和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

さぞ郁さんも満足したことと思われる。

2018-03-25 | 詩歌
竹中郁に興味をもって3冊
読み直しているのでした(笑)。

竹中郁詩集(思潮社・現代詩文庫)の
終りにある「研究・解説」。

杉山平一著「戦後関西詩壇回想」(思潮社)。
これを読んでいると、関西詩壇というのは
関東の田舎に住む私には、夢の世界のように
思えてきます(笑)。

天野忠著「我が感傷的アンソロジイ」(書肆山田)
足立巻一氏による竹中郁の蔵書整理の中に
天野忠の著作があったので、それではとこの本を
ひらくと、「巾着井戸をのぞく――竹中郁のこと」
が載っておりました。

3冊目の天野忠の文に、こんな箇所があり、
気になりました。

「最後になった詩集『ポルカ マズルカ』(潮流社)は
出来の良い詩集である。瀟洒で嫌味がない。背文字の金もいい。
活字も組方も印刷、造本それに箱も申分がない。
本造りの好きな人が入念に神経を使ってこしらえたのだろう。
そんなに気取りのない、限定版というのにふさわしい美本で、
私はこんなのを詩集らしい詩集というのだろうと思っている。
本人の口からは聞かなかったが、
さぞ郁さんも満足したことと思われる。」(p223)

はい。こうして書き写していると、
関西詩壇の詩集らしい詩集を、
手にとってみたくなります(笑)。

ポルカマズルカといえば
足立巻一著「評伝竹中郁」(理論社)に
足立氏が病院に見舞いに行く場面が印象的です。

「入院中、見舞いに伺うと、
『自分には『動物磁気』と『ポルカ マズルカ』との
二冊があればいい。全詩集はいらない』ともらした。
これには杉山とわたしも驚いた。
しかし、すでに井上靖の斡旋で出版社も角川書店と
きまっていることでもあり、わたしたちは作業を進めていた。

『全詩集』にはそういういきさつがあったのであるが、
それを口に出した瞬間、竹中の表情が一変したのに
わたしはあわててしまい、病院を飛び出したのである。
・・・・」(p11)

うん。
詩集「ポルカ マズルカ」は五百部限定版。
次の年には安い普及版も出ているようです。


コメント
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