安野光雅の楽しさを知ったのは、当ブログをはじめてからでした。
それまでは、何の気なしの空気みたいなものでした。
安野さんの本を、少しづつ、古本で集める楽しみ。
最近は、高峰秀子著「にんげんのおへそ」(文芸春秋・平成10年)が
古本で200円なので買いました。そのあとがきを引用。
「・・装丁は、私が常日頃から敬愛する御存知、安野光雅画伯です。
原稿の校正が終り、一日千秋のおもいで待ちこがれていた私のもとへ、
ようやく、表紙絵と題字のコピーが到着しました。・・・・
表紙の絵は、ごらんのように、こよなく愛らしいピエロの勢ぞろいです。
その表紙絵に、老眼鏡の目玉をくっつけて、じっと見入っていた
私の夫・ドッコイが呼びました。
『 いたぞ、いたぞ、ここにホラ、お前さんがいる! 』
夫が指さしたのは、最下段の、向かって左端の青い帽子のピエロでした。
『 なんでこれが私なのよ 』
『 ちょいと口をヒン曲げてさ、へそ曲がりのお前そっくりじゃないか 』
・・・そうおもって眺めまわすと、どのピエロの顔も、
どこかで見たような気がしてくるからふしぎです。
読者のみなさんも、このピエロたちの中に、御家族、お友だち、
あの人、この人をみつけて楽しんでください。・・・ 」(p194~195)
そして、つぎにパラリとひろげたのは
安野光雅の『皇后美智子さまのうた』(朝日新聞出版・2014年)
こちらは、新品のような古本で送料とも301円。
こちらに、高峰秀子が出てくる箇所がありました(p70)。
そのページのはじめに、美智子さまのうたがありました。
「 ことば…平成4年
言の葉となりて我よりいでざりしあまたの思ひ今いとほしむ
これは、もしや失語症のことではあるまいな、と思う。
高峰秀子が病気になったとき、夫の松山善三が
『 失語症になっちゃってさあ 』と電話をくれたことがある。
電話をくれたくせに
『 いま代わるから 』といってすぐ秀子女史に代わったが、
その後の様子から判断して、秀子さんは
よほど具合がよくなかったのかもしれない。
でも秀子さんは話ができ、そして先に逝った。
善三さんはいまもあまりしゃべらない。
皇后美智子さまが失語症になられた、
という報道を読んだことがある。
失語症といってもいろいろあるらしいが、ひらたくいうと
ストレスがたまるとこれにかかる場合があるらしい。
・・・ありすぎるのかもしれない、だから失語症になられたのだ。
くわしいことはわからないが、わたしたちとしては、
ご苦労をおかけしたくないと祈るだけだ。 」
はい。これが本をひらいた右側にある文で、
その左側は、安野さんの淡い「アカバナマンサク」の枝・花の絵。
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