本棚から
「橘曙覧全歌集」(岩波文庫)をとりだす。
「独楽吟(どくらくぎん)」の箇所を開く。
一首引用(p180)。
たのしみは 常にみなれぬ 鳥の来て
軒(のき)遠からぬ 樹に鳴きしとき
鳥といえば、最近思い浮かぶ本二冊。
「中西進の万葉みらい塾」と「災害と生きる日本人」。
まずは、「みらい塾」から二か所引用。
「人間の言葉は、鳥の鳴き声を勉強して
考え出したというお話もあるのです。
鳥どうしはいろいろ会話をしていると考えて、
人間もあれと同じことをやろうと思った。
それぐらい人間は鳥の鳴き声に
耳を澄ましていました。・・・」(p146)
学校で生徒と質問をしている箇所には、
こんなやりとりがありました(p43~)。
中西】 ・・でも、人間が泣くのと、
千鳥が鳴くのとは同じですか、ちがいますか。
C君】 ちがう。
中西】 ちがうでしょう。
ところがそう思っているのは、現代の人たち。
昔の人たちは、いっしょだと考えていました。
『なく』って同じ言葉でしょ。
C君】 ・・でも漢字がちがう。
中西】 そうだね。漢字がちがう。
そう思う人、手を挙げて。うん、たくさんいるね。
だけど漢字は、中国から借りてきた文字です。
昔から日本にあったわけではない。
昔から日本にあったのは『なく』っていう言葉。
中国ではちがう漢字を使う。
中国人は鳥はこう、人間はこう、と考えた。
けれども、日本人は鳥が鳴くのと、
人間が泣くのとは同じだと思った。
『なく』のは全部いっしょ。
漢字を勉強して、それぞれがちがうと
考えるのことも大事だけれども、
もっと広いところで、鳥たちも人間も
同じだなって考えることも大事ですね。
(~p44)
もう一冊「災害と生きる日本人」では
中西進氏との対談で、磯田道史氏は
中西】 特に小鳥が鳴いているのは、
ほとんどが恋でしょうね。・・・・・
磯田】 最近はツイッターで、浅いさえずりを
する人がずいぶん増えました。
万葉集に歌われている歌は、人の心を
かなり深いところから汲みとっています。
鳥が空で生きよう、生きようと
一生懸命さえずっている。
空からこぼれ落ちてくる音を、
万葉集を通じて聴いている感すらありますよ。
・・・(p62)
三冊を並べてみると、なんだかなあ、
令和の宴で、楽しみを味わうような。
「橘曙覧全歌集」(岩波文庫)をとりだす。
「独楽吟(どくらくぎん)」の箇所を開く。
一首引用(p180)。
たのしみは 常にみなれぬ 鳥の来て
軒(のき)遠からぬ 樹に鳴きしとき
鳥といえば、最近思い浮かぶ本二冊。
「中西進の万葉みらい塾」と「災害と生きる日本人」。
まずは、「みらい塾」から二か所引用。
「人間の言葉は、鳥の鳴き声を勉強して
考え出したというお話もあるのです。
鳥どうしはいろいろ会話をしていると考えて、
人間もあれと同じことをやろうと思った。
それぐらい人間は鳥の鳴き声に
耳を澄ましていました。・・・」(p146)
学校で生徒と質問をしている箇所には、
こんなやりとりがありました(p43~)。
中西】 ・・でも、人間が泣くのと、
千鳥が鳴くのとは同じですか、ちがいますか。
C君】 ちがう。
中西】 ちがうでしょう。
ところがそう思っているのは、現代の人たち。
昔の人たちは、いっしょだと考えていました。
『なく』って同じ言葉でしょ。
C君】 ・・でも漢字がちがう。
中西】 そうだね。漢字がちがう。
そう思う人、手を挙げて。うん、たくさんいるね。
だけど漢字は、中国から借りてきた文字です。
昔から日本にあったわけではない。
昔から日本にあったのは『なく』っていう言葉。
中国ではちがう漢字を使う。
中国人は鳥はこう、人間はこう、と考えた。
けれども、日本人は鳥が鳴くのと、
人間が泣くのとは同じだと思った。
『なく』のは全部いっしょ。
漢字を勉強して、それぞれがちがうと
考えるのことも大事だけれども、
もっと広いところで、鳥たちも人間も
同じだなって考えることも大事ですね。
(~p44)
もう一冊「災害と生きる日本人」では
中西進氏との対談で、磯田道史氏は
中西】 特に小鳥が鳴いているのは、
ほとんどが恋でしょうね。・・・・・
磯田】 最近はツイッターで、浅いさえずりを
する人がずいぶん増えました。
万葉集に歌われている歌は、人の心を
かなり深いところから汲みとっています。
鳥が空で生きよう、生きようと
一生懸命さえずっている。
空からこぼれ落ちてくる音を、
万葉集を通じて聴いている感すらありますよ。
・・・(p62)
三冊を並べてみると、なんだかなあ、
令和の宴で、楽しみを味わうような。