パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

きっかけ

2008年04月13日 16時06分16秒 | Weblog
少年サッカーも新年度になって昨日で二日目
自分は今年も1.2年担当で、
日本語のわからない宇宙人とのバトルが
喉を痛めながら続けられるわけだが
今日は高学年、4年生以上だけ
同じ地域のサッカークラブとの練習試合が行われた

試合になるといつも悩むのは選手の起用
多すぎてどうしても試合に出られない子が出てしまう場合
練習によく来ている子を出すのはいいとしても
出てきても今イチおとなしかったり
プレーが遅かったり、ひ弱だったりする子は
どうしてもスターティングメンバーから外れてしまう

まして4年以上になったりすると
勝負のこだわりが大人の方にも大きくなって
戦力的に不安な子は使われづらくなっている

それでもかわいそう!ということで
キーパーなどをやってもらうことになると
キーパーは本来センターフォワード並みの
能力が要求されるものだから
おとなしい子はオドオドするばかりで
なかなか上手いかない

今日もそんな子がいた
ここ数年自分は低学年ばかりだったり
中学年を見たりして
その子のいる学年を見られなかったのだが
確かに試合に出られないかもしれない
プレーぶりだった

キーパーでボールを上手く受けられない
そして大きく蹴ることができない

だから彼は少し出ただけで
次はピッチの外で試合を眺めているだけになっていた

しかし、その姿はひどく落ち込んで、
しょぼんとしているようにみえた

小学生でも身体能力の差はいかんともしがたいことがある
早生まれのこと普通に産まれた子では
だいぶ差があっても不思議ではない

彼もひ弱な感じがしたので
何月生まれ?と聞くと
12月との答え


「いい僕!これからね、足腰が強くなったり
丈夫になったりするには
練習の始めにいつも行うダッシュを
意識的にしっかりするようにしなさい!
人より多くやったり真剣にやればきっと
一年もすれば絶対丈夫になるから」
と声をかけると
今まで我慢していた感情が一気にあふれて
目から涙が、それこそポロポロと流れ始めた

自分もそんな姿に驚くと同時に
切なくなってもらい泣きをしてしまいそうになった
彼はどんなに悔しかったことだろう!と

上手くできていない子は、たいがいの場合
元気なこの陰に隠れて無視されてしまう
彼もそんな悩みを発散する場所もないまま
今日を過ぎてしまうのはとてもかわいそうだった

それで思いつくまま、彼のなすべき練習方法を
1対1で教えてみた
低学年の場合、スピードや力強さはなくても
そのプレーが非常にきれいにできる場合がある

試しに彼にドリブルの仕方をアドバイスすると
大きくボールを蹴って走るのではなく
きちんとボールを足下から離れないように
運ぶことができる子だった
(それは1年の彼の弟がドリブル大好きで
元気いっぱいなのを思い出して
同じDNAなら得意とするプレーも同じだろうと
仮定してやらせてみたのだが)
実際、予想以上に早く円滑にできるようになった

今度はドリブルからの反転をインサイドでやらせてみると
まだまだおとなしくて上手くいかない
そこで、その前の身体の使い方を覚えさせてから
再度やらせてみるとさっきよりずっと上手くいく

この辺りから多分彼は何か手応えを感じたのだろう
顔の表情がうんと明るくなってきた
上手くなってきている
それが実感として感じられたのではないだろうか

こうなると、こちらはしめたものだ

子供たちが上手くなるのは、どういうわけか
ある日突然!みたいなところがある
何かキッカケをつかむと自信を得て
そこで自分から積極的になれて
コーちからもそこで褒められたりすると
嬉しくてますます夢中になっていく

それからしばらく上手くなっていく期間が続いて
その後で上手くなれない停滞時期を迎え
また大きくジャンプする様な時期を繰り返す

我々は教えるのではなく
そんな時期を個々によく見ながら
育てていく
自分はこんな風に考えている

多くの低学年の子の陥る悩みは、ゲームをすると、
自分のしたいことが皆と同じで
結局そのプレーをできるのは気の強い子だったり
スピードのある子だったりになってしまい
おとなしい子は外にはじかれて
ゲームに参加できない状況になってしまう
そんなことが続くと段々居場所を見つけられなくなったりする
まして、たまにボールに触ったりすると
固まるな、周りをよく見て!
などと言われたりすると、ますます悩んでしまったりする

自分はなるべく各人のボールタッチが多くなる様に
ゲームをさせている
つまり上手すぎる子は外したり
利き足でない方しか使っていけないと制限したり
またゲームの人数を少なくして
とにかくボールに触らせている

そしてもう一言!
君たちの世代では目の前にあるボールは
全部自分のボール!と考えなさい
上手な味方が見えても遠慮しなくていい
自分でゴールの方にボールを運ぶように蹴ったり
ドリブルしなさい
こんな風に言うことにしている

その結果、確かに固まってしまうが
夢中になっている子供たちの楽しそうなこと!

本当に我々のすることといったら
子供たちの上達のキッカケづくりと
その練習方法を考えること!につきるのではないだろうか?

来週、落ち込んだ彼も楽しそうに
練習にきてくれるといいのだが!


コメント
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