和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

蜜柑色柚子色。

2008-01-08 | Weblog
中原中也の詩「冬の長門峡(ちょうもんきょう)」の忘れられない二行。

  やがても蜜柑の如き夕陽、
  欄干にこぼれたり。

この蜜柑(みかん)色っていうのは、
柚子よりも、どちらかといえば柿色にちかいのでしょうか?
どうなのでしょうね。

この頃、贅沢にも柚子湯に、ほぼ毎日はいっております。
花柚子という小ぶりの柚子で、沢山なるままに捨てておりました。
今年は、そうだお風呂に入れればいいのだと、思い立ちまして、
贅沢風呂なのです。
そういうわけで、俳句にもついつい柚子の言葉が目にとまります。

「銀漢」とは銀河のことだそうですね。
東京新聞2008年1月6日「東京俳壇」の鍵和田秞子選の一番は

  銀漢をくぐりて入る柚子湯かな  杉並区 土方けんじ

【評】季語は冬至の柚子湯。町の湯屋に星を仰ぎながら行く。銀漢をくぐると表現して壮大な詩の世界になった。

日経新聞1月6日「俳壇」黒田杏子選の一番には

  柚子の香を胸に仕舞ひて争はむ   魚津  坪川正

【評】柚子湯を浴びたのちのその香でも、食卓で身に帯びた柚子の香、どちらでもよい。働きざかり、仕事ざかりの作者は・・・・


ところで、漱石俳句の明治29年には、こんな句が並んでいました。

    累々と徳孤ならずの蜜柑哉

    同化して黄色にならう蜜柑畠

    日あたりや熟柿の如き心地あり



さて、蜜柑は黄色か柿色か?
欄干にこぼれた夕陽の色はどっち。

話はかわりますが、岩波書店の漱石全集の装丁の色は
あれ、鮮やかな柿色ですよね。どうでしょう?
古本で安く買った新書版サイズの漱石全集第23巻。その本の背は、
日にあたっていたせいか、色が変色して黄色くなっておりました。

コメント
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