山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

カサスゲ(カヤツリグサ科)

2021年05月30日 | カヤツリグサ科
 沼や池などの水湿地に生育する大型の多年草である。茎の高さは40~100cmになる。葉は硬く、幅4~8㎜。小穂は4~7個付き、一番上の1本だけが雄花で、残りの太い穂は雌花。雄小穂は茶褐色で、長さ4~7㎝の線形で、痛んでちぎれやすい。雌性の側小穂は長さ3~10㎝、幅約5㎜の円柱形。鱗片が赤褐色を帯びるのが特徴。果胞は熟しても膨らまない。果実は結実しないことが多い。柱頭は3岐。和名のカサスゲ(笠菅)の由来は、丈夫な長い葉を笠や蓑に利用したことから来る。

 2018年山梨県絶滅危惧Ⅱ類 2017年環境省-


    カサスゲ。先端の茶色い部分が雄小穂、下が雌小穂。令和3年4月 韮崎市の高層池で撮影。


    同上。雄小穂は痛んで千切れやすい。


    たくさん生育しているが穂を出しているものは少なかった。


    雌しべを出している雌小穂。


    雌しべが落下した雌小穂。鱗片は先端が尖り、辺縁が赤褐色を帯びる。

⇒山梨県の絶滅危惧のカヤツリグサ科植物一覧

⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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ヒナスゲ(カヤツリグサ科)

2021年05月30日 | カヤツリグサ科
 林内や渓谷沿いの岩上を好んで生育する小型の多年草である。茎は糸状で高さ5~20㎝、基部の鞘は灰褐色ないしは赤紫色である。葉は糸状で柔らかく、二つ折れになりやすい。雌雄異株で、雄株の雄小穂は茎頂に1個付き、線形で赤紫色。雌株の雌小穂は疎に3~6個付く。雌花の鱗片は光沢があり濃赤色を帯び、果胞と同長か少し長い。果胞は有毛で柱頭は3岐。根茎は少し伸びて緩く叢生する。山梨県では主に県の北部に分布し、生育地、個体数とも比較的多い。

 2018年山梨県準絶滅危惧 2017年環境省-


    ヒナスゲ雄株。令和3年4月 西沢渓谷で撮影。


    雄株の雄小穂は茎の先端部に1個付き、線形で赤紫色。


    雌株


    雌株の雌小穂は3~6個付く。鱗片は濃赤色を帯びる。


    基部の鞘は赤紫色ないしは灰褐色。

 良く似た雌雄同株のサナギスゲが山梨県に生育しているらしい。

⇒山梨県の絶滅危惧のカヤツリグサ科植物一覧

⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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皆既月食撮影成らず 甘利山 令和3年5月26日

2021年05月30日 | 月富士
 期待していた皆既月食であるが、時期が時期だけに撮影は難しいだろうと予想していた。予定していた撮影候補地は本栖湖湖畔、赤石林道展望台、そして甘利山である。天候が良ければ富士山に近付いて撮影し、悪ければ距離を離して山の上から撮影しようという目論見である。この日の天気予報、雲画像を見てもあまり期待できそうに無く、山上から狙うことにして甘利山に行ってみる。ここで月が見えなければおそらく山梨県は全域ダメであろう。夕方4時半に甘利山展望台に到着した頃には富士山が姿を現し、ところどころ青空が見えていたので。これはいけるかもしれない、とこの時は思った。月の出は6時40分ごろなので、その前に山頂周辺の散策に出かける。


    午後4時50分、富士山が姿を現している。


    見下ろす甲府盆地と富士山。青空が見えておりこれはイケるかも知れないとこの時は思った。


    レンゲツツジはまだ蕾である。


    もうすぐほころびそうなレンゲツツジ。あと2週間もすれば他の場所も咲いているのではないだろうか。


    マイヅルソウが満開


    ヒメスゲ


    ヒメカンスゲだと思っていたスゲはどうやらシロイトスゲのようである。

 さて、展望台に戻ってカメラを3台セットする。1台は固定して町灯りと富士山と月を30秒のインターバルで切り続ける。もう1台は570㎜望遠レンズを装着して簡易赤道儀に乗せて月を追尾する。そしてもう1台はフリーにして適当に撮り歩く。陽が沈み町明かりが灯り始めた頃、そろそろ月の出の時間だが…その頃には富士山は見えるものの空は雲が広がり月も星も見えない。


