安倍晋三の10/20遊説「政権喪失時、看板を掛け替えて誤魔化さず、政策を磨いて鍛えた」結果が格差社会

2017-10-21 10:05:42 | Weblog

 ――安倍晋三は第2次安倍政権5年でパンドラの箱を開けて希望だけを残し、格差という災いを振り撒いた――

 安倍晋三の10月20日(2017年)の神奈川県厚木市の遊説演説を10月20日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。   

 安倍晋三「2009年、私たちは政権を失った。あの時、私たちは決して看板を掛け替えて誤魔化そうと考えず、深刻に反省し、ひたすら政策を磨いて鍛えてきた。

 この選挙は、地域を誰に託すのか、どの候補者が信用できるのかを問う選挙だ。当選するためにかつての責任がなかったかのように看板をかえるような候補者か、どんなに苦しくても自民党で自分の信念と政策を推進してきた候補者か。

 本当に厳しい選挙だが、どうか皆さんのお力を賜りたい。子どもたちがみずからの努力で未来をつかみとることができる社会、働きたい人が働くことができる社会こそ、希望ある社会だ。そういう社会を一緒にもっと進めていこう」

 「決して看板を掛け替えて誤魔化そうと考えず、深刻に反省し、ひたすら政策を磨いて鍛えてきた」その政策の行き着いた先が格差社会とは、余りにも酷いではないか。

 格差社会を背負いながら、なお政権を担当しようとしている。余りにも厚顔無恥ではないか。

 「NHK NEWS WEB」が「Business特集」の名目で《いざなぎ超え データで探る中間層の実像》なる記事を載せいていた。現在リンク切れとなっていて、閲覧できないが、日本の景気は4年10カ月に亘って拡大し、「いざなぎ景気」を超え、企業の経常利益は2013年度から4年連続で過去最高を更新、企業の貯金である「内部留保」は2012年度から5年連続で過去最高、2016年度の企業の蓄えは400兆円を超え、株価は2倍以上等々、各統計や各指標を見ると、景気は回復しているように見える。

 その一方で景気の実感がないという多くの声を解き明かすために各年度の厚生労働省統計「国民生活基礎調査」の「所得金額階級別世帯数の相対度数分布」から所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値である世帯年収の「中央値」の変化を見ることで、日本の「中流世帯」「中間層」が置かれている状況を見てみるという内容になっている。

 ご存知のように世帯年収から年金や医療など社会保障の保険料が引かれて、手取りはそれ相応に目減りすることになる。世帯年収=可処分所得とはならない。

 各年の世帯年収「中央値」

 1987年 435万円  バブル
 1988年 453万円  バブル
 1989年 471万円
 1990年 500万円
 1991年 521万円
 1992年 549万円
 1993年 500万円
 1994年 545万円
 1995年 550万円  阪神大震災
 1996年 540万円
 1997年 536万円
 1998年 544万円
 1999年 506万円
 2000年 500万円
 2001年 485万円
 2002年 476万円
 2003年 476万円
 2004年 462万円
 2005年 458万円
 2006年 451万円
 2007年 448万円  リーマンショック
 2008年 427万円
 2009年 438万円
 2010年 427万円
 2011年 432万円  東日本大震災
 2012年 432万円
 2013年 415万円
 2014年 427万円
 2015年 428万円
 
 1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51カ月間のバブル期1987年の世帯年収「中央値」435万円がバブルが弾けたあとの1995年に550万円と最高額を記録した後、年々下がっていき、2001年に500万円を切って485万円、そこから2013年の415万円まで下がって、次の年に12万円上昇して2014年に427万円、2015年に更に1万円プラスされて428万円となっている。

 但し12万円上昇と言っても、月に1万ずつで、世帯年収「中央値」以下はその殆どが年収400万円以下の世帯で、2013年58.3%、2014年56.9%、2015年同率の56.9%と全世帯の50%を超えている。

 記事は次のように解説している。

 〈共働きの世帯は年々増え、1992年に専業主婦世帯を上回り、今は1100万世帯を超えています。専業主婦世帯のおよそ1.7倍です。高齢化が進み、年金生活などで収入が低い「高齢者世帯」が増えているという事情はもちろんありますが、グラフからは、共働きが増えているのに、中間層の世帯年収は下がっている、という姿が浮かび上がってきます。

 何人かの経済の専門家に聞きましたが、非正規で働く人が増えていることを理由に挙げる人が何人もいました。年功序列型の賃金カーブに乗れず、年を重ねても、所得が伸びない人が増えてきていることが、データの裏に見えるというのです。夫婦2人で非正規雇用という若い世代が増えていることも指摘しています。

 「中間層の年収が下がると、消費は停滞せざるをえない。非正規雇用が増えたことで、将来への不安が高まり、住宅や車など大きな投資もしづらくなっている」と影響を指摘しています。〉――

 共働きの世帯の増加は世帯収入を増やし、世帯年収の「中央値」を引き上げて、その分個人消費を活発にしていいはずだが、そういった状況になっていないばかりか、全世帯の半数以上が世帯年収の「中央値」以下で、「中央値」自体の世帯年収が個人消費が盛んだった1995年550万円のピークに比べ122万円も少なくなっているという逆の状況を呈している。

 122万円というハンパではない減収との比較を見ただけでも、2013年世帯年収「中央値」415万円+12万円=2014年世帯年収「中央値」427万円+1万円=2015年世帯年収「中央値」428万円のそれぞれの増額は、ここから社会保険料やその他の税金が差し引かれるとなると、到底取り戻したという感覚にはなれない金額に見えてくる。

 そしてこの取り戻したという感覚になれない不足感が消費活動を抑制する装置として働くことになる。

 一方で株高・円安で高額所得者は元々の高額の所得の上に更に所得を膨らませている。格差の状況が生まれて当然である。低迷していた個人消費がここに来て僅かばかり上向いたのは大多数派の中間層以下の国民ではなく、少数派の高額所得者がその多くを担っているからだろう。

 数から言って大多数派の中間層以下の国民が僅かずつでも個人消費を活発化させていたなら、数が多い分、その数値は大きく上向くはずだが、逆に少数派の高額所得者が少しぐらい高額の消費を行っても、数が少ない分、その数値にさしたる影響を与えることはないからだ。

 再び言う。安倍晋三は「2009年、私たちは政権を失った。あの時、私たちは決して看板を掛け替えて誤魔化そうと考えず、深刻に反省し、ひたすら政策を磨いて鍛えてきた」とさも有能な政権担当政党であるかのように大言壮語しているが、第2次安倍政権5年でパンドラの箱を開けて希望だけを残し、格差という災いを振り撒いたに過ぎない。

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安倍晋三街頭演説:円安恩恵の訪日外国人数を誇るが、プラスマイナスの二面性に気づかないアベノミクス自慢

2017-10-20 11:01:44 | 政治

 2017年10月19日付19時01分の「NHK NEWS WEB」記事が同日の各党代表、あるいは代表の各地での街頭演説を伝えている。安倍晋三のみ拾ってみる。 

 京都府城陽市での街頭演説

 安倍晋三「観光客もずいぶん増えた。800万人だった海外からの観光客はいま2400万人。おそらく、もっと増えていくと思う。この海外からの観光客がずいぶんお金を使っている。

 日本人は1人平均5万円だが、外国人は15万円使う。全国では今なんと4兆円も使っている。前政権時代にはたった1兆円だった。もっともっとおそらく伸びていくと思う。

 この近畿にも平等院があり、来月には熱気球フェスタというものもあると聞いているが、ぜひ海外からきてもらい、帰りには茶だんごでも買って、抹茶ソフトもついでに食べてもらう。こうやってこの地域にもどんどんお金を落としてもらいたい」

 「時事ドットコム」「首相動静(10月19日)」)を見ると、京都府城陽市での街頭演説は大型量販店「アル・プラザ城陽」前で午後2時36分から3時12分まで36分間行われたようだ。    

 城陽市以外は奈良県生駒市、大津市、京都市西京区などで街頭演説を行い、昼飯は午後1時35分から奈良市の「お好み焼・鉄板焼 きん太 奈良二条大路店」で秘書官と摂り、その後利用客や従業員と記念撮影をしたそうだ。終始ご機嫌のいい表情を浮かべていたに違いない。

 安倍晋三のこの訪日観光客自慢は日本政府観光局の10月18日の発表を早速利用したものなのだろう。都合の良い統計は何でも利用するが、都合の悪い統計はスルーする。

 日本政府観光局が発表した9月の推計訪日客数についての報道を2017年10月18日付「NHK NEWS WEB」記事から、その内容を見てみる。  
 
 2017年9月の訪日観光客数は9月としては過去最高約228万100人(昨年同月比+18.9%)

 国や地域別人数

 中国人 67万8300人(昨年同月比+29.9%)
 韓国人 55万6900人(昨年同月比+29.3%)

 この記事では他の国の客数は記載していないが、「日本政府観光局」のPDF記事を見てみる。   

 第3位は昨年同月比+0.1%しか増加していないが、台湾の34万7800人。以下、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドとアジア勢が続き、次いでオーストラリア、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツと欧米が続いている。

 アメリカは(昨年同月比+3.5%)の10万200人と10万人以上を記録しているが、 英国以下は3万人以下となっていて、アジアに偏った訪日となっている。

 観光庁公表の今年2017年1月から9月までの外国人旅行者消費金額は推計約3兆2700億円。この3兆超えはこれまでで最も早いペースだとしている。

 上記「NHK NEWS WEB」記事はこの増加の理由として韓国との路線でLCC=格安航空会社の増便や新規就航が相次いだことや、中国の観光客に対するビザの発給要件が緩和されたことを挙げている。

 何よりの理由は一時的に円高に触れたが、民主党政権時代から比較したなら、格段に円安となっている為替にあるはずだ。民主党政権時代の2011年はドル円相場は79円80銭にまで円高となっている。現在は112円80銭。1ドルが1.41倍になる。円安が120円に達したときは約1.5倍にもなった。

 日本円で言うと、1万円持っていると、1万5千円分の使い勝手が出ることになる。日銀の金融緩和策が円安に貢献し、その円安が貢献することになった訪日観光客数の増加である。

 2016年1年間の訪日観光客数は過去最高の2403万9 千人を記録しているから、安倍晋三が「800万人だった海外からの観光客はいま2400万人」は間違っていない。

