第4 認定要件の具体的判断
2 業務による心理的負荷の強度の判断
(3)複数の出来事の評価
対象疾病の発病に関与する業務による出来事が複数ある場合には、次
のように業務による心理的負荷の全体を総合的に評価する。
ア 前記(2)によりそれぞれの具体的出来事について総合評価を行い、い
ずれかの具体的出来事によって「強」の判断が可能な場合は、業務によ
る心理的負荷を「強」と判断する。
イ いずれの出来事でも単独では「強」と評価できない場合には、それら
の複数の出来事について、関連して生じているのか、関連なく生じてい
るのかを判断した上で、次により心理的負荷の全体を総合的に判断する。
(ア) 出来事が関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事と
して評価することとし、原則として最初の出来事を具体的出来事とし
て別表1に当てはめ、関連して生じた各出来事は出来事後の状況とみ
なす方法により、その全体について総合的な評価を行う。
具体的には、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来
事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は
先発の出来事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、
程度により「強」又は「中」として全体を総合的に評価する。
なお、同一時点で生じた事象を異なる視点から検討している場合や、
同一の原因により複数の事象が生じている場合、先発の出来事の結果
次の出来事が生じている場合等については、複数の出来事が関連して
生じた場合と考えられる。
(イ) ある出来事に関連せずに他の出来事が生じている場合であって、単
独の出来事の評価が「中」と評価する出来事が複数生じているときに
は、それらの出来事が生じた時期の近接の程度、各出来事と発病との
時間的な近接の程度、各出来事の継続期間、各出来事の内容、出来事
の数等によって、総合的な評価が「強」となる場合もあり得ることを
踏まえつつ、事案に応じて心理的負荷の全体を評価する。この場合、
全体の総合的な評価は、「強」又は「中」となる。
当該評価に当たり、それぞれの出来事が時間的に近接・重複して生
じている場合には、「強」の水準に至るか否かは事案によるとしても、
全体の総合的な評価はそれぞれの出来事の評価よりも強くなると考
えられる。
一方、それぞれの出来事が完結して落ち着いた状況となった後に次
の出来事が生じているときには、原則として、全体の総合的な評価は
それぞれの出来事の評価と同一になると考えられる。
また、単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事が一つある
ほかには「弱」の出来事しかない場合には原則として全体の総合的な
評価も「中」であり、「弱」の出来事が複数生じている場合には原則
として全体の総合的な評価も「弱」となる。
――コメント――
複数の出来事の評価の枠組みについては、実質的な変更はありません。評価に当
たっての考慮要素等がより明確化されており、当該考慮要素等を踏まえ、適切
な評価を行うこととされています。
また、別紙3「複数の出来事があり業務による心理的負荷が強いと評価される
例」も参考とすることとされています。