1st Stage:辻󠄀井伸行 《ベスト・オブ・リスト》
・リスト:コンソレーション 第3番/愛の夢 第3番/ため息/コンソレーション 第2番/リゴレット・パラフレーズ
2nd Stage:加古隆 《ベスト・オブ・加古隆》
・加古隆:ジブラルタルの風/湖沼の伝説/黄昏のワルツ/パリは燃えているか/ナイルの源流にて/ポエジー 他
3rd Stage:小曽根真 《SOLO》
・演奏曲は当日発表いたします
毎年楽しみにしているコンサート。
私にとっては、「音楽とハイキング」を同時に楽しめるというのが最大の魅力である。
翌日のハイキングも大事なので、フェスティバル4日間のうちコンサートは22日の1コンサートだけ予約したのだが、あいにくの天候不順。
そういえば、2年前も土砂降りで(雨音はドビュッシーの調べ)、ハイキングは中止にしたのだった。
さて、辻井さんはオール・リストの選曲で、事前の解説では、
「『ため息』という曲は、右手と左手を交差させる場面が多いので、弾くのが非常に大変です」
という話だったが、まさにその通りだった。
辻井さんの場合、鍵盤の位置を”体”で把握していると思われるのだが(このことは、演奏前のルーティンを見ると分かる)、手を交差させると、一旦把握した鍵盤の位置がどうしてもずれてしまうのだろう。
というわけで、辻井さんには珍しく、チラホラとミスタッチが見られた。
アンコールもリストで、これは定番の「ラ・カンパネラ」。
例によって超高速での演奏で、演奏後はブラボーが飛び交っていた。
ちなみに、ピアノの音に触発されたのか、「ラ・カンパネラ」に合唱するかのごとく、近くにいた鳥たちが高音でさえずりを始めたのがこのシアターならではの出来事であった。
2番手の加古さんが弾いた曲は、ホームページに掲載されたものとはやや違う。
・ジブラルタルの風
・ポエジー
・グラン・ボヤージュ
・パリは燃えているか
・ナイルの源流にて
・(アンコール)黄昏のワルツ
という曲目だった。
加古さんは、私見では、アンドレ・ギャニオンのような、「心にしみわたる」演奏が特徴だと思っていたのだが、「ナイルの源流にて」は意外にも激しさを含んだ曲で、驚いた(もちろん名曲)。
ラストは小曽根さん。
ライブで聴くのは初めてだが、いかにも気持ちよく演奏するので、川口成彦さんを筆頭とする「気持ちよさそうに弾くピアニスト」のカテゴリーに入れたくなる。
曲目は、
・ブラック・フォレスト
・ガッタ・ビー・ハッピー
・ミラー・サークル
・?
・「こどもの樹」(ピアノ:壺阪健登さん、トランペット:松井秀太郎さんとのトリオ)
・アンコール曲:不明
だった(はず)。
小曽根&壺阪さんは、拍手する・足で床を踏み鳴らす、などのジャズ的な動きを交えた演奏で、見ていても楽しい。
辻井さんと小曽根さん&壺阪さんを見て強く感じたのは、皆さん「陶酔しながらもしっかり覚醒して演奏している」というところである。
完全に「陶酔」してしまうと、演奏が出来なくなるわけで、楽器を弾く手は(自動的に動いているかのようだが)ちゃんと覚醒している必要があるのである。