 だが、訪日観光客数の増加によってウハウハと歓迎している一方の状況に対して円安の影響で原材料や製品そのものを輸入に頼っている生活必需品の値上がりが中低所得者の生活を直撃している現実がもう一方にある。

 厚生労働省が2017年2月22日発表の「毎月勤労統計調査 平成28年分結果確報)」によると、物価の影響を加味した実質賃金は2012年前年比-0.9%、2013年前年比-0.9%、2014年前年比-2.8%、2015年前年比-0.9%とマイナス続きで、2016年になってやっと前年比+0.7%と僅かばかり増えたのみである。  

 この要因は上記PDF記事に現金給与総額が2013年前年比-0.4%とマイナスとなっているが、2014年前年比+0.4%、2015年前年比+0.4%、2016年前年比+0.5%と3年連続で僅かずつ増えていることと原油安や円高で物価が下がったことにあるだそうだが、現金給与総額が2014年、2015年と僅かながらプラスに転じながら、同じ2014年と2015年の実質賃金がマイナスだったことは2016年の実質賃金前年比+0.7%は給与よりも原油安や円高がより貢献したプラス転換に見える。

 つまりアベノミクスの成果だと振り回して自慢する程のことはない2016年の僅かばかりの実質賃金のプラスであって、その要因の一つが円高だとしても、これまでの急激な円安をほんの少し修正した、言ってみれば円安圏内の僅かな円高であって、全般的には中低所得層を直撃している生活費高騰に一息つくことを許す程の影響を与えることができるわけではない。

 統計上、少しぐらい実質賃金が上がっても、一般生活者の可処分所得を窮屈な状況に追い込んでいることに変わりはないということである。だからこその「景気の実感を感じない」の世論調査に於けるアベノミクス評価であろう。

 アベノミクスがその程度でありながら、安倍晋三は京都府城陽市での街頭演説で、「日本人は1人平均5万円だが、外国人は15万円使う」と外国人観光客の1人当たりの消費額をアベノミクスの成果の一つに付け加えて自慢する。

 外国人の場合、少ない訪日機会で1度に多くの買い物をするという状況はあるだろうが、例えそうであったとしても、日本人観光客が日本国内の旅行で1人当たり外国人観光客よりも10万円も少ない5万円しか消費できないという数字上の差額が数字だけを意味するものではないことを考えもしない。

 日本人観光客1人平均5万円は日々切り詰めて、1円でも安いスーパに買物に行くという一般化している状況の反映でもあり、アベノミクスで拡大した経済格差によってカネに余裕のある者が観光の機会をより多く持つことができ、カネに余裕のない者が観光の機会を僅かか、全然持てない状況にあることの反映でもあるはずだ。

 要するに物事は殆どの場合、プラスとマイナスの二面を併せ持つ。一国の首相がプラスだけを言うことは、マイナスの影響を受けている国民を蔑ろにしていることになる。

 安倍晋三は都合の悪い統計、あるいは都合の悪い状況に目を向けず、都合の良い統計、都合の良い状況にのみ目を向けることでしかアベノミクスの成果とし得ないから、現在の格差社会を「真っ当な社会」と言い放つことができる。

 誤魔化しの多いアベノミクスであることに気づかなければならない。現在、安倍晋三はアベノミクスの誤魔化しを各地の街頭演説でバラ撒いている。

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安倍晋三のミャンマー・ロヒンギャ迫害に一言も物申さない価値観外交・積極的平和主義外交の正体ここにあり

2017-10-19 11:44:50 | 政治

 安倍晋三は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値に立脚した戦略的な外交」――いわゆる価値観外交を常々掲げている。

 そしてこのような価値観をベースとして国際協調主義に則った国際平和の実現を目指す積極的平和主義外交を同時に掲げている。その名前からして、積極的平和主義外交は対話を主体とした外交のように見えるが、安倍晋三が新安保法制で憲法解釈による集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の海外派兵に道を開いたように軍事的側面をも強調した積極的平和主義外交を構造としている。

 ただの平和主義ではないぞ、というわけである。

 2017年9月14日付「Newsweek」記事は、9月11日、〈ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官がジュネーブで始まった国連人権理事会の冒頭演説で、ミャンマーで起きている事態は「民族浄化の教科書的な典型例」だと糾弾した。〉と伝えている。    

 対してミャンマー政府は、勿論のことと言うべきか、〈取り締まりの対象は武装勢力で、民間人には危害を加えておらず、民族浄化は行われていない〉と否定している。

 ミャンマー政府の否定にも関わらず2017年10月11日には国連人権高等弁務官事務所はミャンマー国軍が最大宗教90%の仏教徒に対して4%のイスラム教徒少数民族ロヒンギャを国外に追放するだけでなく、帰還を阻むため、意図的に家屋や田畑を破壊・放火しているとする調査報告書を公表している。

 ミャンマーのロヒンギャ迫害は歴史的なものらしい。「Wikipedia」の記事を纏めてみると、インド支配後のイギリスは3次に亘るビルマとの戦争でビルマを支配。1942年に日本は植民地支配に苦しむビルマを解放するとの名目で侵攻、イギリス軍を駆逐し、傀儡政権を擁して事実上支配したもののイギリスの反攻に対して日本軍は仏教徒の一部を武装化。

 対してイギリス軍はイスラム教徒の一部を武装化、ビルマの西端、インド洋に面するラカイン州に侵入させ、日本軍との戦闘に利用したが、現実の戦闘はイスラム教徒仏教徒が血で血を洗う宗教戦争の状態となり、ラカイン州に於ける両教徒の対立は取り返しのつかない地点にまで至ったとある。

 以後両宗教間の憎悪を感情的な土壌とした対立は続き、一部過激派化したイスラム教徒によるミャンマー人に対する攻撃、そして多数派仏教徒のミャンマー国軍による少数派イスラム教徒に対する家屋や田畑の破壊と放火、虐殺やレイプなどの組織的な迫害と追放が続き、民族浄化の状況に至ることになっている。

 今年2017年8月25日にミャンマー西部ラカイン州で始まったロヒンギャ武装集団と治安部隊の戦闘を避けるために隣国バングラデシュに逃れたロヒンギャ難民が50万人を超えたとマスコミは伝えているが、1990年以降の難民と合わせると100万人近くに達しているようだ。

 2016年3月30日、民主的な選挙で国軍支配の前政権に勝利したが、憲法の規定により夫が外国籍であるために大統領に就任できなかったアウンサンスーチーは外相、大統領府相、国家顧問に就いて新政権の実質的指導者となったが、スー・チーの国政進出、大統領就任の阻止を企んできた国軍を掌握するまでに至らず、仏教徒がミャンマー国民の90%を占め、ロヒンギャに対する反感が強いことから無力であるらしく、長い間沈黙を守ってきたが10月12日、ロヒンギャ問題に対するミャンマー政府の対応への各国政府の批判の高まりに応じてロヒンギャの難民や国内避難民が大量に発生している事態打開に向けて自らが率いる新組織を設立し、難民の帰還や人道支援などの活動を来週開始すると発表した。

 但し各国政府の批判の中に日本政府は含まれていない。文飾は外務省。

 〈ミャンマー・ラカイン州北部における襲撃事件の発生及びラカイン州助言委員会による最終報告書の発表(外務報道官談話) 〉「外務省」/平成29年8月29日)  

1 8月25日以降,ミャンマー・ラカイン州北部各地において発生している治安部隊等に対する襲撃行為は絶対に許されるものではなく,強く非難するとともに,犠牲者のご遺族に対し,心からの哀悼の意を表します。また,現地の治安回復,住民の保護及び人道支援アクセスの一刻も早い確保を強く期待します。
2 日本政府は,コフィ・アナン元国連事務総長率いるラカイン州助言委員会による最終報告書に示された,同州の平和と安定の実現のための勧告の履行に係る,ミャンマー政府の努力を支援していきます。

【参考】
 日本時間25日午前3時30分(現地時間同日午前1時)頃から,ラカイン州北部マウンドー,ブーディータウン地区内の30箇所以上の警察拠点が,武装勢力の襲撃を受け,28日までに,一般市民を含めて100名以上の死者が発生(ミャンマー政府発表)。アラカン・ロヒンジャ救世軍(ARSA)と名乗る組織が犯行声明を発表し,ミャンマー政府はARSAをテロ組織に指定すると共に,襲撃行為を強く非難した。ラカイン州北部各地で,武装勢力による攻撃は継続しており,警察,国軍との間で衝突が発生し,数千人の避難民が発生している。

 また,24日,コフィ・アナン元国連事務総長率いるラカイン州助言委員会は,同州の恒久的な平和と繁栄の実現のための包括的な勧告を含む最終報告書をミャンマー政府に提出。ミャンマー政府は,同報告書の提出を歓迎し,勧告内容の早期履行のため検討を進める旨発表。

 〈襲撃行為は絶対に許されるものではなく,強く非難〉と太字で表記しているが、これはミャンマー政府側に立ち、アラカン・ロヒンジャ救世軍(ARSA)をテロ組織と見做して一方的に非難するものとなっている。

 軍隊が襲撃対象の家屋や田畑を徹底的に破壊、あるいは放火し、虐殺やレイプなどの組織的な迫害と追放を徹底的に行うのは廃墟化させて二度と人間が住めないような場所にすることで住民が戻ってきてテロの温床とすることができないようにするためであろう。

 だからと言って、非戦闘員まで破壊や放火を用いて、あるいは虐殺やレイプを用いて迫害することは許されない。

 国連が2017年9月14日の時点で、ミャンマー国軍によるロヒンギャ攻撃が「民族浄化の教科書的な典型例」と糾弾し、2017年10月11日にはロヒンギャを国外に追放するだけでなく、帰還を阻むため、意図的に家屋や田畑を破壊・放火しているとする調査報告書を公表しているにも関わらず、日本の外務省は2017年8月29日の日付でロヒンギャの武装勢力を一方的に非難する記事を載せたままでいる。

 安倍晋三は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値に立脚した価値観外交をベースとした積極的平和主義外交を掲げながら、ロヒンギャに対するミャンマー国軍のこのような“民族浄化”を一言も物申さすにいる。

 安倍晋三のこの沈黙は外務省の上記「外務報道官談話」に相互対応している。安倍晋三が自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値を最重要視し、そのような価値観でロヒンギャ問題を捉えてミャンマー政府に対して何か一言物申していたなら、外務省は上記内容の談話は早々に引っ込めていたはずだからだ。

