和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

梅のように。

2019-05-22 | 詩歌
本棚に、中西進氏の本があった。
以前に新刊で購入してそのまま、
置きっぱなしになっていました。


中西進著「詩をよむ歓び」(麗澤大学出版会)。

「はじめに」から引用。

「詩はことばの精粋(せいすい)です。」

「欧米では教育がまず詩から始まります。
ところが日本では学校でもわずかしか教えてもらえず、
卒業と同時に詩と無縁な生涯を過しがちです。
残念なことです。」

そのあとに、こんな箇所がありました。

「ぼう大な近代詩の中から何年もかけ、
苦心に苦心を重ねて、一人一編、全八十編
の名詩を選び抜きました。」

この言葉に、大仰さを感じたのかもしれません。
今なら、中西進という名前だけであらたまって、
読む姿勢や態度が、かわっている自分です(笑)。

「はじめに」の最後は、

「なお、この書物は麗澤大学出版会の
西脇禮門氏との長い交友を貴んで、出版するものです。
  2006年 緑陰の山房にて 中西進 」

うん。全八十編の詩が、テーマごとに並び、
各詩のあとに、1ページほどの中西進氏の
コメントがついている。それだけの本です。

詩はむずかしいですね(笑)。
ややもすれば、知らずに通り過ぎてしまう。

たまたま、それが本棚にあった(笑)。

せっかくなので、この本の中の、
井上靖の詩「愛する人に」から、
その一部を引用。


「 さくらの花のように、
  万朶(ばんだ)を飾らなくてもいい。

  梅のように、
  あの白い五枚の花弁のように、
  香ぐわしく、きびしく、
  まなこ見張り、
  寒夜、なおひらくがいい。 」(p36~37)


う~ん。むずかしいですね。
元号が「令和」にならなければ、
きっと、この本をひらいて読み始めなかった
かもしれない一冊です。
まだ、ほかに79編の詩が載っている。 





コメント (2)
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