和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

タケノコ飯・おでん・まんじゅう。

2023-06-21 | 他生の縁
古本で、森浩一著「食った記録」(sure・2005年)を手にしました。
「喜寿記念特別出版」とあります。

あれれ、ここにも、司馬遼太郎・須田剋太画伯がおりました。(p28∼30)

「四川省のあと雲南省に滞在し、昆明から上海へ飛んだ。
 1981年のこの回の旅は、最初に江南の各地を見てまわったので、
 旨いといってもぼつぼつ中国料理に飽きかけていた。

 それに機内では暇だったので、ぼくが
 『今、ものすごく食べたい日本食はなんですか。一点ずつ記入してください』
 のメモをまわした(口絵参照)。

 すると一番に司馬さんは青いボールペンで『タケノコ飯』と書かれた。
 ・・・・因みに、ぼくはこの時、『おでん』と書いた。

 同行の須田剋太画伯は『まんじゅう』。
 須田さんは服のポケットにエンピツやケシゴムとともに
 無造作に饅頭がほおりこまれているのに驚いたことがある。

 司馬さんはタケノコ飯がすごく好きだった。・・・・

 司馬さんは偏食とはいえ、このように好きなものをはっきり主張される。
 そのことが清張さんと違っていた。

 『街道をゆく』の『中国・蜀と雲南のみち』で、
  竹内叔雄の『竹の本』のなかの焼筍の作り方を引用している。

  そのあと『こういうものは現実に食べるのはおろか、読んで想像するほうがいい。
  想像するだけであふれるような味覚を感じてしまう』。と述べておられる。

  人間の胃袋には限りがある。
  ぼくには不可能なことだが、想像で食べて満足する。・・・

  ぼくは2001年の暮れに急に入院する破目となり、
  それから医学的には『病人』扱いである。
  強がっていても、意図的に食物の量をへらしたり・・・

  でも今もっとも食べたいもの(気分だけであっても)はある。・・・」

はい。こうして食にまつわる、ご自身のさまざまな本からの抜粋で
なりたっている一冊なのでした。本文イラストも森浩一。

ちなみに、私はこの引用した箇所だけでもう満腹(笑)。

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