 ミャンマー国軍のロヒンギャに対する“民族浄化”レベルに達している破壊と追放の迫害に一言も物申さない。安倍晋三の価値観外交・積極的平和主義外交の正体がここにある。

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安倍晋三は靖国参拝を国家指導者の責務と発言、自身の参拝・真榊奉納を私人行為とするインチキ人間丸出し

2017-10-18 06:50:50 | 政治

 安倍晋三が10月17日(2017年)から始まった靖国神社の秋の例大祭に合わせて、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で「真榊(まさかき)」と呼ばれる鉢植えの供え物を奉納したと「NHK NEWS WEB」(2017年10月17日 8時37分)記事が伝えている。    

 安倍晋三は、と記事は呼び捨てにしていないが、第2次安倍内閣が発足して以降、毎年、春と秋の例大祭に「真榊」を奉納しているほか、8月15日の「終戦の日」には自民党総裁として私費で靖国神社に玉串料を納めていて、今回の例大祭に合わせて、伊達参議院議長、加藤厚生労働大臣、水落文部科学副大臣も「真榊」を奉納したと紹介している。

 慶大商学部卒50歳、官房副長官野上浩太郎の10月17日記者会見発言を伝えている。

 野上浩太郎「総理が真榊を奉納されたとの報道は承知しているが、私人としての行動に関するものであり、政府として見解を申し上げる事柄ではない。靖国神社に参拝されるか否かは総理が適切に判断される事柄だ」

 記者「奉納の際の名前が内閣総理大臣安倍晋三となっているが、私人という見解と矛盾がないか」

 野上浩太郎「肩書を付すことは、その地位にある個人を表す場合に、慣例としてしばしば行われることであり、指摘は当たらない」

 安倍晋三の今回の真榊奉納も首相という立場で行ったものではなく、私人として行ったもので、奉納の名前を「内閣総理大臣安倍晋三」としていたとしても、慣例上、「その地位にある個人を表す場合」もあると説明している。

 会社の部長がバーか何かに一杯飲みに行って、そこで見知らぬ客と意気投合してお互いに会社の名刺を出し合って自己紹介し合う。例え自身が会社の部長であっても、あくまでも個人として行っている飲酒であり、部長という立場での意気投合ではなく、個人としての意気投合に過ぎない。

 だが、靖国神社に総理大臣の肩書で行った参拝や真榊奉納を私人行為だとしている。

 安倍晋三は自民党幹事長代理を務めていた際の2005年5月2日(日本時間3日未明)、ワシントンのシンクタンク「ブルッキングス研究所」で講演し、中国が小泉首相の靖国神社参拝の中止を求めていることについて次のように述べている。

 安倍晋三「小泉首相の次の首相も靖国神社に参拝するべきだ。国のために戦った方に尊敬の念を表することはリーダーの責務だ。

 靖国神社に参拝しても決して軍国主義になったわけでもなく、日本は戦後60年、平和な国としての道を歩んできた。中国は共産主義の国で、信教の自由がない。彼らがやっていることは内政干渉で、日中平和友好条約に違反している」――

 参拝は「リーダーの責務だ」と言っている。その「リーダー」とは断るまでもなく、「小泉首相の次の首相も靖国神社に参拝するべきだ」と言っている以上、日本の首相を指し、国家指導者たる首相としての参拝を責務としていることになる。

 「リーダーの責務だ」と言いながら、肩書だけは「総理大臣」で、行為そのものは私人としたのでは一国のリーダーの立場からの参拝、あるいは真榊奉納と言えなくなり、安倍晋三は自身の発言と矛盾することになる。と言うより、ウソをついていることになる。

 肩書と一致させた行為とすることで発言と整合性を取り得るはずだ。

 安倍晋三は「ブルッキングス研究所」の講演で「小泉首相の次の首相も靖国神社に参拝するべきだ」と主張していながら、その主張を第1次安倍政権では裏切り、第2次安倍政権発足1年後の2013年12月26日の初めての靖国神社参拝で果たしている。

 講演での発言を初めて実行に移すことができたと言うこともできる。

 参拝後、記者たちに囲まれて発言している。

 安倍晋三「私は『第1次安倍政権の任期中に靖国神社に参拝できなかったことは痛恨の極みだ』と、このように申し上げて参りました。それは総裁選に於いても、あるいは衆議院選挙のときに於いても、そう述べて参りました。その上で私は総裁に選出をされ、そして総理大臣となったわけでございます。えー、私はこれからもですね、私の参拝の意味について理解をして頂くための努力を重ねていきたいと思います」

 言っていることは、「第1次安倍政権の任期中に靖国神社に参拝できなかった」ことの「痛恨の極み」をずっと抱えてきた、「総裁に選出をされ、そして総理大臣となった」、その1年後にやっと参拝することができて、「痛恨の極み」から解放されたとの趣旨となる。

 いわば総理大臣としての参拝であることの表明以外の何ものでもない。このことを裏返すと、総理大臣としての参拝ではないと、意味は無いとしていることになる。こう解釈することで「ブルッキングス研究所」での発言と一致することになる。

 安倍晋三は参拝と同じ日付で首相官邸サイトに「安倍総理大臣の談話~恒久平和への誓い~」を載せいている。    

 要するに靖国参拝に備えて談話を前以って用意していた。

 安倍晋三「本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました」

 題名から言っても、上に挙げた談話の内容から言っても、総理大臣の立場で参拝し、「国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げた」ことを指し示している。

 靖国参拝翌年の安倍晋三の施政方針に対する2014年1月29日「参議院各党代表質問」      

 安倍晋三「靖国神社参拝と憲法の関係についてのお尋ねがありました。

 私は、靖国神社を参拝し、国のために戦って尊い命を犠牲にした方々に対して、尊崇の念を表し、御霊安かれなれと御冥福をお祈りしました。この参拝は、私人の立場で行ったものであって、また、供花代を公費から支出しておらず、憲法の政教分離原則に反する可能性があるとの御指摘は当たりません。(拍手)ありがとうございます」

 参拝は国の「リーダーの責務だ」と言い、総理大臣としての参拝でなければ意味はないとの趣旨の発言をしていながら、昨年暮れの参拝は「私人の立場で行ったもの」だと発言している。

 総理大臣でありながら、参拝が「私人の立場で行ったもの」なら、公人であることから離れた参拝ということになって、「リーダーの責務」として行う参拝ではなくなる。

 逆に国家指導者たる総理大臣を指して参拝は「リーダーの責務」としながら、「私人の立場で行ったもの」とした場合、誤魔化しの「極み」となる。これ以上の誤魔化しはないだろう。

 今回の真榊も「内閣総理大臣 安倍晋三」名で奉納しながら、私人として行ったこととし、奉納が「内閣総理大臣安倍晋三」名であったとしても、慣例上、「その地位にある個人を表す場合」があるとの理由付けで肩書と行為の食い違いを正当化している。

 一国の首相の地位にありながら、このような言っていることと実際に行っていることの矛盾、肩書と行為との公私の使い分けはインチキ人間丸出しでなければできないテクニックであろう。

 この公私の使い分けは政教一致を政教分離と言いくるめるインチキに発している。安倍晋三はインチキにインチキを積み重ねることによってインチキ人間丸出しとなった。
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二階俊博の街頭演説「黙っておれ」は民主主義でも何でもない 安倍晋三の野党議員質問へのヤジと同じ悪質性

2017-10-17 10:48:04 | 政治

 公共事業を地元利益誘導の道具とした自民党運輸族ドンの自民党幹事長二階俊博が10月14日、大阪府守口市での公明前職応援の街頭演説中にヤジを続けた聴衆を「黙っておれ」と厳しく制して、演説を中断する一幕があったと「朝日デジタル」(2017年10月14日17時29分)記事が伝えていた。

 文飾は当方。

 〈二階氏の演説が始まると、聴衆から「消費税を上げるな」とヤジが飛んだ。二階氏は最初は「ちょっと。演説中だから黙ってなさい」と控えめに注意していたが、ヤジは止まらなかった。

 二階氏は演説を中断し、「分かったから、黙っておれ」と声を荒らげた。「世の中にはいい加減な人もおる。自分も何でも持ってきてこの上に立って(演説を)やればいい。こっちがやっているときにいらんことを言うのは許されない」〉――

 二階俊博のこの咎め立てに別の聴衆が「そうだ」

 二階俊博「これが民主主義ってもんだろう。ねえ」

 そう呼びかけて演説を再開した。

 何が民主主義なのか皆目見当がつかない。聴衆が賛成できない政策を延々と述べるのを「いらんことを言」わずに最初から最後まで黙って聞くのが民主主義ということなのか。あるいは賛成できない候補者の遊説だった場合、「いらんことを言」わずに黙って去るのが民主主義なのか。

 逆に民主主義だからこそ、反対の政策にヤジを飛ばすのができるのではないのか。独裁国家だったら、反対の政策を押しつける長々とした演説に対して見咎められたら何をされるか分からないからと、その場から離れることもできず、内心の思いに反して終わりまで聞き届けて最後は手を叩いたり、両手を上に上げて「バンザイ、バンザイ」と叫んだりして賛意を示したり、歓迎をしていることを示さなければならない。

 公共事業を地元利益誘導の道具とした自民党運輸族ドンの二階俊博は「自分も何でも持ってきてこの上に立って(演説を)やればいい」と言っているが、本当にそうしたなら、許してくれるだろうか。

 許すはずはない。警戒中の警察官に排除させるのがオチだろう。

 聴衆は「消費税を上げるな」とヤジを飛ばした。そのヤジが繰返されるようだったなら、いくら穏やかな口調を用いようとも、「黙ってなさい」と沈黙を強制するではなく、消費税増税の政策遂行の側に立ち、しかも自民党幹事長に鎮座している要職者なのだから、増税の決定に至った経緯や増税の必要性を説得する臨機応変な対応が必要ではなかったのか。

 そのような対応を取っても相手が納得せずにヤジを続けるようなら、自分たちの横に招いて増税反対の主張を述べさせて、その主張に対して自分たちの意見を述べる。

 ギリギリまでそういう対応を取ってこそ、民主主義と言うものではないのか。

 もしそういう対応を取っていたなら、神対応だと持て囃されたに違いない。

 だが、神対応とは程遠く、「黙っておれ」とヤジを飛ばした聴衆を沈黙させ、「こっちがやっているときにいらんことを言うのは許されない」というおかしな民主主義を持ち出した。

