「こうした儀礼の中で特に重要なのはポトラッチである。枝分節固有の贈与交換をエスカレートさせて相手が全く返せないよう贈与してしまう。すると相手の枝分節上の地位はゼロとなって、その相手はすべてを投げ出さざるをえなくなって、完璧な服従状態に陥ることになる。」(p118)
ポトラッチは、未開社会でのみ起こるものではない。
現在の日本で実際に起こっていることである。
私見では、最も強力なポトラッチは、自殺である(ポトラッチとしての自殺)。
ニュースなどで取り上げられたものだと、最近では以下の2つが挙げられる。
「彼を擁立し、後ろ盾となっていた維新の会も一転、9日に齋藤知事へ辞職を申し入れた。12日には、自民を始めとする他の全ての会派もそろって辞職を求める、異例の事態が訪れた。 「それでも齋藤知事は、辞職しないといわれていますが、いずれにせよ政治家としては詰んでいます。辞職しない場合、県議会が始まる19日以降に不信任決議案を提出されるでしょうが、たとえ彼が反撃として議会を解散させたところで、もはや手遅れです。全会派が続投を望んでいない状況では、新議会が不信任案を再採決し、可決されれば失職するわけですからね」(同)」
「全てを投げ出さざるをえなくなる」のは時間の問題のようだ。
「前山が復帰作に選んだのは、新宿で11月に上演される「ある日の通り雨と共に」という作品だ。前山は物語のカギを握る役どころとされているが、13日、出演予定だった女優2名の辞退が、所属事務所から発表された。
芸能事務所「ZETT」はXを更新し、《公演に出演を予定しておりました弊社所属タレント、高橋彩香、湯田陽花につきまして、出演を辞退させていただく運びとなりました》と報告。《事務所の決定によるもので所属タレントの判断ではございません》とも補足した。」
当然のことだが、一時的な引退は「全てを投げ出す」ことと等価ではない。
①と②を比較すると、①は「返礼する義務」を一切拒否しているのに対し、②は不十分ながら「返礼する義務」の一部を履行したとみることが出来そうである。
とはいえ、二人とも、「命」を贈与されたことについての自覚が乏しいことは否めない
改めて、亡くなった三人に合掌。