我が家は長女、長男、次女、三女と続いた「きょうだい」
(きょうだいという漢字は我が家に適応するものがない)
行動的な長女、夢想家の長男、何故か金銭的に運が良い次女
最後はしっかり者で優しい三女で、母が一番頼りにしたのが三女だった
それは近所に嫁いだという理由だけでなかった
長女と次女は父系統、長男と三女は母系統の性格を持っていたようで
自分と三女は本をよく読んだが、現実対応主義の長女と次女は
生活力がたくましかった
三女はとても優しい人で、小さな時、お人形さんを背負って遊んだり
パンダのぬいぐるみを何度も洗って、長いこと大事にしていた
三女も結婚して、それからの時間のほうが長くなって
二人の男の子の母になっても、相変わらずしっかり者で優しい人で
老齢の母を気遣って定期的に我が家にやってきた
その優しい妹が1月31日、永遠の眠りについた
膵臓癌のステージ4とわかったのが7月、それから治療を受けたが
悪性の癌の進行は速く、抗がん剤治療は効果を発揮しなかった
死の数日前、義理の弟が、妹が意識のある内に会ったほうが良い
との医師からのアドバイスを受けて、母とすぐ下の妹とホスピスまででかけた
妹は苦しそうに眠っていた
妹のそばに行って手を持ってかけた言葉は、母も妹(次女)も
「今まで、ありがとうね」だった
一瞬、目を覚ましトイレに行きたいと口にし、看護婦さんの手を借りて
トイレに行ったが、僕たちを認識したようには思えなかった
自分はそれから翌日も、顔を出すようにした
行くといつも苦しそうに眠っていて、自分が知っている妹の顔ではなかった
呼吸が止まってしまうのが怖くて逃げ出したくなるときがしばしば有った
1月31日、すぐ来るようにと義弟から電話があった
この日が運命の日だと医者から言われたそうだ
部屋に着くと妹はいつものように眠っていた
でもいつものような人相ではなく、自分らが知っている妹の顔だった
そしてそれが生きている妹の最後の姿だった
2月1日、通夜
2月2日、葬式が行われた
自宅まで運ばれた妹は、奇跡なくらいきれいだった
丁寧にお化粧してもらえただけでなく、妹の内面が滲み出ているような気がした
昨日のお葬式は2つの印象的なことがあった
一つは戒名がわかったときのことで、妹のそれは「優情純深大姉」と書かれていた
それを確認した刹那、この戒名は妹を奇跡的なくらい現していると泣きそうになった
優しくて情が深く、純粋だった妹、、見ている人は見ている、、
それは妹への最高の贈り物のように思われた
もう一つは最後のお別れで棺に花を飾る時、そこには孫たちから送られた手紙に混じって
胸から足にかけての習字の大きな文字がかけられていた
そこに書かれていたのは「平和な世界」という文字だった
穏やかな妹、これもまさに妹を現していて、この文字が偶然選ばれたとしても
このときに使われることになったことに、運命の不思議さを感じた
広い視野をもった妹、彼女も世界がこうであることを願う人だった
妹は今まで他の葬式で見たような別人となった例とは違い
奇跡的なくらい品のある穏やかな、いつもの妹の顔をしていた
そして泣けて仕方ないと思う反面、ものすごく広い視野の持ち主が
すべてを考慮した上でのはからいのような気がしてしまった
そしてそれらはあるべきところにある、、そんな気さえした
(自分は神の存在を信じているのだろうか?)
戒名の「優情純深大姉」
そして棺に収められた「平和な世界」
これらはきっと一生覚えていることだろう
一つは妹を現している言葉として、
もう一つは妹が今望んでいることとして、、
妹は、このような人だった
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