和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

そうありたい。

2014-03-21 | 本棚並べ
本棚から「桑原武夫集」の10をとりだす。
パラリとひらけば、「文章作法」のページで、
そこに、こうある。

「・・教訓するのでもなく、
雄大な世界観を展開するのでもないかぎり、
文章とくに短文は、人を知的におもしろがらせる
遊びの要素が必要なわけです。
といっても軽口やじょうだんでなく、
知的な話題になりうるような事実を
提供するのがよいのです。」(p334)

う~ん。
桑原武夫集全10巻(岩波書店)は
函入りで、装丁もしっかりしているのに、
表紙が淡い黄色の布張り。
古本になると、きっとどれもが、
そこに無数の茶色シミ。シミの生態観察には
うってつけなのでしょうが、残念です。
こういう装丁は、やめましょう。
という見本になります。
うん。これは軽口。

さてっと、
せっかく桑原武夫の「文章作法」を
ひらいたので、この箇所も引用。

「私は戦争直後にだいぶきつい文章を
いろいろ書きました。それを『現代日本文化の反省』
と題して、本にまとめました。その本の
『あとがき』に次のようなことを書いています。

『ここ一年あまり、私は本業の余暇のほとんど
すべてをあげて、これだけの仕事をした。
説の当否は時によって、やがて厳しく
さばかれるだろうが、
その結果いかんにかかわらず、
私に悔いはない。
そして万一、五十年後に本棚の片隅に
この本をふとみつけた人が、
1946年ごろにはもうこんなにも自明なことを
力説していた人間もあったのかと笑って、
この本を焚きつけにでもするとしたら、
地下から私は満足の笑みをもらすだろう。
そうありたい。』・・・」(p277)

ところで、
岩波書店版の「桑原武夫集10」は
1981年に出ておりました。
今年で、まだ33年しかたっていない。
焚きつけにするのは、ちと早い(笑)。
コメント
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