和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

御存知、安野光雅画伯。

2023-05-06 | 他生の縁
安野光雅の楽しさを知ったのは、当ブログをはじめてからでした。
それまでは、何の気なしの空気みたいなものでした。

安野さんの本を、少しづつ、古本で集める楽しみ。
最近は、高峰秀子著「にんげんのおへそ」(文芸春秋・平成10年)が
古本で200円なので買いました。そのあとがきを引用。

「・・装丁は、私が常日頃から敬愛する御存知、安野光雅画伯です。
 原稿の校正が終り、一日千秋のおもいで待ちこがれていた私のもとへ、
 ようやく、表紙絵と題字のコピーが到着しました。・・・・

 表紙の絵は、ごらんのように、こよなく愛らしいピエロの勢ぞろいです。
 その表紙絵に、老眼鏡の目玉をくっつけて、じっと見入っていた
 私の夫・ドッコイが呼びました。

 『 いたぞ、いたぞ、ここにホラ、お前さんがいる! 』

 夫が指さしたのは、最下段の、向かって左端の青い帽子のピエロでした。

 『 なんでこれが私なのよ 』

 『 ちょいと口をヒン曲げてさ、へそ曲がりのお前そっくりじゃないか 』

 ・・・そうおもって眺めまわすと、どのピエロの顔も、
 どこかで見たような気がしてくるからふしぎです。

 読者のみなさんも、このピエロたちの中に、御家族、お友だち、
 あの人、この人をみつけて楽しんでください。・・・  」(p194~195)


そして、つぎにパラリとひろげたのは
安野光雅の『皇后美智子さまのうた』(朝日新聞出版・2014年)
こちらは、新品のような古本で送料とも301円。

こちらに、高峰秀子が出てくる箇所がありました(p70)。

そのページのはじめに、美智子さまのうたがありました。

「  ことば…平成4年

  言の葉となりて我よりいでざりしあまたの思ひ今いとほしむ


    これは、もしや失語症のことではあるまいな、と思う。
    高峰秀子が病気になったとき、夫の松山善三が

   『 失語症になっちゃってさあ 』と電話をくれたことがある。
    電話をくれたくせに
   『 いま代わるから 』といってすぐ秀子女史に代わったが、
   その後の様子から判断して、秀子さんは
   よほど具合がよくなかったのかもしれない。
   でも秀子さんは話ができ、そして先に逝った。
   善三さんはいまもあまりしゃべらない。

   皇后美智子さまが失語症になられた、
   という報道を読んだことがある。
   失語症といってもいろいろあるらしいが、ひらたくいうと
   ストレスがたまるとこれにかかる場合があるらしい。

   ・・・ありすぎるのかもしれない、だから失語症になられたのだ。
   くわしいことはわからないが、わたしたちとしては、
   ご苦労をおかけしたくないと祈るだけだ。     」

はい。これが本をひらいた右側にある文で、
その左側は、安野さんの淡い「アカバナマンサク」の枝・花の絵。



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