    町灯りが灯り始めた。そろそろ月の出の時間だが・・・見えない。


    7時半過ぎ、うっすらと月が見える。欠けているはずだがそこまでは見えない。


    あと15分ほどで皆既する月。


    月の形までは見えず。


    皆既まで10分を切っている細い月が一瞬見えた。うっすらと赤くなっているようにも見える。


    しかし、その後は月の姿は見えず。


    富士山も見えにくくなってしまい、皆既が終わる8時半ごろまで待って撤退となった。


    赤道儀で追尾した画像は北極星が見えないため極軸が合わず、月も捉えることが出来ず。撮影出来たのは皆既直前のこのカットのみだった。


    午後9時、林道から見上げると細い月が姿を現していた。その後は再び雲隠れしてしまった。

 残念な結果となってしまった皆既月食の月だが、この季節は雲が多いのでなかなか撮影は難しい。11月にもう一度皆既に近い月食が起こるので、次に期待したいと思う。


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ヒメシャガはあるのか? 令和3年5月25日

2021年05月30日 | 山に咲く花
 山梨県に咲くヒメシャガはネットを探してもほとんど情報が無く、レッドデータブックのメッシュ表示くらいしか見当たらない。花仲間とともに散策している際に偶然その花の情報を耳にして、探しに行ってみることにした。長い林道歩きがあるので、林道周辺の草と苦手な木を見ながら歩いてみることにする。


    良く見かけるこの花くらいはなんとなく分かる。


    ウツギ。ヒメウツギとの区別はまだいまいち。


    時々見かけるが名前は知らなかった。調べてみるとコゴメウツギというウツギの仲間。


    ハリエンジュ。フジの仲間。


    ガマズミ


    黒い実が成っている。ハンノキの仲間か?


    木の幹を見ると剥げ落ちている。ヤシャブシのようである。


    ?


    おそらくテキリスゲ。葉が硬くてざらつき、辺縁で手を切ることからこの名がある。


    先端が雄小穂、下に雌小穂が数個付く。


    林道脇にたくさん生えていたこのスゲ。


    マスクサと思われるが果胞が細長くヤブスゲのほうかも知れない。もう少し小穂の詳細な写真を撮って来るべきだった。


    沢の脇に生えていたのはナルコスゲと思われる。

 他にも多数撮影したが調べても分からないものが多い。樹木図鑑はまだ使いこなせておらず、まずは樹木の科を覚えることが先決かと思う。


    試練の階段を昇る。


    水の滴る岩壁の脇まで登って来た。


    生えていたのはニッコウキスゲか?


    道を戻って別の場所を探してみると、それらしきものが咲いていた。


    咲いていた。探し物のヒメシャガ。


    良く見かけるシャガに比べてひとまわり小型で葉が細い。花はシャガに似ているが全体的に水色である。


    葉を含めても個体数は少なく、咲いていたのは10輪ほどだった。

 時刻は午後6時近くになってしまった。林道を少し足早に歩いて戻り、なんとかヘッドライト点灯するギリギリの時間に駐車場まで戻った。


    途中で出会った奇怪なテンナンショウ属。


    これはカラスビシャクではないか。自生なのか、それとも園芸品が広がったものなのか?漢方薬の半夏として使われる植物。

 会えるかどうか、かなり難しいだろうと思っていたヒメシャガだが、噂に聞いた山域でなんとか出会うことが出来た。後に別の花仲間からこの花の情報をいただいたが、同じ場所だった。山梨県ではなかなか見ることが出来ない花だと思う。

コメント (3)
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