日本が主権国家として真に自立するために →日米同盟破棄→専守防衛 →自衛隊憲法明記 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認 →核政策を対話コントロール→防衛費削減 →教育費無償化財源 |
昨日2017年10月10日夜、NHK総合テレビ「ニュース7」が10月22日投開票衆院選挙で「何を訴え、どう戦うのか各党首に聞く」をニュース後半で行っていた。先ず選挙の名付けを尋ねた。安倍晋三は「日本の未来を決める選挙」と書き入れたボードを胸のところに上げた。
安倍晋三「今日本は北朝鮮の脅威、そして少子高齢化、大きな課題に直面しています。その北朝鮮の脅威からどの党が国民の命を守ることができるのか、そして少子高齢化をどの党が乗り越え、子どもたちの未来を切り開いていくことができるのか、それを決める選挙だと思います」
遊説でも同じ順序を取っているように「少子高齢化」よりも「北朝鮮の脅威」を先に持ってきて、優先課題としている。だが、少子高齢化の内政問題よりも北朝鮮の脅威という外政問題を優先するということは北朝鮮の脅威の現実化が予想され、その現実化によって少子高齢化社会に於ける国民それぞれの生活を脅かし、国民の生命の脅威、あるいは阻害へと向かうことが危惧される場合である。
その現実化に対する国家危機管理として少子高齢化という内政問題よりも北朝鮮の脅威という外政問題が優先されることになる。だが、安倍晋三は脅威の現実化――北朝鮮の暴発を計算に入れない、経済的圧力によって北朝鮮がミサイル開発と核開発を放棄して平和的解決迎えることができるかのような対北朝鮮圧力外交に終始している。
にも関わらず、北朝鮮の脅威を少子高齢化よりも優先させているということは「北朝鮮の脅威」が如何に深刻な状況にあるかを演出して、安部政権しか対処できないと国民をして思わせようとする選挙戦術なのだろう。
番組は次いで「衆院解散の決断」、「新党結成の動き」、「安部政権5年の評価」、「経済政策アベノミクスの評価」、「消費税の使途」等と順番に続くが、これらの中から安倍晋三自身が気づかずにアベノミクスは格差ミクスだと如何に告白しているかを記述するために「経済政策アベノミクスの評価」について先に取り上げ、「安部政権5年の評価」を後に持ってくることにする。
「経済政策アベノミクスの評価」
鈴木菜穂子キャスター「自民党が公約に掲げているアベノミクス5年間の実績というものを見ますと、景気の指標を示す様々な数字は上がっているんですが、ただ、依然として景気回復の実感がないという声もありますよね。
安倍さんはこういう声をどう受け止めていて、そして今後アベノミクスをさらにどのように進めていくというお考えなんでしょうか」
安倍晋三「確かにそういう声があることは私達も承知しております。しかし実際にGDP、私達が政権を取る前、かつて536兆円あったGDPは民主党政権のときに20兆円割って493兆円まで落ちた。
私達はそれを50兆円増やして(拳を握った左手を肩のところで力強く一振りする)、久々に過去最高を記録して534兆円に増やしました。これをですね、もっともっと景気を良くしていく上に消費を増やしていく上に於いて二つの不安を解消していきたい。
子育て大変、家族の介護大変――という不安を払拭していく。それはまさに幼児教育の無償化を進めていくことであり、そしてそんなに経済に恵まれていない家族に育っても、専修学校や大学にも通える、高等教育を受けることができるように真に必要な子供に限って高等教育を無償化していく。
これは確かにまさに少子化にも大変いい影響を与えるわけでありますし、子供を育てる上で色んな不安を持っている、経済的な不安を持っている人たちにとってはその不安を解消につながっていく。景気としてプラスになっていく。
もう一つはまさに社会保障制度の安定化、借金をちゃんと返していって、そして財政再建化していく。これは私たちはしっかりと進めていきますから、二つの不安に応えていくことで、個人消費も伸びていくと思います」
鈴木菜穂子は「景気の指標を示す様々な数字は上がっているんですが、ただ、依然として景気回復の実感がないという声もあり、そういう声をどう受け止めているか」を質問の一つとした。
対して安倍晋三は「確かにそういう声があることは私達も承知しております」と答えただけで、どういったことが原因でそういった構造を取ることになっているのかの具体的で丁寧な説明は省いている。
と言うよりも、説明する責任から逃げている。このことは「私も承知しております」と自分自身の問題だとせずに「私達も承知しております」と複数語として責任の分散を謀ったところにも現れている。
