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「つけおの」のあった食卓

2019年06月09日 | 雑記帳
 男鹿の人星亭喜楽駄朗さんのFBで秋田弁が取り上げられ「がっこだけは全県一区だろう」とあったので、珍しくコメント記入をした。それは自分が幼い頃は「がっこ」なんて話したことも聞いたこともなかったからだ。私より世代が上の同地域の方も同様の声を寄せていた。この周辺では「つけおの」と言っていた。


 『秋田のことば』では「がっこ」は確かに全県分布しているように記載されている。しかしその一つ上に記載されているのは「ちけおの」だった。分布は由利・平鹿・雄勝である。主に県南ということだ。がっこは、現在「いぶりがっこ」で一躍全国区になっているし、単に「も→お」というよりは耳に残りやすい。


 同じページに「汁(味噌汁)」のことが載っている。広く県内に広まっているのは「おじげ」のようである。これは聞いたことがあるし、どちらかというとやや改まった時に、祖母らが「おじげっこ」と口にしたように記憶している。「おつけ」は全国分布しているし、「おみおつけ」という語も大人になってから知った。


 味噌汁は、ふだん私たちが使うのは「おしろっこ」だった。これは「お汁」に「こ」がついたと簡単にわかる。気取って「おつゆ」なんて言い方をした頃もある。その名残が「ちおこ」か。やや幼児語的な扱いだ。それにしても、旬のもの以外は味噌汁をあまりとらなくなったし、漬け物だって味同様薄くなっている。


 健康面からみたら、減塩ということで望ましいのだろう。けれど、一汁一菜という語のシンプルさを妙に懐かしく思うのは私だけではないはずだ。夏が近づくにつれ、食卓はきゅうりとなすによって占められていて、時々出てくるトマトなどは酸っぱくて砂糖をかけたりして食べた。「つけおの」はいつもそこにあった。