Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

9月のポトラッチ・カウント(7)

2024年09月23日 06時30分00秒 | Weblog
 「ちょうど季節は雛祭り。立派な雛飾りを前に、突然入鹿に嫁入りするよう諭される雛鳥。事情を聞かされ、はじめは母の意見を聞き入れようとはするものの、やはり自分は久我之助の妻になりたいと嘆く。それは死んであの世で添い遂げることを意味する。
 一方、久我之助は、入鹿の探している女性の行方を知っており、仕えたところで拷問の末に殺されるに違いないと悟り、それならば武士らしく切腹すると決意する。そして雛鳥が自分の後を追って来ないように、自分は入鹿に従ったことにしてほしいと父に託し、愛しい恋人の命を守ろうとする。
 最早、命を救うことはできないが、我が子が愛した人の命は救いたい。同じ想いを抱える定高と大判事は、互いに入鹿に従うことを示す、花のついた桜の枝を川に流すのだった。

 あれほど反目しあっていた両家だが、相手の”イエ”を救うため、なぜか”自己犠牲合戦”を始める。
 大判事は、「助くるはまた(太宰の)イエのため・・・」と述べて、久我之助を切腹させ、雛鳥を救おうとする。
 対する定高も、入内の命令を聞いた時から、実は雛鳥の首を斬って入鹿に渡すつもりだったと述べる。
 大判事と定高は、お互いに「花の付いた桜の木」を川に流し、入鹿の命令を受諾したという虚偽の合図を送る。
 だが、二人が子を殺した瞬間、鳴き声がこだまのように響き、相手もまた子を殺したことが発覚する。
 かくして、自殺の次に強力なポトラッチである「子殺し」(「周辺」からの逆襲(3))が、両家の”自己犠牲合戦”という形で実行された。
 定高は、雛の道具を流れ灌頂にし、雛鳥の首を雛の輿乗り物に乗せて、対岸の大判事に送る。
 これを受け取った大判事は、久我之助の首を斬り落とし、2つの首を並べて、婚礼の儀を執り行うのであった。
 ・・・いかにも近松半二らしいグロテスクな結末で(6月のポトラッチ・カウント(3))、温厚な私も、さすがに彼に対する殺意を抱いてしまった(といっても、既に死んでいるが・・・)。
 というわけで、「妹背山婦女庭訓」より「太宰館花渡し」と「吉野川」のポトラッチ・ポイントは、5.0×2人=10.0。
 

コメント
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