 与党自民党の幹事長でありながら、道理を尽くしたとは決して言えない。

 この「黙っておれ」の沈黙の強制はヤジの聴衆に対してだけではなく、増税反対の国民の声を間接的に封じ込めるのと同じ作用をもたらしたはずだ。「いらんことを言うのは許されない」との文意を持たせて。

 もし二階俊博が結果的に相手が納得しなくても、増税の決定に至った経緯や増税の必要性を説く、至って道理を尽くす態度を見せていたなら、増税反対の国民の声に対する間接的な封じ込め作用も、「黙っておれ」と威圧的な態度を見せた二階俊博に対する反発も引き起こすことはないはずだ。

 聴衆のヤジに対して二階俊博の「黙っておれ」、あるいは「いらんことを言うのは許されない」の発言に正当性が与えられるとしたら、国会の場での野党議員の質問中に安倍晋三が総理大臣席から飛ばしたヤジに対しても同じ言葉を以ってして沈黙を強制しなければならなくなる。

 勿論、安倍晋三の自席からのヤジは民主主義でも何でもない、そのカケラさえない。なぜなら、質問に対する答弁という形で反論の機会が与えらているからで、ヤジを挟む必要性も余地もないからだ。にも関わらず、質問の途中でヤジで応酬するのはヤジで使った言葉、あるいはヤジで発信した意味内容を答弁では用いることができず、ヤジとするしかないからだ。

 例えばネットで流布しているが、2015年2月19日の衆議院予算委員会での民進党玉木一郎に対する安倍晋三のヤジを取り上げてみる。国からの補助金を受けている法人からの1年間の政治献金禁止の政治資金規正法に反して当時の農水相の西川公也(こうや)のそのような法人からの献金を玉木一郎が取り上げた。

 西川公也は献金の事実を認めたが、「補助金の交付決定を知らなかったことから、違法性の認識なかった。道義的見地から補助金を受けていたことが分かった時点で返金を済ませた」と答弁。

 玉木雄一郎は西川公也が政治献金を受けた別の法人を取り上げ、その法人が国から補助金を受けている別法人と住所が同じ、トップも同じ、役員も同じの実質同じ組織で、ダミー会社を迂回させた脱法的な献金ではないかと追及すると、西川公也はその指摘は当たらない、あくまでも別法人だと答弁。

 対して玉木雄一郎は「政治資金規正法の趣旨を考えると、こんなことを許している法律は改正すべきなんですよ」と主張。

 そのとき安倍晋三が自席から「日教組、日教組、日教組はやっているよ」とヤジを飛ばした。

 玉木雄一郎「総理、ヤジを飛ばさないでください。今、私が話していますから。ヤジを飛ばさないでください、総理。これは真面目な話ですよ。政治に対する信頼をどう確保するかの話をしているんですよ」

 大島委員長「いやいや、総理もちょっと静かに」

 安倍晋三「日教組はどうするんだよ」

 玉木雄一郎「日教組のことなんか、私は話していないじゃないですか」

 北海道5区の小林千代美民主党衆院議員の会計担当が2009年8月の衆院選に絡み、北海道教職員組合側から1600万円の資金提供を受けて選挙費用に充てていたとされる容疑で 2009年10月に札幌地検特特捜部から家宅捜索を受け、その後逮捕され、2010年2月に裁判で政治資金規正法(企業・団体献金の禁止)違反で資金提供側、資金受領側共に有罪判決が出ている。小林千代美はその責任を取って議員辞職した。

 安倍晋三はこの事件を指して「日教組はやっているよ」とか、「日教組はどうするんだよ」とかヤジったのだろう。但し「日教組」という言葉にしても、その意味内容にしても、西川公也の政治献金は日教組の政治献金みたいに悪質ではない、大したことはない、あるいは軽いもんだと免罪する思いを含んでいて、質問に対する答弁の中ではとても使うことができない言葉、あるいは意味内容だから、ヤジを使って発信するしかなかったのだろう。

 だからと言って、許されるわけではない。西川公也が国の補助金を受けている法人から政治献金を受けいてたことと日教組の過去の政治資金規正法違反事件はあくまでも別個の問題である。にも関わらず、悪質性の比較で西川公也の政治献金に絡めて大した問題ではないとしようとした。

 安倍晋三はヤジを使って理屈に通らない卑怯な振舞いに及んだに過ぎない。却ってその悪質性は計り知れない。

 二階俊博の聴衆の消費税増税反対のヤジに対して増税の決定に至った経緯や増税の必要性を増税側の政治家としての説得の役割を果たさずに「黙っておれ」と声を荒げ、こっちがやっているときにいらんことを言うのは許されない」と、それがヤジの類であったとしても一方的に抑えつけようとした悪質性とどっこいどっこいではないか。
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安倍晋三は格差社会を「真っ当な社会」と図々しくも平気で言い替えるツラの皮の厚いペテン師

2017-10-16 12:12:51 | 政治

 選挙戦初めての週末香川県坂出市での安倍晋三の遊説演説。「NHK NEWS WEB」(2017年10月14日 19時19分)     

 安倍晋三「我々が一つ一つ政策を進めた結果、民主党政権では下がったGDP=国内総生産は493兆円から543兆円と50兆円増えた。

 株価も上がり、昨日の日経平均株価は21年ぶりの高値になった。株式市場で運用している年金は、この4年半で46兆円も資産が増え、年金財政はしっかりしたものになってきた。

 国のもといである農業は統計をとって初めて3年連続で40歳以下の若い就農者が毎年2万人を超えた。若い人が自分の情熱でこの分野を切りひらいていくことができる、そう思える農業になり始めている。がんばった成果が出てくる農業、努力が実る農業に私たちは変えていく」

 「民主党政権では下がったGDP=国内総生産は493兆円から543兆円と50兆円増えた」と自慢たらたらである。

 国が公共事業を1兆円支出すると、その時点でGDPは1兆円上乗せされるという。

 第2次安倍政権の1年目の2013年度からの当初と補正合計の公共事業費はを見てみる。千円単位は切り捨て

 2013年度 6兆1140億2008万円
 2014年度 6兆4057億9972万円
 2015年度 6兆5469億8532万円
 2016年度 7兆4636億0300万円 

 合計すると、26兆5千億円程度になる。この段階で既に「50兆円増えた」と言っている半分以上の中身が公共事業費に過ぎない。

 このカネが建設業界等に回って、幾分か会社の儲けになったり、その従業員の賃金になって、それらのカネが消費に回り、小売業等の収入へと波及していく。その全てがGDPに加算されるわけではないが、各段階の付加価値がGDPに加算される。

 但しこれらの公共事業費を含めて、政府は国債を発行して賄っている。国が公共事業費や出資金・貸付金の財源に充てるために発行する建設国債の発行額を「国債発行額の推移」(当初ベース)から見てみる。    

 (単位:億円)
 2013年度 57,750  5兆7750億円
 2014年度 60,020  6兆0020億円
 2015年度 60,030  6兆0030億円
 2016年度 60,500  6兆0500億円
 2017年度 60,970  6兆0970億円
         合計 31兆2930億円
 
 公共事業費の殆どを建設国債で賄っていることになる。要するに借金で賄っている。2013年度から2017年度までの全国債発行額(建設国債+特例国債+年金特例国債+復興債+財投債+借換債)の合計は838兆1千億円

 こう見てくると、あまりどころか、全然自慢にならない「50兆円増えた」となる。だが、平気で自慢する。

 安倍晋三は「株価も上がり、昨日の日経平均株価は21年ぶりの高値になった」と言っているが、日銀が金融緩和の一環として2013年4月から開始した日本を代表する大手企業225社を対象とした株価の平均である日経平均株価連動のETF(上場投資信託)大量購入が株価を下支えしていると言われている。日経平均に連動しているゆえにETFを購入すると、「日本を代表する大手企業225社すべてに投資」するのと同じ効果が得られて、日銀が年間3.3兆円程度の購入(2016年7月には6兆円の購入 )でも株価吊り上げに効果あるという。

 株価は企業収益から導き出される価値でありながら、日銀の資金(バラ撒き)で株価を吊り上げ、吊り上がった株価で企業が収益を上げる。この構造はアベノミクスが株価反映の企業収益に殆んど役に立っていないことを意味する。

 建設国債を大量に発行して公共事業を行い、GDPをそれなりに押し上げたとしても、株価の吊り上げに日銀のETF購入に頼っている。それをアベノミクス効果に自慢げに組み入れる。

 「農業は統計をとって初めて3年連続で40歳以下の若い就農者が毎年2万人を超えた」と言っているが、一方、多方面で人手不足が生じている。僅かばかりの賃上げも企業収益が仕向けているのではなく、人手不足が演じているに過ぎない。だから、賃上げ額が僅かばかりとなる。

 このような原理を強いられていることに対して人口減少に歯止めを掛ける政策に関しては無力なのだから、「毎年2万人を超えた」は一つの現象を表面的に捉えた皮相な自慢に過ぎない。

 衆院選の投票日まで残すところ1週間となった唯一の日曜日の安倍晋三の札幌市での遊説演説を2017年10月15日付「NHK NEWS WEB」記事が紹介している。

 安倍晋三「1人の正規雇用を求める求職者に対し、1人の正規の職があるという状況を、私たちは初めて日本でつくりだすことができた。

 この前、あるお年寄りが『安倍さん、最初の孫は運が悪くて民主党政権時代に就職した。なかなか就職が決まらなくて悩んでいる孫の顔を見るのがつらかった。でも次の孫はおかげさまで行きたい会社に行けたんだよ』と言ってくれた。

 若い人たちがみずからの努力で未来をつかみ取ることができる、働きたい人が働くことができる、これこそ未来ある希望ある社会ではないか。こういうことが真っ当な社会だ。私たちはもっともっと多くの皆さんにこの景気を実感してもらいたい」――

 景気は循環して現れる。民主党政権時だけが就職難の時代ではない。「失われた20年」と言われている日本の経済低迷期は自民党政権下の1990年代初頭のバブル崩壊後から始まり、2009年9月から発足した民主党政権はその最中(さなか)にあり、その2年半後に東日本大震災が発生している。

