この夏、平川祐弘氏の著作を読むんだと、
このブログに書き込んだのでした。
それが、手つかずのまま(笑)。
あれ、新刊が登場。
平川祐弘著「日本の正論」(河出書房新社)。
読書の夢は、そのままですが、
「日本の正論」あとがきには
「中国の夢」について書かれておりました。
その箇所を引用。
「本書に収めた五年間の『正論』の文章を
読み返して、その間に起きた不気味な変化は
日本国内よりも国外が起源だと感じました。
主として中国の大国化に起因する中国と周辺
諸国との緊張の増大です。中国国防大学軍隊
建設研究所の劉明福大佐が大中華秩序復活の
『中国の夢』について語るのを2012年4月に
紹介した時は、私は心中でなかば笑っていました。
自国について『歴史清白、道徳高尚』と主張し、
中国はかつて他国を植民地支配したことがない
から世界の大国中唯一の『無原罪の国だ』と
言い張り、ポスト・アメリカ時代の大国として
権利を主張するそのレトリックを滑稽なことに
感じていました。なにかアンリアルなことの
ように思っていたのです。だがそら恐ろしい
ことに、中国のように言論の自由のない国では、
そのような歴史観が繰り返し説かれるうちに、
指導層までもが中国を全面的に正義とする
見方に染まるらしい。染まるとはいわずとも、
そのような自己中心的な歴史観を唱えることに
よって国内多数派の支持を得られるメカニズムが
いまや機能しつつあるらしいという事です。
しかもそうした中華民族五千年の夢を口に
する者はただ単に一部軍人だけではないの
です。・・・・・・
2013年3月、中華人民共和国主席の座に
ついた習近平が講話で『中国の夢を実現し
よう』と言い出したとき、これから先、
中華帝国と近隣諸国の関係を一体どうする
つもりか、と私はそれを訳しながら
暗い予感を覚えました。私どもは
歴史を鑑(かがみ)にしなければなりません。」
(p263~265)
さてっと、
あとがきには、この本が出来上がる様子が
書き込まれて興味深いものがあります。
「そんな世界の動きを、拙稿を読み返す
ことで、私自身があらためて自覚しました。
そのことが読者諸賢にも伝わるよう、
随筆は基本的に発表順のまま掲げます。
年ごとに分け、新聞社がつけた題も
新しく改め、限られた新聞紙面では
舌足らずであった文章を補い、繰り返しは
削るなど、若干の手直しは施しました。
丹念にチェックしてくれた編集者は
河出書房新社の伊藤靖氏で、十年来、
私の書物を十冊近く同社から世に出して
くれました。氏は新潮新書が売れ出した
のを見るや、『産経新聞』の『正論』欄
の平川記事のコピーを即座に取り揃え、
私を催促して今回のこの書物にこんな
形を与えました。私は子供の時から
作文が大好きで、一篇一篇の文章を
書くことに興趣を覚える人間です。・・」
(p265~266)
うん。買いました。
このブログに書き込んだのでした。
それが、手つかずのまま(笑)。
あれ、新刊が登場。
平川祐弘著「日本の正論」(河出書房新社)。
読書の夢は、そのままですが、
「日本の正論」あとがきには
「中国の夢」について書かれておりました。
その箇所を引用。
「本書に収めた五年間の『正論』の文章を
読み返して、その間に起きた不気味な変化は
日本国内よりも国外が起源だと感じました。
主として中国の大国化に起因する中国と周辺
諸国との緊張の増大です。中国国防大学軍隊
建設研究所の劉明福大佐が大中華秩序復活の
『中国の夢』について語るのを2012年4月に
紹介した時は、私は心中でなかば笑っていました。
自国について『歴史清白、道徳高尚』と主張し、
中国はかつて他国を植民地支配したことがない
から世界の大国中唯一の『無原罪の国だ』と
言い張り、ポスト・アメリカ時代の大国として
権利を主張するそのレトリックを滑稽なことに
感じていました。なにかアンリアルなことの
ように思っていたのです。だがそら恐ろしい
ことに、中国のように言論の自由のない国では、
そのような歴史観が繰り返し説かれるうちに、
指導層までもが中国を全面的に正義とする
見方に染まるらしい。染まるとはいわずとも、
そのような自己中心的な歴史観を唱えることに
よって国内多数派の支持を得られるメカニズムが
いまや機能しつつあるらしいという事です。
しかもそうした中華民族五千年の夢を口に
する者はただ単に一部軍人だけではないの
です。・・・・・・
2013年3月、中華人民共和国主席の座に
ついた習近平が講話で『中国の夢を実現し
よう』と言い出したとき、これから先、
中華帝国と近隣諸国の関係を一体どうする
つもりか、と私はそれを訳しながら
暗い予感を覚えました。私どもは
歴史を鑑(かがみ)にしなければなりません。」
(p263~265)
さてっと、
あとがきには、この本が出来上がる様子が
書き込まれて興味深いものがあります。
「そんな世界の動きを、拙稿を読み返す
ことで、私自身があらためて自覚しました。
そのことが読者諸賢にも伝わるよう、
随筆は基本的に発表順のまま掲げます。
年ごとに分け、新聞社がつけた題も
新しく改め、限られた新聞紙面では
舌足らずであった文章を補い、繰り返しは
削るなど、若干の手直しは施しました。
丹念にチェックしてくれた編集者は
河出書房新社の伊藤靖氏で、十年来、
私の書物を十冊近く同社から世に出して
くれました。氏は新潮新書が売れ出した
のを見るや、『産経新聞』の『正論』欄
の平川記事のコピーを即座に取り揃え、
私を催促して今回のこの書物にこんな
形を与えました。私は子供の時から
作文が大好きで、一篇一篇の文章を
書くことに興趣を覚える人間です。・・」
(p265~266)
うん。買いました。