すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

空はつながっているけれど

2018年09月03日 | 読書
 連想ゲームで、「中国」と言われたらまず何と答えるか。北京、上海等の都市名か。メイドインチャイナという語も頻度は多い。「中国人」だと「大声」とすぐ浮かぶ。知っていることも多いがやはり近くて遠い国という印象は、変わらない気がする。我が国の現実に中国が関わっていることも、どうもぼんやりしている。



2018読了85
 『これであなたも中国通』(邱 永漢  光文社)


 5年前発刊の中古本だけれど、この著者なら本質的なことをずばりと著していそうだと考えた。結局、あまり知識がないので判断できないが、日本との比較において頷くことは多かった。中国を知る上でのキーワードを拾ってみると、一つは間違いなく「」だ。これは問題ないだろう。次には「」だろう。中国の発展はその政治体制の変遷によって語られる。その時、家族の在りかたは根本問題だった。もう一つは「」。俗にいう中華思想は優越感だが、著者は「中庸」という考えだ。その点が興味深い。


2018読了86
 『残虐の大地  私が生まれ育った中国は、なぜここまで恐ろしい国になったのか』(李 真実  扶桑社)


 最近ここまで読むのが辛くなる本はなかった。題名からある程度予想はつくが、その内容は遥かに想像を超えていた。著者は元中国共産党幹部、2008年に日本に帰化している。自分が共産党員として昇進していくなかで感じていた懐疑が、日本への留学によって決定的となり、生まれ育った祖国の実情を暴露している。「すべてが真実であり、真相です」と著者は奮然と言い切る。一般的に大きく報道されていない弾圧、迫害、虐殺等をどう受け止めればいいのか、少し戸惑う。「闇」はどの国にもあるだろうが、規模が違う。


2018読了87
 『中国の大問題』(丹羽宇一郎 PHP新書)

 この新書の趣旨は「はじめに」の副題にある。つまり「驕る中国に目を凝らせ」。「世界の工場」から「世界の市場」へその姿を変えつつある巨大な隣国との関わりぬきに、日本の将来は考えられない。民間人として初の中国大使となった著者は、在任中もそして現在もかなり冷静にかつ前向きに、この大国を見つめている。人口、経済、地方、少数民族、安全保障など広範囲の「大問題」は、実はそっくり日本にはね返る大問題でもある。そういう心積もりを読み手に促す。我が国の「教育」と「秘密保護法」を取り上げた結びは象徴的だ。