめくると、その美人画が幽霊画になるという仕組みである。

 モーフィングという手法らしいが、筆者はこの章で「分析と直感」について語っている。小学生から読めると銘うつだけあり、実にわかりやすい文体で、しかも結構本質的なところをついてくる。

 直感が働かないと、分析に進むことができないのです。
 分析は方法を勉強すれば、身に付けることができます。ですが、直感を身に付けるには、たくさんの経験がいります。


 第二章はまた別の面で興味深い。

 「データのばらつきを知る」と題された内容は数量化、数値化について語っている。
 数値化…たとえば評価などの問題で常に念頭にあることだが、常に念頭にあるのは、何のための数値化か、ということである。確かに数値でなければ見えないことは多く、推進しようという立場にあるが、時々振り返り確かめないと、どうも一人歩きするのがこの数値化という奴だ。

 この本の「正規分布」に関することが興味深い。
 正規分布による表し方はよく見るわけだが、その意味づけとはいったいなんだろう。
 正規分布に近いとは何を表すことなのか。
 正規分布の何を見て、何に結びつけるというのか。

 シンプルなゆえに、深く納得してしまう文章に出会う。

 大切なのは、起こりにくいけれども起こること…正規分布でいうすそ野の5%に入る出来事と、どう付き合うかなのです。

 その付き合い方は、言うまでもなく二通りしかない。

 あっさり言うと、無視か徹底か。
 現実はそんなに簡単に割り切れるものではないだろうと、例えば子どもたちへの指導を考えたりする。

 そうしながら、正規分布の5%どころではない、「めったにないけれど、起こるかもしれないこと」と、今私たち日本人は向き合っているという現実にも思いが及ぶ。