第4 認定要件の具体的判断
2 業務による心理的負荷の強度の判断
(2) 業務による心理的負荷評価表
略
オ 長時間労働等の心理的負荷の評価
別表1には、時間外労働時間数(週40時間を超えて労働した時間数を
いう。以下同じ。)等を指標とする具体例等を次のとおり示しているので、
長時間労働等が認められる場合にはこれにより判断する。ここで、時間外
労働時間数に基づく具体例等については、いずれも、休憩時間は少ないが
手待時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除くものであり、また、
その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものである場合を想定
したものである。
なお、業務による強い心理的負荷は、長時間労働だけでなく、仕事の
失敗、過重な責任の発生、役割・地位の変化や対人関係等、様々な出来
事及び出来事後の状況によっても生じることから、具体例等で示された
時間外労働時間数に至らない場合にも、時間数のみにとらわれることなく、
心理的負荷の強度を適切に判断する。
(ア) 極度の長時間労働
極度の長時間労働、例えば数週間にわたる生理的に必要な最小限度
の睡眠時間を確保できないほどの長時間労働は、心身の極度の疲弊、
消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病直前の1か月におお
むね160時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長
時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。
(イ) 「具体的出来事」としての長時間労働の評価
仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事により時間外
労働が大幅に増えた場合(項目11)のほか、1か月に80時間以上の
時間外労働が生じるような長時間労働となった状況それ自体を「出来事」
とし(項目12)、その心理的負荷を評価する。
(ウ) 恒常的長時間労働がある場合の他の出来事の総合評価
出来事に対処するために生じた長時間労働は、心身の疲労を増加
させ、ストレス対応能力を低下させる要因となることや、長時間労働
は一般に精神障害の準備状態を形成する要因となることから、恒常的
な長時間労働の下で発生した出来事の心理的負荷は平均より強く評価
される必要があると考えられ、そのような出来事と発病との近接性や、
その出来事に関する対応の困難性等を踏まえて、出来事に係る心理的
負荷の総合評価を行う必要がある。
このことから、別表1では、1か月おおむね100時間の時間外労働
を「恒常的長時間労働」の状況とし、恒常的長時間労働がある場合
に心理的負荷の総合評価が「強」となる具体例を示している。
なお、出来事の前の恒常的長時間労働の評価期間は、発病前おお
むね6か月の間とする。
(エ) 連続勤務
連続勤務(項目13)に関する具体例についても、時間外労働に関する
ものと同様に、休憩時間は少ないが手待時間が多い場合等、労働密度
が特に低い場合を除くものであり、また、その業務内容が通常その程度
の労働時間(労働日数)を要するものである場合を想定したものである。
カ ハラスメント等に関する心理的負荷の評価
ハラスメントやいじめのように出来事が繰り返されるものについては、
繰り返される出来事を一体のものとして評価し、それが継続する状況は、
心理的負荷が強まるものと評価する。
また、別表1において、一定の行為を「反復・継続するなどして執拗に
受けた」としている部分がある。これは、「執拗」と評価される事案につい
て、一般的にはある行動が何度も繰り返されている状況にある場合が多い
が、たとえ一度の言動であっても、これが比較的長時間に及ぶものであっ
て、行為態様も強烈で悪質性を有する等の状況がみられるときにも「執拗
」と評価すべき場合があるとの趣旨である。
――コメント――
認定基準別表1に基づき業務による心理的負荷の強度を判断するに当たって
は、別紙2「業務による心理的負荷評価表に基づく心理的負荷の強度の判断に
当たっての留意事項」にも留意して、適切な評価を行うこととされています。
なお、旧認定基準において「強」と判断されていたものは、認定基準におい
ても、基本的に「強」と判断されます。
今日の過去問は「労災法H26-4-C」です。
【 問 題 】
政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、業務災害の防止
に関する活動に対する援助を図るために必要な事業が含まれる。
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【 解 説 】
業務災害の防止に関する活動に対する援助を図るために必要な事業は、
社会復帰促進等事業のうち安全衛生確保等事業の1つとして行われる
ものです。 正しい。