山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

北岳(2日目)池山吊尾根を行く ~池山小屋から北岳山荘へ~  令和4年7月18日

2022年07月24日 | 山に咲く花
 3泊4日の予定で池山吊尾根を経由しての北岳登山であるが、そのうちで本日がいちばん長くて辛い行程である。20㎏近い荷物に三脚をカメラを持っての山歩きなので相当疲れるのは必至であろう。花を撮影しながらということもあるのだが、私の足だと10時間で北岳山荘に到着出来れば良いほうなのではないかと思う。朝5時前には目を覚まして食事をとり、6時に池山小屋を出発する。


    池山吊尾根のシラビソとツガを主体とした樹林帯。シラネワラビが群生している。


    登山ルートは明瞭だが結構な急登も何ヶ所かある。


    ミツバオウレンかと思っていたが葉っぱが5枚のものも混じっている。これはコガネイチゴであろう。


    ミヤマカラマツであろう。


    樹林帯の林床にはコフタバランがたくさん花を咲かせていた。


    群生していたコフタバラン


    花を咲かせていたキソチドリ


    キソチドリの花。距が長く下向きに曲がる。上萼片は長めでバンザイするように開き、時として捻れる。


    見たかったのがこの白いイチヨウラン


    標高2,200mを越えたあたりからこのようにホクロの無い白いイチヨウランが見られることがある。


    別株


    今回見たものは小さな斑点が入っているが、完全に真っ白なものもある。その年の気温によるのではないかと思う。


    森林限界を超えて一気に展望が開ける。


    鳳凰山


    富士山は大部分が雲に隠れてしまっている。


    ハクサンシャクナゲと鳳凰山


    チョウジコメツツジの群落


    ピンク色の濃いチョウジコメツツジ。花弁は4枚、雄しべは4本。


    タカネニガナ。後ろに見えるのは農鳥岳。


    間ノ岳と農鳥岳


    富士山が見えてきた。


    やっとボーコン沢の頭に到着。


    北岳の眺望が素晴らしい。


    チシマギキョウ。背景は北岳。


    真っ赤な花が付いている。これはオオバスノキと思われる。


    真っ赤な花が付いているハイマツの雄花。叩くと黄色い花粉が舞う。


    チングルマ、コイワカガミ、アオノツガザクラ3種揃い踏み


    シコタンソウの群生があちらこちらで咲いている。

 八本歯の頭からコルへの下りは高度感がたっぷりで傷んだロープが頼りなく、疲れた足で下りるのはスリルを越えた恐怖感があった。八本歯のコルからハシゴを登って岩場を過ぎれば、様々な花が咲き誇るトラバース道である。時刻は午後3時を過ぎてしまったが、豊富な花があるのでとても急いで北岳山荘に到着しようという気にはなれない。


    八本歯のコルのハシゴの脇に咲いていたアカイシミヤマクワガタ


    岩の下に咲いていたイワヒゲ


    探していたクモマスズメノヒエはこれでもかというくらいにたくさん生えていた。


    小型のカラマツソウの仲間が咲いている。葉は見たことがあるが花が咲いているのは初めて見る。


    これは探していたヒメカラマツ。こんなところで出会えるとは驚きである。


    小さなツメクサの仲間。


    これは小型のホソバツメクサか?それとも別物?


    きわめて小型である。


    岩の隙間に生えるミヤマムラサキ


    ミヤマムラサキの群生


    判別の難しいハタザオの仲間


    茎や葉には星状毛がたくさん生えている。


    種を見てみると平べったくて真ん中の幅が広い。


    これはハクホウナズナ(キタダケナズナ)ではないかと思う。


    別のハタザオの仲間


    葉が茎を抱いており、これはウメハタザオと思われる。


    花を期待していたクロミノウグイスカグラだったが・・・


    既に結実していた。

 トラバース道の道沿いを花やシダを探しながらじっくりと歩いたこともあるのだが、テント泊予定地の北岳山荘に到着したのは午後6時近くになってしまった。小屋番の方には心配をかけてしまい申し訳ないことをしたが、初めて見る植物を何種類も見ることが出来た。足がかなり疲れてしまい、明日予定している間ノ岳側の散策には支障が出てしまいそうである。その前に、今晩から天気が荒れ模様となり、明日は暴風雨に見舞われそうである。おそらく、明日の宿泊予定地の北岳肩の小屋に移動するのが精一杯ではないだろうか?テントを張る頃には風が吹き出し小雨が降ってきた。明日はどうなることやら?

