すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

somedayと語りかける未来を

2020年01月05日 | 読書
 大人向け絵本4冊目。この本は、ちょっと自分では読み聞かせは無理だと思った。少なくとも女声であるべきだし、語り手として考えるとそれも若い世代のほうがいいだろう。もしかしたら、若い声から徐々に変化し、年老いていくような工夫があれば面白いのかな、といらぬことを考えた。

【ちいさなあなたへ】
 アリスン・マギー・文 ピーター・レイノルズ・絵 
 なかがわちひろ・訳




 表紙裏に「すべてのおかあさんと その子どもたちに」と記されている。表紙の絵が示すようなトーンやタッチで全編がつらぬかれ、すべての文がひらがな、やさしい字句で書かれているので、子どもも「よむ」ことはできる。しかしこの本は、若い女性そして母親を一番のターゲットにしていることは間違いないだろう。

 「あのひ、わたしは あなたのちいさな ゆびを かぞえ、そのいっぽん いっぽんに キスを した。」

 そう始まるお話は「あかちゃん」が「こども」になり、大人になっていく姿を、きわめてシンプルで、象徴的な場面構成でつないでいく。今、子を持つ母親がどんな想像を働かせるのか、にわかに思い浮かべられないが、初めは皆その子の健やかさだけを祈り、無事を願うだろう。それは命のつながりが根本にあるからだ。


 原題「some day」。「いつか」を示すこの語は近い時ではなく、やや遠い時を指している。現実に返れば、世の若い母親(我が娘たちもそうだ)は、だいぶ近視眼的になっていることは確かなように思う。不透明さ、危うさだけが強調される時代だからか。いつか…と幼き子に明るい未来を語りかけられる世の中にしたい。