Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

9月のポトラッチ・カウント(8)

2024年09月24日 06時30分00秒 | Weblog
 夜の部・後半の演目は、「勧進帳」。
 もはやあらすじは言うまでもないが、興味深いのは、弁慶:幸四郎、富樫:菊之助という顔合わせ。
 かつては、義兄弟になる可能性が高い二人だったのである。

 「当然ながら、菊五郎の憤慨はすさまじかった。
「隠し子騒動で迷惑をかけたうえに、娘を“ポイ捨て”されたわけですからね。菊五郎さんの音羽屋は白鸚さんの高麗屋と共演NGに。襲名、追善、顔見世といった歌舞伎界全体の催し以外は“完全無視”という状態になってしまいました」(松竹関係者)
 しかし3年後、両家の関係は意外なかたちで修復される。
「'06年11月に幸四郎さんは菊之助さんと、'07年2月には白鸚さんと菊五郎さんが共演再開。3年足らずでスピード和解した背景には、父の白鸚さんの誠意のこもった謝罪があったそうです。幸四郎さんが“天然系”なのも幸いしましたね。どうにも憎めないところがあり、菊五郎さんも怒り続ける気が薄れたのでしょう」(同・松竹関係者)

 さて、「勧進帳」は、(義兄弟ではなく)実の兄弟(頼朝と義経)の争いが背景にあるのだが、目立つポトラッチとしては、一番の見どころとも言うべき、弁慶が義経を
 「金剛杖を押つ取つてさんざんに打擲す
場面と、それでも納得しない富樫に弁慶が
 「まだこの上も、おん疑い候はば、この強力、荷物の布施物(ふせもつ)もろともに、おあずけ申す。いかようにも、究明あれ。ただし、これにて、打ち殺し、見せ申さんや 
と述べるくだりがある。
 要するに、「主君に対する(見せかけの)殺人未遂」である。
 これは、主君を守るためとは言え、「忠義」に明らかに反する行為であり、「忠義」を犠牲に供するものと言える。
 なので、疑似ポトラッチと見ることができると思うが、ポイントは、実際の殺人と同等とみて、(やや強引だが)5.0と認定。
 これ以外のポトラッチとしては、関守に止められた弁慶+四天王が、「最期の勤行」を行う場面が挙げられる。
 謡曲では、弁慶が次のように語る。
 「この上は力及ばぬ事、さらば最期の勤めを始めて、尋常に誅せられうずるにて候
 「最期の勤めを始め、その上で大人しく斬られることにします」というのだから、5人は義経のため自らを犠牲に供しようとしたわけである。
 このくだりのポトラッチ・ポイントは、5人分だが未遂に終わるため、5.0×0.5=2.5と認定。
 以上のとおり、「勧進帳」のポトラッチ・ポイントは、5.0+2.5=7.5。
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