和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

低さと足らなさと未熟さを。

2014-08-04 | 短文紹介
このごろは、
月刊雑誌はWILLのみで、
他の雑誌は買いません。
ですが、正論9月号を購入。
そこに小川榮太郎氏が
「『文藝春秋』の憂鬱 消えゆく大人の常識」
を書いており、読みました。


「『文藝春秋』6月号の『百人の叡智が
総結集、安倍総理の「保守」を問う』を
読み終へ、ひどい疲れを覚えてゐます。
そもそも、文章を読んで疲れるとは
どういふ事か。・・・」(p174)

こうはじまっておりました。
最後も引用することに

「翻つて今の『文藝春秋』、・・
百人中、妄言が39人。しかし、更に
根深い問題は、そうでない人達の言葉の
多くが、真つ当でもあり有益でもありは
しても・・・要するに、39人の妄言を、
残りの61人の言葉が、爽快さや勁さ、
しぶといユーモア、威厳、逆説、美文、
博識、斬新などの言葉の芸によつて、
打破する力を持つてゐない。だから、
通読すると、誌面全体が妄言によつて
領されてゐるやうな印象になつてしまふ。
・ ・・・ある意味で・・本当は、この
民族挙つての人間力の低迷こそが、日本の
『保守』が、今一番直面し、引き受けなければ
ならない我が国の危機なのではないでせうか。

・ ・・まづ、人に何かを注文するのではなく、
自分が、今の低さと足らなさと未熟さを引き受ける事――この引き受けるといふ地点から言葉を発する事。せめてそれだけの強さと矜持くらゐは持ち続ける事。私は、文士の端くれに過ぎないのだから、どんなに理解者が少なくとも、私一個の言葉においてはそれを続けようと思つてゐます。正に、それ以外に『別段の工夫なし』です。」(p185)
コメント
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