すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

如月新書乱読記

2017年02月12日 | 読書
 小説読みが続いたので、箸休め?として新書乱読記である。


2017読了13
『自律神経を整える「あきらめる」健康法』(小林弘幸  角川oneテーマ21)

 中味はよくある健康本と変わり映えしない。自律神経とくればストレスだから、「あきらめる」ことは容易に思いつく。だから、様々なことをあきらめなさいと言っているに過ぎない。しかしそう思いつつあきらめられないのが普通の人間。だから価値があるとすれば、あきらめる「コツ」「技術」…それらに注目した。

 まず「呼吸」…これは多くの類書にある。次に「動作」…速度を緩やかにし、息と連動させる。さらに「あきらめリスト」…やりたいリストと正反対の思考、あり得るだろう。そして一番興味深いのは「文字を丁寧に書く」…キーボード生活は、あきらめる生活とは結びつかないか。難しいなあ。あきらめようか…何を?


2017読了14
『アホの壁』(筒井康隆  新潮新書)

 『バカの壁』の読者は多いはずだが、これはどのくらい読まれただろうか。私自身、2011年発刊のこの著の存在すら知らなかった。しかし、なんと言っても我が少年期の読書を支えたこの筆者。面白くないはずがない。この壁は、コミュニケーション阻害の壁ではなく、「良識とアホの間にたちはだかる壁」であった。

 前半は「いわゆる俗流科学」に基づいた、アホな言動についての心理分析が多い。個人的に気に入ったのは「焦点的自殺」という考え。怪我やある種の病気、肉体に関する性癖などは一種の自己破壊であると考えると、妙に納得がいく。国家のアホな行為については「同種既存の本能」という興味深い結論を導き出した。



2017読了15
『装丁問答』(長友啓典  朝日新書)

 本の装丁は、魅力に溢れている。素人が考えるほど安易な仕事ではないと承知している。また、電子書籍の普及などでその意味が変化していることも少し残念だ。結局、こうした編集に関わる仕事が徐々に分業化、システム化が進んでいることを痛感する。その傾向がいろんな仕事に波及している現実を考えてしまう。

 長い間、業界の第一人者として、デザインの仕事を楽しがり面白がってきた著者が、多くの装丁を紹介しながら、本の愛し方について述べている。なにしろ本の「ジャケ買い」をする人なのだから。「ジャケ買い」という言葉は世代的にレコードの頃と重なり、いくつかのLPジャケットが思い浮かぶ。いつか書きたい。