安倍晋三は「社会保障制度の安定化、借金をちゃんと返していって、そして財政再建化していく」と言っているが、教育費無償化の財源に消費税増税2%分の国の借金返済に充てる5分の4の約4兆円のうちの約2兆円を充てる公約を掲げたことで、タダでさえ達成困難と見られていた2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の財政健全化目標の達成がさらに遠のき、年々積み上がっていく残された国の借金が無償化の恩恵を受けた世代のツケとなって残る、負担の先送りと言われてもいる。
要するに安倍晋三はアベノミクス経済政策によってGDPを過去最高の534兆円に増やしたにも関わらず多くの国民がなぜ景気の実感を感じることができないのかの原因について満足に説明せずに自身に都合のいいことだけを並べ立てたことになる。
「安部政権5年の評価」
鈴木菜穂子キャスター「これまで5年近く長期に亘って築いてきた安部政権を振返ってご自身ではどのように評価しますか」
安倍晋三「私たちは5年前、3本の矢での策でデフレから脱却して経済を成長させていく、仕事をしっかり作っていく、賃金を上げていく、そうお約束をしました。
185万人の雇用を増やした。そして正規雇用についても1人の人が正規雇用を求めていれば、1人分の正規の雇用があるという状況、正規雇用の有効求人倍率1。これは日本史上初めて達成することができた。
有効求人倍率については我々が政権を取る前は全国で8つの都道府県しか1はなかった。それをすべての都道府県に広げていくことができました。給料も5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっていますし、最低賃金を上げていったことによってパートの皆さんの時給も過去最高となっている。
何よりもこれは素敵だなと思えるのは4月、高校・大学を卒業する皆さんの就職率は過去最高水準となっている。働きたい、仕事をしたいという人にとって仕事があるという真っ当な状況を作ることができたと思います。
これからは少子高齢化に取り組んでいける。そのために幼児教育をしっかりと無償化していく。全世代型の社会保障制度に切り込んでいくことによってこの少子化を乗り超えていく。
特に地方は少子化、人口減少に悩んでいると思います。また生産性向上、生産性向上によって中小企業の生産性を高めて行く。地方の経済の主役は中小企業です。そこで働いている皆さんの給料が上がっていくようにしていきたいと思います」――
「経済政策アベノミクスの評価」でGDPを増やした、教育無償化を進め、財政再建にも取り組んでいくと言い、「安部政権5年の評価」では、「185万人の雇用を増やした」、「有効求人倍率をすべての自治体で1にした」、「給料も5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっている」等々アベノミクスの成果を並べ立てているが、最後に「地方の経済の主役は中小企業です。そこで働いている皆さんの給料が上がっていくようにしていきたいと思います」と誓っている。
給料が「5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっている」としながら、中小企業の被雇用者の「給料が上がっていくようにしていきたい」と言わざるを得ない。
日本の企業の経営規模別割合は大企業0.3%、残り99.7%の零細企業を含めた中小企業の賃金がいわば満足に上がっていない、あるいは殆ど上がっていない賃金状況にあることからの志であろう。
このことは鈴木菜穂子の指摘した「依然として景気回復の実感がないという声」に反映されている状況以外の何ものでもない。
アベノミクスによってGDPが過去最高の534兆円を記録したとしていること、5年連続の最も高い給与水準であることなどと総合すると、否応もなしに“格差”以外の答は出てこない。
GDPにしても押し上げの最大の要因は公共投資であって、次いで企業の設備投資、GDPの6割を占めているとされる個人消費はわずかしか伸びていない。十分に伸びていれば、「景気回復の実感がないという声」はどこからも出てこない。
当然、GDOに占める企業の設備投資は大企業中心ということになって、設備投資にも格差の構造を骨格としていることになる。
安部政権は年々せっせと公共事業予算を増やし、公共事業に費やし、格差を構造としたGDPの拡大に励んできた。
安倍晋三は都合の悪い統計は隠し、都合の良い統計だけを並べ立てながら、自身は気づかずにアベノミクスは格差ミクスだと告白したのである。