すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

季節を越してしまった本たち

2011年07月23日 | 読書
 春以来、いつも手元にあったり鞄の中にあったりしながら、実際あまり読み進めていない本がいくつかある。


 『悪いのは子どもではない』(公文 公 くもん出版)

 「公文式教育法81のポイント」という副題がついているこの本は発刊されてから十数年経つものである。

  わが子に対して「ちょうど」の内容を、学習させることがいかに大切か

 この一言に思想が表れているだろう。
 それは当然のことでもあるし、それだけではいけないとも思う。
 それは学習塾の理念でもあり、学校教育が歩む理想の過程とは少し異なるものと思う。

 それにしても今読んで、指導上のヒントになることが結構あることに感心してしまった。
 同じような指導をしている学校教育の実践者も多く、影響があったとみるか共通性があつたとみるか、興味深い。


 『学級経営 10の原理 100の原則』(堀 裕嗣 学事出版)

 ああ中学の先生もここまで細かくやるんだあ、さすが堀先生!というのが最初の印象。
 そしてだんだん、堀先生ならではのこだわりの視点が見えてくる。
 無理やり三つで括れば、「即時にこだわる」「微細にこだわる」「大局にこだわる」というところか。

 主たる読者層のイメージがあったと思うが、様々なレベルでとらえることができそうだし、一つ一つの項目は掘ればもっともっと広がっていくだろうなと、そんなふうに眺めた自分だった(読み込んでいくと時間がかかることは自明だ)。


 『当世病気道楽』(別役実 三省堂)

 「病気の時代」という序章があり、第1章の「風邪」に始まり34章の「痔」まで、独特の言い回しで語られている本である。なかなか読み進められていない。
 現在のところ7章「不眠症」である。それはこんな書き出しだ。

 「切らずに治る不眠症」が隠れたベストセラーになっている。

 こういうアイロニーのような表現は引き付けられる。同じ脚本家である宮沢章夫にもそうした要素があるように思うし、やはり自分にはそうした傾向(どうした傾向?)があるのかと密かに思う。

 最後が「痔」で終わっているところも大気に入りだ。途中を読み飛ばしてそこにたどりつくと、「痔道楽」という言葉が…。まさにそのとおり、演劇にありそうな設定だ。

 夏休みもちんたらちんたら読む一冊になると思う。