行動経済学の研究者であるダニエル・カーネマンによれば
「人間は得より損のほうに強く反応する」傾向があるとのことで
例えば、10万円のものを1万円まけてもらって得をした場合と、
10万円で買ったものが近くの店で9万円で売っていることが分かり、
1万円損をした気分になるのとでは、多くの人は、前者の得した気分より、
後者の損をした気分のほうが強く感じるだろうし、後々まで尾をひく。
心理学の実験では、損のインパクトは得のインパクトの2.25倍だそうだ。
(「損の影響は得の約2倍」、経済心理学のススメ)より
これを現在の新城市の問題一つの事柄に当てはめて考えてみる
新城市では新東名高速道路を利用した名古屋直行バスの運行が
市のお金を使い実施されている(今のところ実証実験として)
この費用が年間約3800万円ほどで、利用者は一便あたり7人前後と少なく
空気を運んでいるとの批判が出ている
そんな批判のあるなか、市は継続か中止かの判断を迫られている
(来年度の予算案に入れるかどうかということ)
総合的な判断のために市はいろんな人の意見を聞いているが
その中に利用者の声がある
当たり前の話だが利用者の評価は高い
今まで使っていたものがなくなっては困る
これが利用者の大半の声だろう
そこで出てくるのが冒頭の「損した気分のインパクトの強さ」の問題
不効率で税金は別の分野に回すべきとの中止意見に対して
利用者の今まであったものがなくなる「損した気分」の力は強く
この問題を総合的に考えることを難しくしている
継続すれば自分にとっては有利だが、果たしてそれが市にとって
正しいことなのだろうか?
批判的な意見の持ち主は、利用者もこうした広い視点から考えるべきと口にする
しかし、損する(既得権を失う)ということは、そんなに簡単に他人事のように
考えるられるようになることではない
そうなるには、多分、自分自身の感情のコントロールとか理屈に従う訓練が
必要なんだろうと思われる
自分は損をしてもこうあるべき!
そのように信念をもって行動できるようになるのは難しいが、それができる人は尊敬できそう
(議員さんや首長がこのような人たちであれば良いのだが)