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北岳(1日目)池山吊尾根を行く ~あるき沢橋から池山小屋へ~  令和4年7月17日

2022年07月24日 | 山に咲く花
 北岳に行く計画を立てたが、今回は3泊4日という長期滞在、かつテント泊という計画である。いつもの広河原から入山するのでは無くて、今回はルートの長い池山吊尾根を登る計画である。もう何年もテントを担いでおらず一抹の不安があり、特に2日目の池山小屋から北岳山荘までのルートはコースが長く長時間の行動時間を強いられるのは必至であろう。さて、無事に登って帰って来られますかどうか?まずは広河原まで行き、奈良田行きのバスに乗り換えてあるき沢橋で下車し、そこから登り始める。


    広河原アルペンプラザ。背中側には新築された広河原山荘が営業中。空模様はいまいちだが雨は降らなそうである。


    バス停の裏に変わったカエデの木が生えていた。


    蝶型の実がたくさん付いている。葉が変わっていて切れ込みのある長ハート形をしている。これは探していたカラコギカエデであろう。


    広河原で奈良田行きのバスに乗り換えてあるき沢橋で下車する。このバス停の裏側が登山道に入る。


    登山道脇に生えていたトチバニンジン


    頭を持ち上げたばかりのシャクジョウソウ


    ウリハダカエデに似ているがこちらは葉が大きくてやや光沢があり、ちょっと違う。


    これはテツカエデであろう。この山域ではこれが主体になるようである。


    シラネワラビが至るところに生えており、群落も形成している。


    他にもいろいろなシダが生育している。


    これはシノブカグマであろう。


    ミヤマイタチシダと思われる。


    葉にやや光沢があり第一羽片の下向き最下小羽片が大きく張り出している。


    流線型の細長いイノデの仲間、ホソイノデであろう。


    鱗片は薄い。


    パラパラと生えているこのシダ


    ミヤマシダと思われる。


    似ているがこちらは第一羽片の下向き最下小羽片が大きい。


    これはナンタイシダと思われる。


    やや大き目のソーラスが裂片の辺縁上側に付いている。


    イチヤクソウの仲間が咲いている。葉はたくさん見かけるが咲いているものは少ない。これはコバノイチヤクソウであろう。


    これもコバノイチヤクソウ


    これは葉脈の白い筋が明瞭。ジンヨウイチヤクソウであろう。


    これもジンヨウイチヤクソウ


    キソチドリはまだ蕾。小さな葉はたくさん見かけるが花を付けているものは少ない。


    まだ蕾のミヤマウズラ


    針葉樹林の下に咲いていたコイチヨウラン


    群生はしていなかったがそれなりに多く咲いていた。


    探していた小さな白いラン、アリドオシラン。


    まだほとんどが蕾だった。


    草地に立ち寄ってみる。


    これはクサイの群落と思われる。


    草地の中にたくさん茂っているスゲ


    これはヒメカワズスゲであろう。圧倒的な群落である。


    結実したヒメカワズスゲ


    水辺には別のスゲが生えている。


    これはミノボロスゲであろう。


    本日の宿泊地、池山小屋に到着。


    小屋の前には素晴らしい草地と湿地が広がっている。


    イネ科の草が群生している。これはヌマガヤではないかと思う。


    苔の生える湿地


    群生しているスゲはヒメカワズスゲ

 コースタイムを遥かにオーバーし、5時間という長時間を要して池山小屋に到着した。それなりに良い植物観察が出来たと思うのだが、重い荷物を担いだままの撮影には苦労を要した。今回のいちばんの目的はイチヤクソウの仲間を探すことだった。かつて池山小屋の近傍にエゾイチヤクソウという花が生育していたらしいのだがまだ残っているのかどうかは確認されていない。同行メンバーとともに池山小屋周辺の樹林の中や湿地の周辺を探してみたのだが、残念ながら発見出来なかった。

 他の登山者は居らず、池山小屋は同行メンバー3人で貸し切り状態となった。電波が届かずちまたの情報が入らないことと天気予報が見られないことは不便ではあるが、明日は晴れるはずである。8時前にはシュラフに潜り込んで明日は早朝に出発の予定である。

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