和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

鬼太郎が見た玉砕。

2007-08-12 | Weblog
2007年8月12日午後9時からのNHKスペシャルは「ドラマ・鬼太郎が見た玉砕」でした。
ついさっきまで、見ていました。水木しげるの自伝的戦記漫画「総員玉砕せよ!」を下敷きにしたドラマ。西岡琢也作。柳川強監督。家喜正男・NHK名古屋放送局チーフプロデューサー。主人公の水木しげる役は香川照之。その香川さんはこう語っております「水木さんがこのドラマを見る。そのことが僕にとって何より重要・・誰より水木さんに喜んでもらいたい。今回、僕は水木さんのためだけに演じているつもりです」(7月25日読売新聞夕刊・テレビ情報box)。
水木しげる著「総員玉砕せよ!」は講談社文庫で出ております。
私は、その文庫を読んだ時よりも、このドラマの方が内容をよく理解できました。
8月12日読売新聞テレビ欄に載っていた「試写室」という写真入りの内容紹介は(汗)さんです。「原作部分を劇中劇とし、上官のビンタと飢えの記憶をペンにぶつける漫画家の姿を重ねることで、物語に奥行きが出た」と内容紹介の中で書いておりました。

話はかわりますが、雑誌で時々気になる特集があると、その時は読まない癖して、いつか改めて読むだろうぐらいの考えで本棚に入れておくことがあります。平成12年に文藝春秋で2月臨時増刊号として「私たちが生きた20世紀」と題した特集がありました。永久保存版「全篇書下ろし362人の物語」とあります。

さて、その中に水木しげるの「ビンタ 私の戦争体験」という雑誌で2ページほどの文章があったのです。そこに「ビンタと飢え」の箇所がありました。「・・従って毎日ビンタ。だから僕は戦争というとすぐ、ビンタを思い出してしまう。戦争で敵サンの弾にあたって死ぬまでに、初年兵はとんでくる敵弾の数の十倍位なぐられる。初年兵というのは動物のペット以下という感じだった。」
「とにかく『下れ』というので退却となるわけだが、なにしろ味方の倍位の人数がくると、その数をみるだけでなんなく腰が浮く。(輸送船の数で分る)なにしろ味方は、三分の一は栄養失調気味の上に、水一口に乾パン一袋という感じの食事では、なかなかがんばれない。・・銃も重いしその弾も重い。軽機関銃なんか更に重い、そんな重いものもって動くのは、めしを食わないことには重くて動けない。まア、若いから、その時は、がんばれるが間もなく、三分の一は病人になった。・・戦闘があって後方に下り、気付いてみた時は、兵隊は十分の一になっていた。」

そして最後の言葉も写しておきます。

「僕は今でもよく戦死した戦友の夢をみる。最近は毎日のようにみる。また一生の間で一番神経を使ったし、一番エネルギーを出したせいか、毎日のようにみるから不思議だ。それでまた細かいことまでよく覚えており、毎日それこそ映画でもみるような気持だが、どうしたわけか、いつも最後は【戦死】したものの顔がうかび・・・。いやそれが長く、毎日のようにつづくので、彼等は会いにくるのだろうと勝手に考えているが、戦争で若くして死んだ人たちは【残念】だったのだと思う。戦争の話をすると近頃は【老人】といわれるが、一生の間で一番すごかったのは、やはり戦争だったから、しぜんに毎日夢を見るのかもしれないと思ったりしている。」


NHKのそのドラマのなかでも、主人公に会いにくる戦死者たちが、戦場と現代を往還している時空の接点で、ていねいに、しかも端正に描かれておりました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする