すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

何処にも「生」が在る

2018年09月15日 | 雑記帳
 なんだか不満や批判を書き散らした内容が続いたが、けして残念な旅行ではなかった。かの大国でなければ見られない絶景、対照的な歴史と今の混在など、刺激は多かった。かの大作『ラストエンペラー』を借りてきてもう一度観たい気持ちが強くなったし、きっとかつて観た時とは違う感覚で楽しめるに違いない。


 名所・観光地のほかに強く印象に残った場面がある。西安郊外にある兵馬俑から市内中心地へ向かう道々で、小さな街をいくつか通り過ぎた時の風景が忘れられない。家の外へ台を出し昼から麻雀に興じる人たち、バイクでリヤカーを引く老人、子供を前で抱えてスクーターを走らせる母親…垣間見える素の姿である。


(さつま芋が軽トラの荷台で売られている)

 三都市それぞれの現地ガイドが、地元愛を語り未来を憂えていた。当然と言えば当然、また観光PRには欠かせないことでもあるが、その口から聞く個の意見は、まさしく生きることを伝えていた。「今一番幸せなのは大学生」「革命時の紅衛兵世代はチンピラ」「もうすぐ人口減少が始まる」…備える姿勢も強く感じた。


 実は今回のツアー参加者で我々夫婦が一番若かったようだ。「初めての中国~」と冠していても、実は慣れた方々が多く、結構ハードな日程も淡々とこなされていた。特に驚いたのは最年長のご夫婦が一番のメモ魔であったこと。車内でも見学地でも熱心にペンを走らせる二人の姿は、何か生きる手本のようにも見えた。


(西安の青龍寺は、実は四国お遍路の旅の「0番札所」になっている)

 ツアーで突然死したりするのは60代が一番多い、とガイドさんが語った。そこを乗り切った方々には強靭さが備わるのかもしれない。空海所縁の青龍寺で、仏教徒ではないが記帳をした。話によると、50年保存だからその期間は安寧が約束されるという。唯一買い求めた大筆を眺めつつ、半世紀生きる覚悟を胸に問う。


※今日から「写真」篇を別ブログで始めました。
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