中村草田男句集「長子」を読み、草田男の他の句集を読んでみたくなりました。ということで、「定本中村草田男全句集」(集英社)というのが、とりあえず手に入りましたのでチャレンジ。これ昭和42年刊とあります。この本には、以降の句集「美田」「時機(とき)」は含まれておりません。ですが、私がまず読むには手頃だと思いましたので、一応目を通してみました。ということで、印象に残った句を並べていきたいと思います。
いまは冬ですから、それにまつわる句を引用したいのですが、
それは後回しにして、とりあえず初対面の全句集の手ごたえという収穫がありましたので、それから。
蝉というのが、句集に散見しました。まずは蝉の句から。
永久(とは)に生きたし女の聲と蝉の音と p238
今への恋情蝉聲櫛の歯と繁し p323
回想自ら密度に誇り法師蝉 p331
幼きをみな蜩どきの縞模様 p364
国の勢ひは山々へ退き蝉の寺 p366
空からきらきら雀の涙か蝉の尿(しと)か p398
行きつぐ一里ひぐらしの刻早や過ぎぬ p246
山頂の丘や上なき蝉の聲 p220
鳴く蝉は海へ落つる日独り負ひ p170
会へば兄弟(はらから)ひぐらしの聲林立す p60
文字知らざりし頃の鳴聲青蛙 p390
冬の蝿ちりあそぶごと吾子の詩句 p292
文字の上意味の上をば冬の蝿 p331
それでは、冬についての句で、私が気になったのは冬空でした。
深雪降らしていま憩ふ空月と星 p385
父母未生以前とは祖国寒満月 p213
寒風に未来を問ふな臍(へそ)に聞け p224
寒くたのし鋏切る音針落つ音 p167
冬富士や背中かゆくて吾子恋し p148
息白しいつまで残る明星ぞ p145
非力者を嗤ひし人に天(そら)寒し p134
机上冬父も欲りしは湧く力 p127
群鷗に暮れ寒星の乱れなく p99
青空に寒風おのれはためけり p66
寒星の数を琴の音爪追ひに p65
負うて行く銀河や左右(さう)へ翼なす p224
気になった句
病友に文缺きて何の月の詩ぞ p199
坂の上(へ)ゆ夏雲もなき一つ松 p73
馬多き渋谷の師走吾子と佇つ p81
年頭の灯台白しと報(つ)げやらむ p97
年頭の灯台白きを見て足りぬ p97
道の木に柿実るあり道遠し p179
寒の暁(あけ)ツイーンツイーンと子の寝息 p226
響爽かいだだきますといふ言葉 p244
私には、はじめて読む草田男体験というのが、ありました。たのしかった。
こういう時は、とりあえず記録しておくに限りますよね。
残りの句集も読んでみたくなりました。
いまは冬ですから、それにまつわる句を引用したいのですが、
それは後回しにして、とりあえず初対面の全句集の手ごたえという収穫がありましたので、それから。
蝉というのが、句集に散見しました。まずは蝉の句から。
永久(とは)に生きたし女の聲と蝉の音と p238
今への恋情蝉聲櫛の歯と繁し p323
回想自ら密度に誇り法師蝉 p331
幼きをみな蜩どきの縞模様 p364
国の勢ひは山々へ退き蝉の寺 p366
空からきらきら雀の涙か蝉の尿(しと)か p398
行きつぐ一里ひぐらしの刻早や過ぎぬ p246
山頂の丘や上なき蝉の聲 p220
鳴く蝉は海へ落つる日独り負ひ p170
会へば兄弟(はらから)ひぐらしの聲林立す p60
文字知らざりし頃の鳴聲青蛙 p390
冬の蝿ちりあそぶごと吾子の詩句 p292
文字の上意味の上をば冬の蝿 p331
それでは、冬についての句で、私が気になったのは冬空でした。
深雪降らしていま憩ふ空月と星 p385
父母未生以前とは祖国寒満月 p213
寒風に未来を問ふな臍(へそ)に聞け p224
寒くたのし鋏切る音針落つ音 p167
冬富士や背中かゆくて吾子恋し p148
息白しいつまで残る明星ぞ p145
非力者を嗤ひし人に天(そら)寒し p134
机上冬父も欲りしは湧く力 p127
群鷗に暮れ寒星の乱れなく p99
青空に寒風おのれはためけり p66
寒星の数を琴の音爪追ひに p65
負うて行く銀河や左右(さう)へ翼なす p224
気になった句
病友に文缺きて何の月の詩ぞ p199
坂の上(へ)ゆ夏雲もなき一つ松 p73
馬多き渋谷の師走吾子と佇つ p81
年頭の灯台白しと報(つ)げやらむ p97
年頭の灯台白きを見て足りぬ p97
道の木に柿実るあり道遠し p179
寒の暁(あけ)ツイーンツイーンと子の寝息 p226
響爽かいだだきますといふ言葉 p244
私には、はじめて読む草田男体験というのが、ありました。たのしかった。
こういう時は、とりあえず記録しておくに限りますよね。
残りの句集も読んでみたくなりました。