和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

こよなく渚を愛す。

2012-08-16 | 短文紹介
谷川健一著「渚の思想」(晶文社)を読み、
あらためて、もどって、その書評を読み直す。
それが日本近代文学研究者・持田叙子(のぶこ)氏による
毎日新聞今週の本棚(2012年8月12日)の書評でした。
そこでは、全集を取り上げているのでした。
こうあります。
「このたび・・・1921年生れの民俗学者、谷川健一の全集全24巻の刊行が完結に近づいた。論考篇はすべて刊行され、残るは雑纂と総索引よりなる二巻のみ。」

ここでとりあげられているのは、「谷川健一全集第七巻・沖縄三」なのでした。
その最後をあらためて読み直しております。
こうありました。

「どの行間からも、潮風が匂う。読んでいると、波にぬれた砂をふむ感覚がよみがえり、足の裏が熱くなる。結句、谷川健一とはたぐいまれな現代の海の詩人なのではないか。熊本県水俣市の漁村に生まれ育ったこの人は生来、海への感性を濃くもつ。それを軸とし、民間伝承を通して『日本人の意識の根源』の青い海へとさかのぼり、はるかな『海の呼ぶ声』を聴こうとする、優れた詩人が学者なのだ。その詩性のひときわ輝くのが、本巻の中核をなす『渚の思想』の諸篇。ここで谷川は、こよなく渚を愛す。・・・」



うん。この書評の水先案内によって、
この夏、『渚の思想』が読めてよかった。
よかった。
コメント
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