勝訴の見込み

コロナ禍での解雇「無効」　バス会社に賃金支払い命じる
　「新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した観光バス会社から整理解雇された運転手の男性が、雇用関係の確認と未払い賃金支払いを求めた仮処分の申し立てで、福岡地裁は「解雇は無効」として、男性に月約18万5千円を支払うよう会社に命じた。コロナ禍での解雇をめぐる司法判断はまだ例が少なく、専門家は「コロナを理由にした安易な解雇に警鐘を鳴らすもの」と評価している。」

　いわゆる「コロナ解雇」の相談を受けることがあるが、その場合に難しいのは「勝訴の見込み」についての説明である。
　仮に、従来の「整理解雇の４要素」が「コロナ解雇」にもそのまま妥当するというのであれば、約９万８０００件にものぼる解雇の多くが無効ということになるのだろうが、果たしてそのように断言できるか、確信が持てないのである。
　確信が持てないのは裁判官も同じらしく、私が担当した事件では、第１回期日からさっそく「早いかもしれませんが、この段階で和解についてのご意見を聴きたいと思います」と和解を打診してきたというものがあった。
　ちなみに、この事件は、提訴から約半年後に勝訴的な内容の和解で終結した。
　おそらく、かなりの事件が和解で終結しているのではないだろうか？
　そうなると、迅速な解決という点はよいのだが、裁判所の判断が示されないので、基準がよく分からないということになってしまう。