Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

翻訳の工夫(3)

2021年04月05日 06時29分47秒 | Weblog
 「アンティゴネー」の中のクレオンの有名なセリフ、「親族を己の祖国よりも大事と心得るような輩も、無に等しい奴だ。」と「この国に仇する者は、断じて自分の友とは見なさぬ。」は、訳し方に工夫が必要だそうである。
 というのは、ギリシャ語では、「親族・親しい者」と「友」とは、「プィロン」という同じ言葉で表現されるからである(「誰のために法は生まれた」p217~218)。
 したがって、クレオンの矛盾を分かりやすく示すためには、「親族(プィロン)」、「友(プィロン)」という風に訳すべきなのだろう。
 ちなみに、「ツァラトゥストラ」第2部・5(有徳者たちについて)にも、次のような、言葉遊びが出てくる。
 Und wenn sie sagen:>>ich bin gerecht, >>so klingt es immer gleich wie: >>ich bin gerächt!<<
 「彼らが、「私は正しい」と言うとき、それはいつも、「わたしの復讐欲は満たされた」と言っているように響く。」(訳:吉沢伝三郎)
 
 ここも、分かりやすくしようとすれば、「彼らが、私は正しい(イッヒ・ビン・ゲレヒト)」と言うとき、それはいつも、「わたしの復讐欲は満たされた(イッヒ・ビン・ゲレヒト)」と言っているように響く。」という風に訳すべきなのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする