丸谷才一著「思考のレッスン」を再読すると、
レッスン3(思考の準備)こんな箇所。
「自分が読んだ本で、
『これは大事だ』という本がありますね。
あるいは、一冊の本の中で、
『ここは大事だ』という章がある。
そういうものは、何度も読むことが大切ですね。
繰り返して読んだり、
あるいは何年か間隔をおいて読む。」(p135)
うん。「何年か間隔をおいて読む。」
というのが曲者で(笑)、
そのほとんどが、読み返さずに、
本の在処も忘れてしまう。
今回何年かぶりに読み返して、
ああ、そういうことかと合点したことがありました。
本のはじまりの方に、鶴岡出身の丸谷さんが
こう指摘しているのでした。
「たとえば、鶴岡は、江戸から明治にかけて、
全国に誇ることのできる二冊の名著を生んでいます。
一つは、元禄時代に書かれた『徂徠先生答問録』。
これは、鶴岡の侍である水野弥兵衛と疋田族の二人が、
荻生徂徠に質問状を出して、それに徂徠が答えたものを
まとめた本です。漢文じゃないから読みやすいし、
徂徠のものの考え方がとてもよくわかる素晴らしい本です。
ずいぶんいろんな質問をしてるんだけど、
それが実にいいんだなあ。・・・・
薄い本ですが、徂徠のエッセンスがつまっている。
読んでいて、荻生徂徠その人と
直接会って話を聞くような、気持のいい本です。」(p30)
はい。この「思考のレッスン」は
インタビューに答えてゆくかたちで進みます。
丸谷才一氏は、この本を現代版の
「徂徠先生答問録」とする心構えで臨んでいることが
今回読み返していて、思い浮かんできました。
レッスン3(思考の準備)に
「忘れてはならないものが、もう一つあります。
学者の書いた回想録、自伝、伝記、インタビュー、
これはその人のものの考え方がはっきりと出ることがあって、
とても参考になります。・・・」(p125)
「インタビューは、概してわかりやすいし、
ちょっとした言葉の中に深い意味が込められていて、
とても刺激的なんですね。
レヴィ=ストロースの『遠近の回想』という自叙伝も、
たしかインタビュー形式でした。
レヴィ=ストロースのお父さんは、売れない絵描きだったのね。
お父さんがキュビズムの絵を初めて見て帰ってきて、
家族にその話をしたんだって。
幼いレヴィ=ストロースはそれを聞いて興奮して、
これがキュビズムというものだろうという絵を
自分で想像してパステルで描いたというんです。
これを読んだとき・・・感心した。
そう言えば、彼の発想にはどこか絵画的なところがあるでしょう。
『生のものと火にかけたもの』とかいう例の分類など、
イメージがくっきりしていて油絵みたいな感じがする。
・・・・」(~p126)
うん。
以前に読んだときは、
もっと、他にも大事なことが
話されていると思えて、そちらへと私の興味が
いっていたのでした(笑)。
レッスン3(思考の準備)こんな箇所。
「自分が読んだ本で、
『これは大事だ』という本がありますね。
あるいは、一冊の本の中で、
『ここは大事だ』という章がある。
そういうものは、何度も読むことが大切ですね。
繰り返して読んだり、
あるいは何年か間隔をおいて読む。」(p135)
うん。「何年か間隔をおいて読む。」
というのが曲者で(笑)、
そのほとんどが、読み返さずに、
本の在処も忘れてしまう。
今回何年かぶりに読み返して、
ああ、そういうことかと合点したことがありました。
本のはじまりの方に、鶴岡出身の丸谷さんが
こう指摘しているのでした。
「たとえば、鶴岡は、江戸から明治にかけて、
全国に誇ることのできる二冊の名著を生んでいます。
一つは、元禄時代に書かれた『徂徠先生答問録』。
これは、鶴岡の侍である水野弥兵衛と疋田族の二人が、
荻生徂徠に質問状を出して、それに徂徠が答えたものを
まとめた本です。漢文じゃないから読みやすいし、
徂徠のものの考え方がとてもよくわかる素晴らしい本です。
ずいぶんいろんな質問をしてるんだけど、
それが実にいいんだなあ。・・・・
薄い本ですが、徂徠のエッセンスがつまっている。
読んでいて、荻生徂徠その人と
直接会って話を聞くような、気持のいい本です。」(p30)
はい。この「思考のレッスン」は
インタビューに答えてゆくかたちで進みます。
丸谷才一氏は、この本を現代版の
「徂徠先生答問録」とする心構えで臨んでいることが
今回読み返していて、思い浮かんできました。
レッスン3(思考の準備)に
「忘れてはならないものが、もう一つあります。
学者の書いた回想録、自伝、伝記、インタビュー、
これはその人のものの考え方がはっきりと出ることがあって、
とても参考になります。・・・」(p125)
「インタビューは、概してわかりやすいし、
ちょっとした言葉の中に深い意味が込められていて、
とても刺激的なんですね。
レヴィ=ストロースの『遠近の回想』という自叙伝も、
たしかインタビュー形式でした。
レヴィ=ストロースのお父さんは、売れない絵描きだったのね。
お父さんがキュビズムの絵を初めて見て帰ってきて、
家族にその話をしたんだって。
幼いレヴィ=ストロースはそれを聞いて興奮して、
これがキュビズムというものだろうという絵を
自分で想像してパステルで描いたというんです。
これを読んだとき・・・感心した。
そう言えば、彼の発想にはどこか絵画的なところがあるでしょう。
『生のものと火にかけたもの』とかいう例の分類など、
イメージがくっきりしていて油絵みたいな感じがする。
・・・・」(~p126)
うん。
以前に読んだときは、
もっと、他にも大事なことが
話されていると思えて、そちらへと私の興味が
いっていたのでした(笑)。