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桜と絵本と豆乳と

快楽、意味、没頭のバランス

2020年01月13日 | 読書
 この研究者を知ったのは確かダイエット本だったと思う。切り口が新鮮だった印象があり『ほぼ日』でも取り上げられていたので、何冊か購読した。今改めて読むと、シンプルでありながら強調点が明確だなと改めて思う。本のテーマに限らず「原則」がぶれない感じ…ふと、酒井臣吾先生の語り口が思い出された。


 【友だちの数で寿命はきまる】石川善樹


 結論は副題にある。「人との『つながり』が最高の健康法」。以前も書いたが「つくりわらいでも寿命がのびる」というデータには驚かされたし、常識と捉えていることを揺さぶる一冊だ。何より汎用性が高い知見にあふれている。目標を持つ意義が揺らぎ始めている齢だが、次の一節は見過ごせないポイントだと思う。


 「どのレベルの目標であっても、その目標をクリアするためにどういう困難が発生するのかを徹底的に考え抜くことです」…ここに目標達成の肝がある。政策であっても個人レベルであっても、困難さを見極める作業なしに設定された目標は絵に描いた餅に近い。困難に対する細々とした対策こそ、考える芯なのだ。


 「幸せの根源は3パターンある」という点も納得し、自分に当てはめたくなる。曰く一つ目は「快楽パターン」、二つ目は「意味パターン」、そして「没頭パターン」。快楽は利己的な幸福感、それに対して意味は利他的だと言う。没頭は何かに打ち込むフロー状態。合わせ持つのが普通だが遺伝子により色濃く出るらしい。


 精神状態を左右する「状況」「認知と行動」「遺伝」の三要素で、最も影響するのは遺伝という。するとどのパターンに当てはまるかの把握は、心の健康つまり幸せを感じるための必須要件とも言えよう。むろん、社会生活を送っている以上、快楽だけでOKということはない。バランスを持つ意識に働きかけてみよう。