 そしてバブル経済崩壊と共に大規模な就職難の時代を迎え、1993年頃から2005頃まで就職氷河期と称されることになった。4年後に民主党政権時代を迎えているが、一気に就職率が良くなるわけではないし、大震災が景気回復の歩を鈍らせてもいる。

 第2次安倍政権下の有効求人倍率1にしても、人手不足による囲い込みが多分に幸いしている面があり、当然、景気が少しでも悪化した場合、放り出されことになる囲い込みであろうから、手放しで絶賛できる就職状況というわけではない。
 
 にも関わらず、安倍晋三は雇用増や有効求人倍率、株高等々を根拠にかくもアベノミクスの効果を宣伝してやまない。2012年12月の第2次安倍政権発足後に始まったアベノミクス景気が1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになったと言うことだが、長いだけが自慢で、「実感なき景気」という有り難い評価を頂戴している。

 安倍晋三が好景気の謳い文句としているこれら指標に反した個人消費の低迷はアベノミクスが格差ミクス、あるいはカネ持ちに有利なカネ持ちミクスの何よりの証明であろう。

 「平成28年国民生活基礎調査の概況」((厚労省/2017年6月27日)から所得金額階級別の年収を見ると、中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は428 万円であり、平均所得金額(545 万8 千円)以下の(世帯数の)割合は2016年6月2日現在に於ける全国の世帯総数(熊本県を除く)4994万5千世帯の半数以上の61.4%が平均所得金額以下となっていることは格差の一つの状況を示している。

 しかも100万円未満から400万円の所得に占める世帯の割合は46.5%、100万円未満から300万円の所得に占める世帯の割合は33.3%で、それぞれが61.4%の半数以上を占めていることも格差の反映と言える。

 100万円未満の世帯は6.2%、約300万世帯前後で流石に少ないが、日本は経済大国と言われている。そして物価も高い。アベノミクスの円安を受けた生活必需品の値上げで苦しめられている。

 このことも格差を示すが、所得金額階級別の年収が低くなる方向に世帯数が多い傾向はアベノミクス景気によって大企業が軒並み戦後最高益を得ている好景気状況に反していて、何よりも格差の状況を示していることになる。

 このような格差社会を「これこそ未来ある希望ある社会ではないか。こういうことが真っ当な社会だ」と図々しくも平気で言い替えることができるのはペテンもいいとこで、そのツラの皮は相当厚く仕上がっているようだ。
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安倍晋三:籠池泰典が「詐欺を働く人物」であっても、国有地格安売却首相忖度の否定証明とはならない

2017-10-15 11:37:15 | 政治
 10月11日夜のテレビ朝日系「報道ステーション」党首討論で安倍晋三が森友学園問題で前理事長籠池泰典のことを「詐欺を働いた人」と呼びつけたと2017年10月13日付「朝日デジタル」記事が伝えていた。   

 対して元検事で弁護士の郷原信郎氏が、〈ブログで首相の発言を批判。取材に対し「三権分立の一角をなす行政の長が、起訴されている被告のことを、司法の場で裁かれていないのに『詐欺を働く人』と決めつけた。無罪推定の原則をおかしており、大変な人権侵害だ」と話した。〉と書いているから、具体的にどういったことを言っているのか、「郷原信郎が斬る」( 2017年10月12日)なるブログにアクセスしてみた。  

 〈昨夜(10月11日)のテレビ朝日「報道ステーション」の党首討論で、安倍首相が、「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」と発言した。内閣の長である総理大臣として、絶対に許せない発言だ。

 籠池氏は、森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給の事実についての詐欺罪で逮捕され、起訴された。しかし、刑事事件については、「推定無罪の原則」が働く。しかも、籠池氏は、その容疑事実については、完全黙秘を貫いていると報じられている。その籠池氏の公判も始まっておらず、本人に言い分を述べる機会は全く与えられていないのに、行政の長である総理大臣が、起訴事実が「確定的な事実」であるように発言する。〉――

 要するに安倍晋三は既遂判定の段階に至っていない容疑判定の段階でありながら、裁判で既遂が決定したかのように発言していると批判している。

 〈法務大臣には、個別の刑事事件に関しても、検事総長に対する指揮権がある(検察庁法14条但し書き)。その法務大臣に対して、閣僚の任免権に基づき、指揮を行うことができるのが総理大臣だ。そのような「行政の最高責任者」が、司法の場で裁かれ、判断されるべき籠池氏の詐欺の事件について、「籠池さんは、詐欺を働いた」などとテレビの総選挙に関する党首討論で、言い放ったのである。法治国家においては、絶対に許せない「首相失格の暴言」だ。〉――

 行政の長である安倍晋三が司法の領域に踏み込んで「推定無罪の原則」を破る発言をする。一種の司法侵害に当たる。民主国家と言えども、裁判官が安倍晋三の思いを忖度しない保証はない。

 郷原氏はその他に助成金の不正受給を詐欺罪で告発する異例を訴えてもいる。

 安倍晋三が番組でどういった発言をしたのか、録画しておいたが、視ないままにしておいた録画のその部分を文字に起こしてみた。文飾は当方。

 「報道ステーション」

 後藤謙次コメンテーター「森友・加計学園というのは最高責任者としての結果責任が問われていると思います。総理先程『李下の冠を正さず』と仰いましたけども、じゃあ、実際にどう正すのかという部分で、例えば森本問題では総理の指示によってもう一度検証すると、あるいは加計問題については認可問題をゼロに戻すというような決断をするお考えはないでしょうか」

 安倍晋三「先ず森友学園の問題なんですが、私が1回もお目にかかっていないということはこれはハッキリとしています。私が1回も指示していないということはハッキリしています。

 うちの妻が一度も頼んでいないということも明らかになっていることです。あと問題となっていることは松井さん(日本維新の会代表)が言われたように詐欺です。逮捕され、起訴されました。

 これからまさに司法の場で進んでいくんだろうと思います。で、(国有地売却の)値段が通常だったかどうかも、財務省がこれは民間の方々から訴えられているわけですから、捜査当局が明らかにしていくんだろうと思います。

 で、詐欺を働く人物のつくった学校の、妻が名誉校長を引き受けたことは、これはヤッパリ問題であったと、こういう人だから、騙されてしまったんだろうなと、こう思う――

 後藤謙次コメンテーター「これはね、総理がちょっと結果を出すようなケジメをつけない限り、あと延々と続いていくんじゃないでしょうか」

 ここで安倍晋三ベッタリの日本のこころの中野正志が口を挟んで、「これは規制改革ですよ」などと言って、安倍晋三を援護する。

 後藤謙次は質問がゆるい。安倍晋三が検証するとか、ゼロに戻すとか言うはずはない。

 安倍晋三は相変わらず言い抜け名人の優れた才能を見事に発揮している。「うちの妻が一度も頼んでいないということも明らかになっていることです」と無罪証明をしているが、問題となっていたことは安倍晋三の妻昭恵が森友学園が創設を予定していた小学校の名誉校長であったことから、建設用地となった国有地売却に関して売り主側の財務省の役人が安倍晋三にまで忖度の幅を広げて不動産鑑定評価額9億3200万円の約7分の1、近隣国有地の約1割程度、約1億3400万円のタタキ値で売却したのではないのかという疑惑が持ち上がっていたのである。

 この忖度疑惑は国側が地中のゴミの撤去・処理の経費として8億1900万円の値引き額を弾き出したのだが、見積もったゴミの量程に存在していなかったことが様々に指摘されいることと国側がゴミの量を満足に説明できないことから持ち上がる原因の一つとなっている。

 安倍昭恵に関して言うと、籠池泰典が当初国有地を10年期限の定期借地契約としていたが、より長い期限の契約変更を望んで安倍昭恵の携帯に電話したところ出なかったから、留守電に依頼の件を入れておいたところ、後日経済産業省出向安倍昭恵付職員の谷査恵子から連絡が入り、谷査恵子自身が財務省に赴き、依頼の件ついて動いている。

 当然、谷査恵子は安倍昭恵の指示で動いた。指示であることを伝えることで財務省側にとっては門外漢の経産省の職員が経産省とは繋がりのない用件について尋ねることができ、後に籠池泰典にFAXで返事ができたはずだ。

 財務省側は谷査恵子が安倍昭恵の意向で動いていること、安倍昭恵が森友学園の新設小学校の名誉校長となっていることと併せて安倍昭恵に対して何らかの忖度を働かせたのではないのかと疑うことができるし、首相夫人ということで、その背後にいる安倍晋三を忖度の対象としたということもある。

 忖度抜きには考えられない8億1900万円という大金過ぎる値引き額となっていることを考慮しなければならない。

 もし事実忖度があったとしたら、安倍晋三は役人たちが勝手に忖度したのだと、罪は役人側にあって、自身と妻の昭恵には罪はないとするだろうが、安倍昭恵が直接国側に口利きをしなくても、首相夫人として気をつけなければならないはずだが、忖度を誘い出しかねない疑われる行動をしている。

 当然、「うちの妻が一度も頼んでいないということも明らかになっていることです」と、このことを以って無罪証明とすることはできないはずだ。

 安倍晋三は森友学園森友泰典のことを「詐欺です。逮捕され、起訴されました」と言い、「詐欺を働く人物のつくった学校の、妻が名誉校長を引き受けたことは、これはヤッパリ問題であったと、こういう人だから、騙されてしまったんだろうなと、こう思う」と妻安倍昭恵を被害者に仕立てている。

 現在は削除されているが、森友学園のウェブサイト「瑞穂の國記念小學院」の「教育理念」のページに「教育の要」として次の項目を掲げていた。

 〈天皇国日本を再認識。皇室を尊ぶ。伊勢神宮・天照大御神外八百万神を通して日本人の原心(神ながらの心)、日本の国柄(神ながらの道)を感じる。
 愛国心の醸成。国家観を確立。

 教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成(全教科の要)。道徳心を育て、教養人を育成。

 「大學」素読による人間学の習得。〉等々。

 安倍昭恵が森友学園の「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長に就任したのは2015年9月5日、辞任したことが明らかになったのは森友疑惑最中(さなか)の2017年2月24日衆院予算委員会で、「妻は、名誉校長を引き受けていることで、子どもたちやご両親にご迷惑をかけ続けることになるので辞任させていただくと、(学校側に)申し入れた」と発言したことによってだった。

