のちのおもいひに
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
これは立原道造の美しいソネット
自分が初めて書き写す行為をした詩
しかし何故か正確に覚えられなかった
読んでいるとうっとりしてしまって
覚えるどころではなかった
最初の出だしが好きだったが、今は2番目の
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
この部分が気になって仕方ない
ついつい今の自分に置き換えている
誰も聞いていないと知りながら語ることの辛さ ・寂しさ ・孤独
甘いだけではない寂寥感を感じさせるこのソネット
これを美しいと感じてしまうメンタリティーの人たちは
きっとたくさん傷ついたことだろう
確かに存在した何か美しいもの
それに対する郷愁
それは安易なポジティブな言葉の羅列よりも人の心に訴えかける
昔子供だった大人は
何か大切な事を忘れてしまってはいないか?
弱々しい中にも覚悟を感じられる大好きなソネット
ほんと美しい!
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
これは立原道造の美しいソネット
自分が初めて書き写す行為をした詩
しかし何故か正確に覚えられなかった
読んでいるとうっとりしてしまって
覚えるどころではなかった
最初の出だしが好きだったが、今は2番目の
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
この部分が気になって仕方ない
ついつい今の自分に置き換えている
誰も聞いていないと知りながら語ることの辛さ ・寂しさ ・孤独
甘いだけではない寂寥感を感じさせるこのソネット
これを美しいと感じてしまうメンタリティーの人たちは
きっとたくさん傷ついたことだろう
確かに存在した何か美しいもの
それに対する郷愁
それは安易なポジティブな言葉の羅列よりも人の心に訴えかける
昔子供だった大人は
何か大切な事を忘れてしまってはいないか?
弱々しい中にも覚悟を感じられる大好きなソネット
ほんと美しい!