和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

蔵書・遺稿の整理。

2014-08-23 | 本棚並べ
ネット古書で検索してたら、
足立巻一著「評伝竹中郁」(理論社)がある。
以前読みたいと思っていた一冊なので、
この機会に購入することに。

南天荘書店(岡山市北区表町)
3,000円+送料360円=3360円
先払いでした。

ちょっと、先の方を引用。
はじまりは

「詩人竹中郁は、昭和57年3月7日午前5時40分、入院先の神戸市中央区港島中町4丁目、神戸市立中央市民病院で血小板低下及び貧血の病勢が悪化して脳内出血のために死去した。77歳11か月の生涯であった。」

「長男左右平から訃報がはいったのは3月7日午前8時だった。」

「4月4日、第1回の蔵書・遺稿の整理をおこなった。
竹中は大変な読書家で、病気になって目を悪くするまで読みつづけた。しかし、本を貯えたり、稀覯本を集めたりする趣味はさらさらないように見えた。つぎつぎ新刊書を買うが、読み終わるとさっさと人に回す。わたしは竹中から何冊の本をもらったかわからない。性格も詩も淡白であったように、本に執着することはないように見えた。それに何より、20年6月5日の神戸空襲で四千冊の蔵書を焼いている。それで、蔵書といっても何ほどのこともあるまいと予想していた。
ところが、そうではなかった。書庫があるわけではなく、1階・2階のどの部屋にも本が積まれ、わずかな隙間を見つけても本を詰めこんでいる。森鴎外・永井荷風・堀辰雄・稲垣足穂・梶井基次郎が特に好きだったらしく、全集や初版本がある。詩歌人では斎藤茂吉・木下杢太郎・三好達治・丸山薫・小野十三郎・安西冬衛・永瀬清子・天野忠などの詩歌集がそろっている。外国文学ではジャン・コクトーの著作がまとめられている。カバーをかけ、あるいは数冊をハトロン紙に包んで紐をかけたのもある。
驚いたのは寄贈を受けた詩歌句集・雑誌が処分されずに保存されていることだった。児童詩『きりん』の全冊がそろっていることは当然としても、同人雑誌の類まで整理して残している。たとえば、わたしどもの同人誌『天秤』もあったし、戦後すぐ死んだ詩人岬絃三の謄写版刷りの遺稿詩集もあった。
遺稿はおびただしいものであった。詩をびっしり書きこんだ二冊の厚いノートもあったし、草稿・書きつぶしもじつに多い。また、スクラップ・ブックには新聞に掲載された詩が張りこんであり、箱には新聞の切り抜きがつまっている。それらは厖大な量に上るであろうが、惜しいことに掲載誌紙名・掲載年月が書き留められていない。わたしは茫然とした。・・・」(~p14)


うん。とりあえず本棚へ(笑)。
コメント
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