 要するに2年半、名誉校長であり続けた。安倍昭恵は名誉校長就任後に「瑞穂の国記念小学院」の公式サイト内の「ごあいさつ」のページに国会で疑惑が追及されてから削除されているが、自身の言葉を載せていた。

 〈籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。

 瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。

 そこで備わった「やる気」や「達成感」、「プライド」や「勇気」が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております。〉――

 例えこの教育理念まで詐欺であったとしても、安倍昭恵は文字で書かれたこの教育理念を自らの目を通し、自らの頭で捉えて理解することで、その理念に感銘し、その内容一つ一つを信じたからこそ、名誉校長を引き受けたはずで、その自身の理解は詐欺でも何でもない。

 ここには“傾注”という積極性しか窺うことができない。当然、「こういう人だから、騙されてしまったんだろうなと、こう思う」としている加害者に対する被害者の関係はどこからも見えてこない。

 籠池泰典が例え裁判で詐欺罪が確定したとしても、このことはあくまでも籠池側の問題であって、財務省側の問題でも、安倍昭恵側の問題でもない。

 いわば籠池が詐欺を働くような人だから、財務省が騙されたとか、安倍昭恵が騙されたという関係にあるわけでは決してない。理由は断るまでもなく、詐欺と国有地格安売却に繋がったのではないかと疑われている安倍晋三に対する財務省側の忖度はまるきり別問題だからである。

 疑われている安倍晋三に対する忖度はあくまでも安倍昭恵を通して財務省側へ発信の進路を取ったと見られている。籠池泰典が例え「詐欺を働く人物」であったとしても、国有地格安売却に関して安倍晋三に対する忖度という形が何ら関与していないと断定できる否定証明とは決してならない。

 だが、安倍晋三は裁判で確定していないにも関わらず、籠池泰典を「詐欺を働く人物」と決めつけ、そのような人物であることを理由に自身に対する忖度はなかったこととする矛盾した否定証明に用いている。

 まるで詐欺同然の論理となっている。無罪証明に詐欺同然の論理を駆使する。加古池泰典に100万円寄付したとされることを含めて、まともな論理展開では無罪を証明できないからではないだろうか。

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安倍晋三の遊説日程一時非公表と妻昭恵出席演説会取材拒否は報道の自由の侵害と情報の私物化、批判封じ込め

2017-10-14 11:08:32 | 政治

森友学園・加計学園政治関与・・・・・・・


軍事的反撃・暴発を想定しない対北朝鮮圧力一辺倒外交の国家危機管理――


アベノミクス経済政策の格差拡大状況――

全てに責任を負っている国民への説明――


 安倍晋三はハッキリ言って、


     ウソつきである!

 自民党が10月5日、6日(2017年)と行った安倍晋三の街頭演説の日程を公表しなかったと各マスコミが伝えていた。その一つ、「朝日デジタル」記事から見てみる。  

 安倍晋三の遊説日程は自民党本部が首相官邸と調整して決めるそうだ。党本部は9月30日と10月3、4日に京都府などで演説した日程は前日に発表してきたが、5、6両日分は発表しなかった。

 党本部「北朝鮮問題があるので、遊説日程の最終決定がギリギリになっている」

 明らかにウソをついている。今ではウェブページに簡単に文字を書き入れてインターネット上に載せることができ、閲覧者も携帯、スマホ、パソコンを使って、書き入れた情報を瞬時に読み取ることができる。「北朝鮮問題」が事実なら、「遊説日程の最終決定がギリギリになっている」ことを断りとして書き入れておいて、遊説を聞きに行く有権者の便宜を図らなければならないはずだ。

 例えば安倍晋三が1日に幾つかの街を掛け持ちで遊説予定を立てた場合、最初の街に自宅、あるいは首相公邸から出かける時間帯にウェブページに予定表を書き入れてインターネットに載せたとしても、遊説場所の公表はギリギリになると断りさえ入れておけば、自分の街に安倍晋三が遊説に来た場合は聴きに行く予定を立てていた有権者は前以って備えておきさえすれば、公表がギリギリであったとしても、安倍晋三よりも遊説場所により早く到着できるはずだ。

 自宅、あるいは首相公邸に戻らずに宿泊はホテルからホテルへと移動する場合であっても、次の街に出発する前に公表しても、聴衆は遊説する街の住人がその多くを占めるだろうから、間に合うことになる。

 但し記事が、〈演説中に首相への抗議活動やヤジが飛んでいることも影響しているようだ。〉と書いていることからしても、安倍晋三の遊説場所に出かけて「安倍反対」のプラカードを掲げ、「安倍帰れ」、「安倍辞めろ」のヤジを飛ばしたり抗議活動を意図している熱心な反安倍派の有権者も同じようにギリギリに公表されたウェブページの情報を簡単に入手可能だから、彼らも安倍晋三の遊説に間に合うことになり、それはどの遊説先であってもついて回ることになる。

 結果的にギリギリであっても公表することにはならなかったということはヤジや抗議活動対策であって、「北朝鮮問題」は非公表を正当化するための口実に過ぎないことになる。

 安倍晋三は10月5日は日程の事前非公表にも関わらず予定していた川崎市麻生区小田急新百合ケ丘駅前の街頭演説を当日になって同市多摩区小田急向ケ丘遊園駅前に変更したという。

 自民党神奈川県連幹部「朝に党本部側から『邪魔が来るから場所を変えられないか』と連絡があった。(日程の事前公表はしなかったが)人が集まりそうだということで、ヤジや妨害への懸念から場所が急に変わった」

 何のことはない。日程の事前非公表はヤジ対策・抗議活動対策だと自分たちでバラしているようなものである。そうであるのに「北朝鮮問題があるので、遊説日程の最終決定がギリギリになっている」と体裁のいいことを言って誤魔化す。

 記事は最後に次のように解説している。

 〈党本部は「北朝鮮がミサイルを発射した時には遊説に行けなくなる。通常よりも(日程の事前発表に)慎重になっている」と説明する。だが、複数の党職員は、7月の東京都議選前日に東京・秋葉原で街頭演説をした際、日程を知って集まった聴衆の一部から「辞めろ」コールが起きた影響を指摘。「衆院選公示前に同じような映像が出るのを恐れている」と認める。〉・・・・・・

 北朝鮮のミサイル発射を考慮した場合は日程の事前発表は慎重にならざるを得ないだろうが、日程の事前発表の有無そのものは北朝鮮のミサイル発射で遊説が中止になることとは全く無関係である。確かに遊説はミサイル発射によって左右されるが、日程の公表・非公表がミサイル発射を左右するわけではないし、影響を与えるわけでもない。日程を非公表にしたとしても、北朝鮮はミサイルを発射するときは発射する。

 ミサイル発射の遊説への影響を言うんだったら、解散などしなければいい。北朝鮮のミサイル発射は止めることはできないが、遊説は解散がなければ、生じることはない。 

 単に自己正当化を図る目的で理由にならない理由を挙げて国民を納得させることができると思い込んでいる。その思い込みは国民の頭の程度を低く見ている意識がなければ成り立たせることはできない。

 要するに国民をバカにした情報操作となっている。

 北朝鮮のミサイル発射を理由とした遊説日程非公表が正真正銘の虚偽情報に過ぎなかったことが判明することになった。公示日の10月10日分から党のホームページなどで事前公表を再開したという。

 自民党関係者「幅広く聴衆を集めるには、事前告知が必要だと判断した」(「産経ニュース」/2017.10.11 07:22)     

 もし実際に北朝鮮のミサイルがいつ発射されるか、その予測不能を理由に遊説の日程を非公表にしていたが事実なら、日程非公表撤回の理由は唯一北朝鮮のミサイル開発・核開発の放棄でなければならない。「幅広く聴衆を集める」ためは理由にはならない。

 後者を理由とするということは、前者の理由が虚偽として発信した情報であることの証明でしかない。逆にヤジ対策・抗議活動対策を目的とした日程非公表であることの証明そのものとなる。

 自民党は安倍晋三を始め、ウソつきの集団のようだ。

 街頭演説は聴衆の集まり具合で演説者の人気・不人気のバロメーターとなる。ましてや首相が参加する街頭演説に聴衆が大勢集まらず、それがテレビで全国に放映されたら、少ない聴衆がそのまま首相の不人気と解釈させる情報へと様変わりしない保証はない。

 そうなるよりはヤジや抗議活動の聴衆が少しぐらい混じっていても、大勢の聴衆が集まって熱気を感じさせるぐらいでないと見栄えは悪い、背に腹は変えられないと公表に踏み切ったと言ったところなのだろう。

 国政選挙・地方選挙は公的な行事であって、「街頭演説」はその公的な行事に付随する誰に対しても公開を原則とする公的な集会であって、その公共性・公開性から言って、もし行き過ぎた内容のヤジや抗議活動が行われたなら、首相の街頭演説ともなれば、SPがついているだけではなく、警察官が警戒に当たるだろうから、彼らの判断によって連行を手段に取り締まれば済む。

 誰に対しても公開を原則とする公的な集会であるにも関わらず、虚偽の情報で日程非公表に出る行為は公開性と公共性を自分たちの都合で操作する情報の私物化と批判の封じ込め以外の何ものでもない。

 安倍晋三が命じて始めたことではない遊説日程の非公表ではないはずだから、安倍晋三首謀の情報の私物化と批判の封じ込めと言うことになる。元々情報操作・情報隠蔽・虚偽情報発信に長けた安倍晋三である。つい小賢しさが働いて発動することになった情報の私物化と批判の封じ込めの遊説日程の非公表といったところであるはずだ。

 亭主が亭主なら、女房も女房と言ったところか、安倍晋三の指示だろうが、妻安倍昭恵の場合も安倍晋三の遊説に於ける情報の私物化と批判の封じ込めに加えて報道の自由の侵害にまで手を広げている。

 2017年10月13日付「共同通信 47NEWS」    

 衆院選山口4区に立候補している安倍晋三地元事務所(山口県下関市)が10月13日までに全国遊説の安倍晋三の代理で妻の昭恵が出席している地元開催の個人演説会の取材を安全の確保などを理由に拒否する方針を下関市政記者クラブに伝えたという。

