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桜と絵本と豆乳と

勝負を意識できる教師

2012年08月19日 | 雑記帳
 放映日からひと月が過ぎ,今さらという感じではあるが,NHKプロフェショナル仕事の流儀で九州の菊池省三先生が取り上げられた回を観た。
 http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0716/index.html

 私の記憶だと,この番組で取り上げられた学校教育関係者は中学校教諭が二人いたような…小学校はおそらく初めてではなかったか。

 直接の面識はないが,菊池先生は「コミュニケーション教育」(これも大がかりな言葉だが)で著名な方である。
 しかし番組の取り上げ方は「学級崩壊の立て直し」という形容であり,もちろん事実には違いないにしても,その辺りはマスメディアらしいと感じた。

 小学校に勤める者の目から見れば,画面に映し出された教師の動きはごくごく一部であることは明らかである。
 映し出されない場でどんなことが行われているのか,それをどれだけ想像できるか,これも教師の資質と言えるのではないか。

 ともあれ,取り上げられたなかでまず目をひかれたのは,「成長ノート」である。
 今風に言えば,この言語活動がまさしく成長を支えている面が大きいと思う。毎日子どもに綴らせている人は多いだろうが,そこにどの程度関わり,認めるという行為を続けていけるか。
 「休日に10時間かけて返事を書く」という姿勢はなかなか真似できないし,やはりそこから伝わるものの大きさを見る。

 番組後半は,運動会の応援団指導が主に構成されていた。六年生男子の意気込み,落胆,迷い,立ち直り…がコンパクトにまとめられた筋だった。この指導場面では,いわば「壁になる教師」が描かれる。

 日常の学校現場にもありがちな問題ではある。とはいえ今自信を持って「壁」になれる教師がどれだけいるだろうか,などということを考えさせられた。
 逃げ道を考える子どもを許してばかりいると,結局は狭い道でしか生きていくことができない。
 教師がそこに立ち塞がることは,以前ほど簡単にはできなくなってきているが,その意義は大きい。

 「未来をつかむ,勝負の教室」と名付けられた回である。

 なるほど,確かに教室は毎日勝負であふれている。
 それがどんな勝負なのか意識できている教師は強い。