和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

人間通・読書通。

2007-08-04 | Weblog
ちょいと気になったので、谷沢永一著「人間通」(新潮選書・新潮文庫)を、ネットで検索すると、どちらも現在は絶版・重版未定となっております。
谷沢永一著「執筆論」(東洋経済新報社)に、谷沢さんご自身がこう書いております。
「・・書き下ろしたのが『人間通』(平成七年)である。12月に初刷一万部が店頭に出るなり動きはじめ、翌平成八年八月まで増刷を重ね35万5000部に達した。」(p215)とあります。文庫になったのが平成十四年となっております。
その「人間通」には表紙に著者の文が書かれておりました。
「私は四十代あるいは五十代に至って人生に関する若干の知見を得ました。そしてそのたびごとに、このような思い至りがもう十年早く脳裡に浮んでいたら、もっと賢明に生きることが出来たであろうに、とつくづく悔むのが常でした。・・・」

本文の中にこんな箇所があります。
「今時の若者が本を読まないのは嘆かわしいとの溜め息をよく耳にする。そういう時には嫌がられるのを覚悟のうえで、それなら現代の若者が是非とも読むべき本を二十冊ここで指定して下さいと斬り返す。即座に数えあげた人はひとりもいない。睨みすえられるのが落ちである。」(p114・文庫はp122)

そして「人間通」の最後には「人間通になるための百冊」が一冊ずつに三行ほどのコメントを付して載っておりました。
ということであらためて、百冊のリストを眺めてみたわけです。
たとえば、先頃お亡くなりになった阿久悠さんの本も入っておりました。
阿久悠著「作詞入門」。
このリストについては谷沢さんのあとがきが参考になります。
「世界思想全集などの類いに並んでいる金箔つきの古典はほとんど省略し、何巻にも渡る大部な長篇は避け、読者が気楽に読めて滋養があると思える本を選びました。絶版や品切れの本がかなり混ざっているのは恐縮ですが、何時か何処かで出会われる場合もあろうと考えてのことであり、また出版界がこれを機会に復刊してくれたらという願いも籠っています」。

そう書いてある当の「人間通」が、手には入りにくくなっている今なのですが、
それでも今年は、谷沢永一著「読書通」(学研新書)が出ております。
12名のこれぞと思う人を紹介して、最後には「本文中に掲載・引用した主な文献」という一覧がありました。よく見ると「人間通」の百冊リストにも登場していた文献があります。

たとえば一冊紹介してみると、
瀧川政次郎著「東京裁判を裁く」(昭和27~28年・東和社)。
ちなみに、この本は、慧文社(けいぶんしゃ)より平成18年11月に再々刊(3,000円+税)されております。残念ながら、私は読んでいないのですが。
コメント
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