 〈事務所は、インターネット上に昭恵氏を「取り囲みましょう」と書き込まれていることなどを理由とし、「関係者と来場者らの安全確保と会の円滑な運営を図り、公正な選挙運動が害されないため」と文書で説明。「選挙運動や政見に関わる取材は候補者に申し入れてほしい」としている。〉・・・・・・・・

 対して下関市政記者クラブは方針の撤回を求めているという。

 〈インターネット上に昭恵氏を「取り囲みましょう」と書き込まれてい〉たとしても、実際に来場した場合は入場を断れば済むことを報道陣までシャットアウトする。

 森友学園国有地格安売却に関して安倍晋三に対する官僚たちの忖度が格安に繋がった原因と疑惑され、その忖度の発生が安倍昭恵が発信元となっていることから、そのことをマスコミによって取り沙汰されることを嫌ったシャットアウトに違いない。

 個人演説会にしても、それが後援会員に限って公開する決まりになっていたとしても、衆議院議員選挙という公的な行事に付随する集会である以上、そこでどのような情報が発信されたのか、後援会員だけの秘密にしていいという話にはならない。

 大体が国政選挙に関して後援会員だけの秘密にしていい政策等に関する情報は存在しない。例えそれがある一定の国民に対しては不利益となる情報の発信であったとしても、首相の代理として発信する国政選挙に関する情報である以上、国民全般に周知させて利益・不利益の評価、あるいは肯定・否定の評価を受ける義務を有していることになるからだ。

 にも関わらず、報道関係者をシャットアウトして国民全般に周知させて様々な評価の対象とすべき情報を国民全般に広く知らしめる報道の役割まで妨げる。

 報道の自由の侵害、情報の間違った専有――情報の私物化でなくて何であろう。

 さらに自ずと情報を閉じ込める作用を行うことになって、批判の封じ込めまで行っていることになる。

 例え報道関係者シャットアウトが安倍晋三の指示であったとしても、安倍昭恵が家庭内野党と称して政治的発言を繰返し、靖国神社まで参拝するその政治性から言って、亭主の指示ですで済ますことはできない、加担という形で報道の自由の侵害・情報の私物化・批判の封じ込めに深く関わった共犯と見ないわけにはいかない。

 そのような人物である首相とファーストレディを我々は抱えている。

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安倍晋三の対北圧力外交と矛盾、儀式で終わるトランプとの11月拉致被害者家族面会 選挙用に持ち出したか

2017-10-13 11:40:27 | 政治

森友学園・加計学園政治関与――


軍事的反撃・暴発を想定しない対北朝鮮圧力一辺倒外交の国家危機管理――


アベノミクス経済政策の格差拡大状況――

全てに責任を負っている国民への説明――


 安倍晋三はハッキリ言って、


     ウソつきである!

 安倍晋三が10月12日(2017年)の新潟県新発田市の遊説で11月初旬来日予定のトランプが日本滞在中に横田夫妻等拉致被害者家族と面会する意向であることを明らかにしたと、その発言全文を次の記事が伝えている。

 「産経ニュース」(2017.10.12 15:51)     

 安倍晋三「新潟といえば、横田めぐみさんを思い出す。13歳の時に北朝鮮に拉致された。ほんとにひどい話だ。お母さんの早紀江さん、お父さんの滋さんは『自分たちは、だんだん年を取った。何とかしてよ、安倍さん』。

 その思いに私は答えていかなければいけない。このお父さん、お母さんが、しっかりとめぐみさんを抱きしめる日がやってくるまで、私の任務は終わらない。この決意で全力を尽くしていく。
 昨年、ニューヨークでトランプ大統領とお目にかかったときも、そしてこの今年の2月、フロリダでトランプ大統領とゆっくり話をさせていただいたときも、めぐみさんのことも、そして拉致問題についてもお話をした。

 『シンゾー、それひどいな』。トランプ大統領はこう言ってました。そして先般のニューヨークにおける国連総会のアメリカ大統領の演説。アメリカ大統領の国連総会における演説は世界中が注目します。その場でめぐみさんについて触れてくれました。本当にうれしかった。

 その後、トランプ大統領と行った首脳会談で、私は『大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください』

 こうお願いをしましたら、その場で『分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ』。こう約束をしてくれました。

 別の「産経ニュース」記事が安倍晋三の遊説発言を受けた横田早紀江さん、その他の発言を伝えている。   

 横田早紀江さん「お話できる機会があれば、大変ありがたい。実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない。

 (トランプが9月、国連演説でめぐみさんを念頭に北朝鮮の拉致問題を指弾したことについて)演説は世界に拉致問題を知らしめた。めぐみを含め、まだ多くの被害者が捕らわれている。北朝鮮の過酷な人権侵害を伝えたい」

 西岡力救う会会長「トランプ氏が家族と面会すれば核、ミサイルと共に拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージになる」

 皮肉な言い方をすると、西岡力が発言しているように「ミサイルと共に拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージ」になったとしても、解決の有効な方法足り得る可能性は限りなくゼロに近い。

 なぜなら、拉致解決は安倍晋三やトランプが現在行っている対北朝鮮圧力外交から生まれないだろうからである。私自身は対話によって北朝鮮が核保有国であることを核不拡散条約(NPT)の締結を条件に国際社会が認めること、許し難い独裁体制ではあり、仕方がないことだが、金正恩の国家体制を保障する以外に拉致解決はないと思っている。

 いわば圧力外交からは拉致解決は生まれてこない。なぜなら、先ず第1に圧力外交は相手の心を閉ざす方向に向けるのみだからである。第2にミサイル開発・核開発と拉致解決のどちらを取るか、天秤にかけた場合、国家体制保障の唯一の方法と捉えているミサイル開発・核開発を取るだろうからである。

 ところが安倍晋三は対話を排除した圧力外交一辺倒を掲げていながら、拉致解決を言う。矛盾していることに気づかない。

 横田早紀江さんは政府から「実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない」と発言している。要するに被害者家族に話がないままに安倍晋三は新発田市の遊説で明らかにした。

 トランプが米国大統領当選を正式に認められたのは2016年12月19日だが、それに先立つ11月8日(現地)の大統領選投開票でヒラリー・クリントン氏を破って当選確実を得ている。

 当選確実後の2016年11月17日(米国時間)、安倍晋三はニューヨークを訪れてトランプとトランプ・タワーで会談している。早いとこシッポを振ってお近づきの印としたかったのだろう。

 安倍晋三が「昨年、ニューヨークでトランプ大統領とお目にかかったとき」と言っていることはこの2016年11月17日のことを指す。「今年の2月」と言っていることはトランプ政権が発足した2017年1月20日から21日後の2017年2月10日にホワイトハウスで初の日米首脳会談を行い、その後フロリダのトランプ別荘に向かい、トランプ所有のゴルフ場でゴルフを愉しんでいる。

 この両方の会談ではめぐみさんのことや拉致問題についてトランプに話をした。

 これ以後の両者の会談は2017年5月26日にイタリアタオルミーナ主要7カ国サミット(G7)出席中にトランプと首脳会談。2017年7月8日にドイツで開催の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせてトランプと首脳会談。そして国連総会に合わせてニューヨークを訪問していた安倍晋三は2017年9月21日にトランプと首脳会談。

 トランプに対しての11月訪日の際の面会要請を「その後、トランプ大統領と行った首脳会談で」行ったと言っている「首脳会談」は以上挙げた3度の首脳会談のいずれかと言うことになる。

 最初の2度の会談については「昨年」、「今年の2月」と時期を明示していながら、面会要請の時期については2017年5月26日から2017年9月21日まで4カ月も幅がある上に3度の回数がありながら、なぜ明示しなかったのだろうか。

 9月21日の会談後に行った「記者会見」で安倍晋三は「トランプ大統領の年内訪日に向けて、その調整を加速させることで一致をいたしました」と発言しているから、9月21日の会談で面会要請したのは分かるが、“いつ・どこで”を明示しなければ、国民に対する十分な説明責任とはなり得ない。    

 9月21日の首脳会談で安倍晋三が「大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください」と言い、トランプが「分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ」と約束していながら、なぜ新潟県新発田市遊説の10月12日にまで21日もあったのに、横田早紀江さんが「実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない」と言っていることから分かるように拉致被害者家族の誰一人に対しても内々に伝えもせずに伏せたままでいたのだろうか。

 勿論、トランプの訪日が決まるまで時間を要するのは分かる。相手がいいよと言ったからと言って、直ちに実現するわけではない。安倍晋三が新発田市で遊説を行った同じ日付の「朝日デジタル」記事が政府関係者の話として日米両政府が〈北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの両親の滋さん(84)、早紀江さん(81)夫妻と面会する方向で調整に入った。〉と伝えている。   

 要するに安倍晋三に対するトランプの約束を実現に向けて両政府が調整することになったということなのだろうが、トランプの訪日自体は既にスケジュールに乗っていることを示している。約束の実現如何はあくまでも訪日決定が前提になるからだ。

 訪日が決まらないのに面会の調整に入るということはないはずだ。

 9月21日の安倍晋三・トランプ首脳会談から1週間後の2017年9月28日に拉致被害者家族が首相官邸を訪れて安倍晋三首相面会、「拉致問題を最優先してほしい」と要請している。

 この面会の11日前の2017年9月17日が北朝鮮が日本人の拉致を認めた日朝首脳会談から15年の長過ぎる節目となっている。既にトランプの訪日の日程が決定していたが面会の調整はついていなかったとしても、あるいは日程が決定する前で、当然、面会を調整する段階に至っていなかったとしても、9月21日の首脳会談で既に面会を要請し、トランプの快諾を得ているのだから、拉致被害者家族に僅かでも希望を与えるために9月28日の首相官邸での面会時に「大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください」と話を持ちかけたのに対してトランプが「分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ」と快諾してくれたぐらいの話はしていいはずである。

 だが、そのような話はしなかった。いや、拉致問題が何ら進捗せずに停滞状態となっている手前からも、9月21日の首脳会談からの帰国後に「まだ決まった話ではないが、このような話は通しておいた。11月に訪日が決まらなくても、いつかは訪日することになるから、そのときは面会できるように図る」ぐらいは内々に伝えてもいいはずだ。

 だが、そういったこともしなかった。どのような知らせもせずに10月12日の新発田市の遊説で突然面会話を持ち出した。

 極くごく常識的な手順を踏んでいないことからも、新発田市遊説と同じ10月12日付の「朝日デジタル」記事が、横田夫妻と〈面会する方向で調整に入った。〉との文言で、まだ面会が決まったわけではないことを伝えていることからも、選挙にプラスを与えるために選挙用に急拵えで持ち出した面会話ということもある。

 その程度のことはいつでもする安倍晋三である。

 例え訪日トランプと面会が実現したとしても、拉致被害者家族は2006年4月に当時のジョージ・ブッシュ大統領と、2014年4月に当時のオバマ大統領と面会しているが、面会が拉致文回進展に何ら寄与はしていない。

 似たことを言うことになるが、西岡力の指摘通りに面会が「拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージ」になったとしても、圧力政策を取っている以上、メッセージ止まりであって、解決に向かうことはない単なる儀式で終わるだろう。

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安倍晋三の対北朝鮮「トランプとは『相手を驚かすことはしない』で同意」は選挙有利に進めるニセ情報

2017-10-12 10:48:05 | 政治






 安倍晋三はハッキリ言って、



     ウソつきである!





