Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(3)

2024年09月05日 06時30分00秒 | Weblog
 さて、本来であれば、次にもう一つの「人」の要素である「騎手(ジョッキー)」について検討すべきところだが、今回はこれに相当するものが見当たらないので割愛する。
 こうしてようやく「馬」(候補者)の検討に入るわけだが、高本公夫氏のような予想家は別として、やはり、「血統」は最も重要なファクターであると考えられている。
 今回のレースでも、①、②(但し、娘婿)、④、⑨、⑩ の5名(5頭)が「血統」のすぐれた「世襲候補」であり、とりわけ④(K.S.号)は、元首相の息子として大きな注目を浴びている。
 この「血統」だが、”イエ”と言い換えた方が本質を捉え易いと思う。
 この”イエ”は(ついでに言うと、派閥ないし党という集団も)、基本的に「枝分節」の性質(ものすごく大雑把に言うと、主体間の関係が非対称的(優位/劣位)であること)を持っていると見てよいだろう(なお、「枝分節」の正確な定義は「政治の成立」p82以下をご参照)。
 私見では、日本で長らく猛威を振るってきた枝分節集団は”イエ”であり、日本人が集団を組成する場合は、中学校の部活であれ、刑務所内のグループであれ、だいたい”イエ”の原理が作用していることが多いと思う。
 しかも、これは、集団の組成・維持・拡大のための行動原理であるだけでなく、一種の宗教でもある((カイシャ人類学(8)))。
 そして、先に挙げた5名(5頭)は、もろに”イエ”の原理を体現しているのである。
 面白いのは②(K.K.号)で、「娘婿」でも”イエ”の当主になることが出来ること、すなわち西欧の”agnati”(父系)原則をとらないという、”イエ”の特殊性をあらわしている。
 さて、柳田國男の指摘によれば、”イエ”にはいわゆる「祖霊」が存在する。
 そして、現在の政界につながる「祖霊」の始祖は、19世紀前半に誕生した、薩摩・長州・土佐の藩士又はその子孫8名と(意外だが)徳川慶喜の計9名である(以下、便宜的に「祖霊ナイン」と呼ぶことにする。)。
 しかも、彼らの子孫が、現在の政界(と財界)でも猛威を振るっている。
 誤解を恐れずに言うと、
藩閥政治は今も続いている
のである。
 これがウソだと思う人は、「世襲議員という巨大な差別 差別の歴史を遡ってわかった! 」の、末尾の「明治から現在まで続く世襲家系図」を見てみると良い。
 念のため補足すると、江戸時代に存在した最大の”イエ”は、「藩」だった。
 ”イエ”は「入れ子構造」を成しており、個々の”イエ”は、より上位の”イエ”に組み込まれる形となっていたが、その最上位に「藩」が位置していたのである。
 (なお、ここでは、江戸時代の統治体制を「各藩による連合国家」とみる立場を採用している。)
 
コメント
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