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続ドック記~苦手な胃カメラに救われる

2019年06月16日 | 雑記帳
 何度も目覚め、結局4時間ぐらいは眠っただろうか。シャワーを浴びて7時30分BS枠で「なつぞら」を見る。ようやくアニメーター試験に合格した主人を見習い、やる気を持って臨まねば…。苦手な胃カメラが待っている。どのくらい苦手か…ふと昔書いた拙文を思い出したので、探して再録してみる。2001年だ。

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10月21日「身」

 二年ぶりの人間ドッグ入り。なんとか無事に帰還?することができたが各種の不安要素はそのままだった。年頭の誓いの一つに「健康」のことが入るようになって久しいが、相変わらずの生活を続けていては改善がみられるわけはない。しかし、今度こそ…(と思うが、どうなることやら)。

 それはそうと、人間ドッグの二大難関。つまり、胃カメラと大腸ファイバーだが、今回は胃カメラが特に厳しかった。

 検査室に入ると、まず看護婦に「はい、左の方を向いて寝てください」と言われたので、その通り左を向くと、「左でしょ、左」とまた声をかけられる。
 私から見ても、看護婦から見ても「左」は同じはずなのにどうして違う方を指すのか。もしかしたら、いつもは反対の向きに立っているので、それで勘違いしたんだろう…と、ここは皮肉などをいわず、寛容な患者さんになりきることとする。

 おとなしく左の方(実は右)を向いて横になると、医者の登場。
 おっとカメラのついている黒い管状のものが目の前ではないか。医者は立ってカメラを差し込むので、まっすぐ口の中に向かってその黒い棒が突き刺さってくる感じ。思わず目を閉じる。

「目を閉じないでください。体が堅くなりますよ。」と看護婦の声。
 そんなこと言ったって、この位置どりはあまりにまずいんではないの。
 視線をそらし、薬の箱に書いてある字など読もうとする。
              
「アスピ…、アスペシ…」
 しかし、どうしても目にうつる黒い管が気になる。
 うっ、気持ち悪い。目を閉じそうになる。

「目を閉じないで…。」
 わかりました、わかりました。
 うっ、また来た。

「体を楽にして。空気を入れますよ。苦しかったら言ってください。」
 どうやって言えばいいの。目で合図したくなるが、またぐいぐいと肉体に入り込んでくる黒い物体。こらえきれずにまばたきしても、その度に繰り返される

「目を閉じないでください、目を閉じないで」…。
 
 涙目の患者さんが見えないの。
 相手の身になるということは、どういうことなのか。おいっ!

「はい、目を閉じないで」

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 かなり以前に書いた文章を読みながら、検査のやり方も結構改善されてきたなと思った。自分自身の慣れはあるにせよ、ケアする側の進歩は大きい。さて、検査に入る前の準備(麻酔等)のために入った場所で、なかなかいいポスターを見かけた。「胃はエンジン」というキャッチコピーが大きく目立つ。おっと思う。


 つまり、車のエンジンのように、燃料を入れて人の体を動かすもとになっている器官という役割を表わす他に、調子のいいときに点検しておこうという意味合いが強いようだ。他の箇所についても言えるけれど、感覚として意識しやすい臓器なので、この比喩はぐっとくる。さあ、今年のエンジン点検はどうなのか。


 検査台に抱き枕はあるし、「目を閉じないで」ではなく「遠くを見て」に言葉は変わっている。看護士は始終背中をさすってくれる。辛い部分もあるが結構楽に終了した。何より検査後、医師から掛けられた一言が嬉しい。「キレイな胃でしたね」…なんと私のエンジンはキレイなのだ。諸データは悪いが(笑)救われた。