和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

去年今年。

2012-01-16 | 詩歌
今年も16日。ということで、
新年の古新聞の整理。
といっても、そのまま見るだけ。

1月3日朝日新聞文化欄の「新春詠」。
昨年「震災歌集」を出した長谷川櫂氏の俳句をさがす。

 龍の目の動くがごとく去年今年

 花の春とくとくと鳴れ浦霞

 ほのぼのと目鼻はなれて福笑

真ん中の句の「浦霞」には
「浦霞は塩釜の酒」と前書があります。
私事、昨年は「浦霞」をよく飲みました。


読売新聞の文化欄には岡野弘彦氏の短歌あり。
うん。読めてよかった、と私は思います。

天城峯(あまぎね)にくれなゐの陽(ひ)はしづみゆき
     事多かりし歳くれむとす

八十(やそ)にあまる八つの齢(よわい)をかさねたり。
   大海原に生(あ)るる日を浴ぶ


岡野弘彦氏は今年88歳。
大正13(1924)年7月7日生れ。
そういえば、昨年、天皇陛下78歳におなりになられました。
1月1日の新聞に、両陛下のお歌8首が掲載されておりました。
「新年に当たり、宮内庁は天皇、皇后両陛下が平成23年に詠まれたお歌のうち、計8首を発表した。」と書かれたあとに
天皇陛下のお歌。
 
  東日本大震災の津波の映像を見て

黒き水うねり広がり進み行く仙台平野をいたみつつ見る


そうなんだ、同じテレビの映像を、われわれは見ていたのだった。
平成23年3月16日に、そのテレビから「天皇陛下のお言葉」が写されていました。
あらためて、産経新聞社の「闘う日本 東日本大震災1カ月の全記録」をひらき、そこにある「お言葉」を読み直してみます。

1月1日の陛下のお歌を、つづけます。

  東日本大震災の被災者を見舞ひて

大いなるまがのいたみに耐へて生くる人の言葉に心打たるる

  東日本大震災後相馬市を訪れて

津波寄すと雄々しくも沖に出でし船もどりきてもやふ姿うれしき


「天皇陛下のお言葉」にも、「雄々しさ」という言葉がありました。3月16日の「お言葉」から、その箇所をあらためて引用してみます。「お言葉」の中頃でした。

「そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。」

今日も寒い日が続きますが、仮設住宅を詠んだ歌が最後にありました。

  仮設住宅の人々を思ひて

被災地に寒き日のまた巡り来ぬ心にかかる仮住まひの人


1月13日新聞には恒例の「歌会始の儀」の歌が掲載されておりました。
はじめにある天皇陛下のお歌

津波来(こ)し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる
   
コメント
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