すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

時々無性に欲しくなって…

2020年10月18日 | 読書
 一定の周期があるわけではないが、時々無性に食べたくなるモノがある。
 食べ物ほどではないが、「読み物」においても、そんなジャンル?があることに気がつく。
 ここ一週間ほどは、そんなサイクルが巡ってきたようだ。



 一つ目は「呼吸」に関すること。「呼吸法」は実践しているかどうかはともかく、結構読んでいるが、なんとなく繰り返し手にしている。
 今回は『からだが整う呼吸法』(帯津良一 大和書房)。この著者も数冊持っている。特定の呼吸法に固執せず、多様な視点で続けられるような紹介が多い。それから「笑い」や「明るさ」も大事にしているが、本質的な達観はこのような文章に表れている。

「人はもともと明るく前向きにはできていないのです。では、人間の本性はどこにあるかというと、私のたどりついた結論は『哀しみ』です」



 二つ目は、湊かなえの小説。読み始めてから10年以上経つ。読破率は9割に近い。一年ぶりぐらいに読んだ。
 昨年発刊された単行本『未来』(双葉社)

 結末に希望は見えるが、全体的なトーンはやはり「イヤミス」になるだろうな。主人公は確かにするが、人物のエピソード仕立てはお得意のパターン。
 仕事上、どうしても「教師」の視線が気にかかる。
 この作家の上手い箇所は、平易な言葉で価値観の葛藤や対立を比喩的に表すことだといつも感心する。
 「短いままのものさしをふりまわし続けていた」などという表現に、思わず読み込まされていく展開だった。


 三つ目。読んだことのないコミックを数冊続けて読むこと。
 ずっと続けているのは『酒の細道』ぐらいで(笑)、冬に『深夜食堂』にはまってから、ご無沙汰だった。

 雑誌で、ある舞台演出家が推していた『波よ聞いてくれ』(沙村広明 講談社)を1~3冊読み切った。
 札幌のラジオ局を舞台にした内容。正直、3冊目でついていけなくなった。
 詳しい人なら●●風と言えるのだろうが、そんな知識もない。形容しがたい画と筋だが、時折無性に笑える場面もある。

 一番笑ったのは、第一巻の巻末「次巻予告」で主人公が放った毒舌の台詞。2015年刊と頭に入れても入れなくても面白い。

「リセット リセットじゃねーよ。
 人の気持ちがなんでもそんな一から仕切り直しみたいにいくか!
 恋愛界の小沢一郎か、お前は!」