第4 認定要件の具体的判断
3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因による発病でないことの判断
(1) 業務以外の心理的負荷及び個体側要因による発病でないことの判断
認定要件のうち、「3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象
疾病を発病したとは認められないこと」とは、次のア又はイの場合をいう。
ア 業務以外の心理的負荷及び個体側要因が確認できない場合
イ 業務以外の心理的負荷又は個体側要因は認められるものの、業務以外
の心理的負荷又は個体側要因によって発病したことが医学的に明らか
であると判断できない場合
(2) 業務以外の心理的負荷の評価
業務以外の心理的負荷の評価については、対象疾病の発病前おおむね
6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務以外の出来事
の有無を確認し、出来事が一つ以上確認できた場合は、それらの出来事の
心理的負荷の強度について、別表2「業務以外の心理的負荷評価表」を
指標として、心理的負荷の強度を「III」、「II」又は「I」に区分する。
出来事が確認できなかった場合には、前記(1)アに該当するものと取り
扱う。心理的負荷の強度が「II」又は「I」の出来事しか認められない
場合は、原則として前記(1)イに該当するものと取り扱う。
心理的負荷の強度が「III」と評価される出来事の存在が明らかな場合に
は、その内容等を詳細に調査し、「III」に該当する業務以外の出来事のう
ち心理的負荷が特に強いものがある場合や、「III」に該当する業務以外の
出来事が複数ある場合等について、それが発病の原因であると判断するこ
との医学的な妥当性を慎重に検討し、前記(1)イに該当するか否かを判断
する。
(3) 個体側要因の評価
個体側要因とは、個人に内在している脆弱性・反応性であるが、既往
の精神障害や現在治療中の精神障害、アルコール依存状況等の存在が明
らかな場合にその内容等を調査する。
業務による強い心理的負荷が認められる事案について、重度のアルコ
ール依存状況がある等の顕著な個体側要因がある場合には、それが発病
の主因であると判断することの医学的な妥当性を慎重に検討し、前記(1)
イに該当するか否かを判断する。
――コメント――
業務以外の心理的負荷及び個体側要因の考え方並びに業務以外の心理的負荷
の評価について、実質的な変更はありません。
個体側要因について、個体側要因により発病したことが明らかな場合を一律
に例示することは困難であることから、当該例示は削除され、あわせて、調査
の効率化等の観点から、調査対象となる事項等が明示されました。
個体側要因とは、個人に内在している脆弱性・反応性ですが、その調査には
限界があるところであり、既往の精神障害や現在治療中の精神障害、アルコー
ル依存状況等の存在が明らかな場合に、その内容等を調査することとされて
います。