 「首相 北朝鮮への対応「相手を驚かすことはしない」日米同意」NHK NEWS WEB/2017年10月8日 5時09分) 
    
安倍総理大臣は、10月7日夜インターネットの番組で、北朝鮮情勢への対応をめぐり、「アメリカのトランプ大統領とは外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意している」と述べ、日米間で緊密な意思疎通が図られているという認識を示しました。

この中で、安倍総理大臣は、北朝鮮情勢への対応について、「当然、米中が連携していくことが求められており、私もトランプ大統領にそのように申し上げている。北朝鮮の問題で最も影響力のある中国を動かしていくことが大切であり、先般の国連安全保障理事会の決議でも中国は賛成した」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は、「アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」と述べ、日米間で緊密な意思疎通が図られているという認識を示しました。

また、安倍総理大臣は、立憲民主党などが安全保障関連法の廃止を求めていることについて、「平和安全法制を廃止すれば、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先を『最低でも県外』と言った、鳩山元総理大臣以上の衝撃を与えることになる」と述べ、日米関係に大きな影響を与えることになるという考えを示しました。

 安倍晋三の北朝鮮問題に関する発言のみを纏めてみる。文飾は当方。

 安倍晋三「(対北朝鮮対応について)当然、米中が連携していくことが求められており、私もトランプ大統領にそのように申し上げている。北朝鮮の問題で最も影響力のある中国を動かしていくことが大切であり、先般の国連安全保障理事会の決議でも中国は賛成した。

 アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」――

 北朝鮮に対して最も影響力を持っているのは中国であり、その「中国を動かしていくことが大切」だからとの理由で米中連携の必要性をトランプに進言したのはさも自身であるかのような安倍晋三の言説となっている。

 トランプ政権が発足したのは2017年1月20日。トランプは約2カ月半後の2017年4月6日、7日と米フロリダ州パームビーチの自身の別荘で習近平と初めての米中首脳会談を開いている。この首脳会談に先立ってトランプは英紙のインタビューに応じている。

 トランプ「中国は北朝鮮に対して大きな影響力を持っている。中国は北朝鮮問題で我々を助けるか、そうしないかを決めるだろう。もし中国が手助けするなら中国にとって非常に良いことだ。もし手助けしないのなら誰にとっても良くないことだ。

 もし中国が北朝鮮問題を解決しないのなら、我々がする」(Record china/2017年4月3日22時10分)   

 トランプは米中首脳会談後の4月11日に「NHK NEWS WEB」(2017年4月12日付)記事によると自身のツイッターに「中国が北朝鮮問題を解決すれば、アメリカとより良い貿易取引ができるだろうと中国の習近平国家主席に説明した。中国が協力を決断するなら、それは素晴らしいことだ。そうでなければ、中国抜きで我々が問題を解決する」

 要するに中国が北朝鮮問題を解決する代わりに米中の良好な貿易取引を交換条件とした。貿易取引を交換条件とすることができるのはアメリカ側がこのことについて両国間の貿易不均衡等を楯に相手に譲歩を迫ることのできる有利な立場、あるいは強い立場に立っていることを示す。

 逆の立場なら、交換条件とすることはできない。

 譲歩要求が例えやんわりとした態度からのものであったとしても、有利、あるいは強い立場からの要求という本質は変わらないから、一種の圧力を掛けたことになる。北朝鮮問題の解決に応じなければ、中国はアメリカとの貿易取引で苦しい立場に立たされるだろうという圧力である。

 トランプはこれ以降、中国に対して北朝鮮問題解決の圧力となる要求を様々に出している。

 対して日本の自民党政権も民主党政権も中国の北朝鮮に対する強い影響力を有していることは知っていたが、その強い影響力に“協力”を求めることはあっても、何らかを交換条件として“圧力”を掛けることはなかったし、大体が中国に対して“圧力”を掛ける交換条件も力も持ち合わせていない。
 
 両者を持ち合わせていたなら、対北朝鮮問題に応用するだけではなく、尖閣諸島周辺の日本の領海への中国公船の領海侵入問題にも応用しているはずだし、好き勝手に侵入を繰返させておくことはないはずだ。

 中国に圧力をかけて、その圧力を以てして中国に北朝鮮問題解決に努力させるという発想も力もなかった。いわばトランプが始めた一種の圧力を息遣いとして中国を代役に仕立てた北朝鮮問題解決の遠隔操作でありながら、安倍晋三はこのような遠隔操作をトランプに進言したのは自分であるかのように発言した。

 自身の外交能力をさも有能であるかのように見せ掛けたのである。勿論、選挙を有利に持っていこうとニセ情報を発信したに過ぎない。

 安倍晋三はまた、「アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」と対北朝鮮対応は非威嚇外交を主眼として日米が緊密に連携していることを明らかにしている。

 トランプは2017年9月19日に国連総会に出席、一般討論演説を行っている。文飾は当方。

 トランプ「米国は多大な力と忍耐力はあるが、自国または同盟国を守ることを強制された場合、北朝鮮を完全に破壊する以外にない。

 ロケットマン(金正恩)は彼と彼の政権のための自殺任務にいる。正義者の多くが邪悪な少数者と立ち向かうことがなければ、悪が勝利する。北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの無謀な追求は考えられないほど人命を失う全世界を脅している。米国は準備ができており、意思もあり、可能であるが、その必要がないことを望む」(アメリカ ウオッチ Yuko's Blog/2017年9月19日)  

 「自国または同盟国を守ることを強制された場合、北朝鮮を完全に破壊する以外にない」と言っている「北朝鮮を完全に破壊」「米国は準備ができており、意思もあり、可能である」は時と場合に於ける軍事攻撃の示唆以外の何ものでもない。

 安倍晋三が「相手を驚かすことはしない」ことでトランプと同意していると言っていることとは180度異なる。

 トランプの国連総会発言に対して北朝鮮は9月22日朝、国営メディアを通じて金正恩声明を発表している。

 金正恩声明「怖気づいた犬がさらに騒がしく吠えている。私を驚かせたり立ち止まらせたりするのではなく、私が選択した道が正しく、最後まで進めなければならない道であることを証明している。

 我が国をなくすという歴代で最悪の宣戦布告をしてきた以上、我々も史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に検討する。妄言に対する代価を必ず支払わせる」(NHK NEWS WEB/2017年9月22日 12時27分)

 トランプの時と場合に於ける軍事力を用いた北朝鮮完全破壊発言に対して北朝鮮はミサイル開発・核開発を思いとどまるどころか、「私が選択した道が正しく」、その道を「最後まで進める」と対抗心を剥き出しにし、その完全破壊発言を「歴代で最悪の宣戦布告」と見做させることになって、金正恩に却って強硬な姿勢を示威させることになった。

 要するにトランプの北朝鮮完全破壊発言は金正恩を「驚かす」威嚇外交の役割しか持たなかった。にも関わらず、安倍晋三はトランプとは「お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意」していると実際の状況とは正反対のことを発言した。

 日本政府が海上自衛隊のイージス艦搭載の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」と陸上自衛隊使用の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の取得方針でいることに対して2017年9月2日付けの北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が「我々の戦略兵器を脅威だと騒ぎ立て、難癖をつけている。日本は先鋭化した地域情勢を煽っていると、危機に陥りかねない。弾道ミサイルはわが国を核で威嚇するアメリカを狙ったもので、アメリカの敵視政策に積極的に同調しない限り、我々の戦略兵器を恐れることはない」と声明を発表したことは安倍晋三の強硬に主張し続けている対北朝鮮圧力外交だけではなく、いくら日本側に正当性があろうとも、日本の対北朝鮮軍備増強にしても日本側の威嚇に対する北朝鮮側の威嚇という形式を取った北朝鮮を「驚かす」威嚇外交となっていることを示す。

 もし安倍晋三とトランプが実際に「お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意」し、その通りの外交を展開していると信じ込んでいるとしたら、余っ程自己省察能力を欠いたそれぞれの国のリーダーということになって、国を指導する資格を失う。

 要するに安倍晋三のトランプとは非威嚇外交で「同意」しているはトランプへの進言と同様、ニセ情報であり、その類いの発信に過ぎない。

 どのようなニセ情報かと言うと、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況を今こそ作り上げなければならない」と10月8日(2017年)の日本記者クラブ主催の党首討論で安倍晋三が発言しているように安倍晋三の北朝鮮に対する圧力外交が北朝鮮の軍事的反撃、あるいは暴発を招く要素はなく、平和的解決を唯一の答としている手前、その答に辻褄を合わせる必要上、北朝鮮の軍事的反撃や暴発を招く場面は生じないとの意図でトランプと「『相手を驚かすことはしない』ということで同意」していると、さも非威嚇外交を展開しているかのように見せかけた、やはり選挙を有利に進めるためのニセ情報であるはずだ。

 大体が「相手を驚かすことはしない」という非威嚇外交は実質的には対話外交に基づいていなければならない。ところが安倍晋三は「対話の努力は時間稼ぎに利用された」、あるいは「今は対話する時ではない」と言って対話を全面的に排除、圧力のみを唯一有効な対北朝鮮外交としているのだから、「相手を驚かすことはしない」は土台、ニセ情報でなければ口にすることはできないし、衆院選がテーマの番組での発言だから、ニセ情報を使ってまでして選挙を有利に進めようとしている発言と見做さざるを得ない。

 安倍晋三はハッキリ言って、ウソつきである!

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