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独り横綱シンギ委員会

2018年09月26日 | 雑記帳
 大相撲秋場所回顧。今回は冒頭3日と最終盤の2日を、生中継で観ることができなかった。横綱、大関が勢ぞろいし、前半戦は取りこぼしも少なかった、いわば順調、順当な場所で見応えがあった。しかしそれはここ数場所の異状さを物語っていることでもあり、収まれば結局白鵬の優勝か、となるのも情けない話だ。


 他の力士と何が違うか。それは危ない勝負をもぎ取った身体能力の高さも見事だが、立ち合いの駆け引きに象徴される精神力と言えるだろう。ファンの期待と願望を背負った稀勢の里と御嶽海両力士だけでなく、大関陣など甘さの見える取組と比較すると、その差は歴然である。自分自身をコントロールする力が違う。



 ただ「正々堂々」を欠くような印象を持ってしまうのは私だけではないようだ。それは、横綱であればどのように相手が来ても受けとめる気構えと力量を示すべきという考えがあるからだろう。勝負として現実的に難しいことだが、そんな横綱像を抱く人は少なくない。それが相撲の魅力でもある特殊性とは言えないか。


 復活を期した稀勢の里の評価は分かれる所だが、実はその「魅力」は十分発揮した。魅力とは、初黒星を喫した翌日の新聞記事が見事に表現した。「追い詰められれば踏みとどまり、期待させるとつまずく。やきもきさせながらもファン心理を引き付けてやまない男の姿」ただ、その繰り返しを望んでいるわけではない。


 郷土力士豪風の連続負け越し、三賞該当力士なしも残念だった。しかしそれ以上に、場所後貴乃花に関わる騒動がまた展開し、辟易する。真相は大方の人が感じているとおり、そして解決もある程度予想の範囲に留まるのではないか。良くも悪くも日本的だ。異分子を抱える余裕もない場に「正々堂々」は育たない。