北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

三陸沖で地震、マグニチュード7.2 津波注意報発令に伴い自衛隊が出動

2011-03-09 23:24:29 | 防災・災害派遣

◆E-2C等航空機16機が出動

 本日3月9日1145時、三陸沖にてマグニチュード7.3の地震が発生し宮城県では震度5弱を観測、気象庁により津波注意報が発令されたため陸海空自衛隊が航空機による情報収集に出動したとのこと。

Img_5255  地震は三陸沖で震源の深さは8km、比較的浅い震源で発生したとのことです。マグニチュードは7.3と比較的大きく宮城県で震度五弱、岩手県沿岸部でも震度四を観測するとともに津波が発生、気象庁の予測では津波の高さは50㌢程度とされていましたが、大船渡市では60㌢の津波を観測、沿岸部の民家や住民への津波による被害はありませんでしたが漁業関係での被害は養殖施設の破壊等報告されているようです。他方東京などへ長周期振動による高層建築物へのエレベータ停止等の報告があり、この種の被害へは今後東海地震や南海地震への対策へ課題を再確認させました。

Img_9146_2  日本の大都市は地震が集中する地域に意図せず必然的に構築されたそうです。日本列島は大洋における火山活動により誕生した、これは神々が混沌の中に島々を産み落としたという、日本書紀の神話における記述の部分とも概ね重なる部分なのですが基本的に火山性地形とは山岳地帯であり、そもそも平野というのはあり得ないそうです。それではなぜ日本列島に平野があるのかといいますと、それは数万年単位で地震が繰り返され山岳崩壊により平野部が誕生しているとのこと。それ以外には火砕流堆積地が平野になるようですが。

Img_8987  人口が集まる地域には大河が不可欠というのは世界の四大文明が大きな川の流域にそって発達した事を考えれば疑う余地が無いのですが、日本の地質では水が流れやすい地形は活断層の真上にある定期的に地殻変動が発生する位置であり、正直、地震が発生しやすく活断層の真上に沿って大都市が形成されているという。これらの点を踏まえますと日本列島に住む以上、災害との共生無くしてはあり得ないという事を認識せずにはいられないようですね。もっとも、大洋の弧状列島は好漁場を提供してくれますし、火山性地形は農業にも適しています、そして何よりも大洋に浮かんでいるため防備が完璧、恩恵が多いのも忘れてはなりません。

Img_8718  本日発生した地震は、三陸沖という過去に幾度も津波被害が発生している地域を震源としたものでした。防衛省では想定される津波被害に関して上空からの情報収集を期し、迅速に航空機による監視活動を実施しました。今回の地震に対して1150時に対策室を設置、1159時には霞目駐屯地を映像伝送装置搭載のUH-1が離陸しました。1201時、航空自衛隊松島基地より松島救難隊のUH-60Jが離陸し、同時に大湊航空基地からも海上自衛隊第25航空隊のSH-60J哨戒ヘリコプターが離陸しました。

Img_0372  航空機による情報収集は続いて1214時、神町駐屯地より第6飛行隊のUH-1が情報収集へ離陸し、同時に東北方面航空隊よりOH-6が離陸。なお神町駐屯地からは1221時に更に一機のOH-6が離陸し情報収集に当たっています。1220時に八戸駐屯地より更に対戦車ヘリコプター隊所属のOH-1が離陸、続く1223時に第9飛行隊のUH-1が離陸。1222時に八戸航空基地より第2航空群のP-3Cが離陸、1227時には八戸駐屯地よりAH-1Sが、霞目駐屯地からはUH-1がそれぞれ離陸し、1236時には大湊航空基地より救難ヘリコプターUH-60が加わっています。

Img_9999  三沢基地の警戒航空隊所属E-2C早期警戒機が訓練飛行を切り上げ警戒任務に展開、松島基地からは1240時にもU-125が離陸しています。1200時、陸上自衛隊第22普通科連隊より連絡要員が宮城県庁に向け多賀城駐屯地を出発、1212時に第9特科連隊の連絡要員が岩手県庁に向け岩手駐屯地を出発しました。航空機による情報収集は1503時まで継続されましたが、幸い被害は上空から観測されず、同時点で情報収集を終了、1510時に防衛省災害対策連絡室も閉鎖となっています。

Img_8801  今回の地震に伴う情報収集では、離陸予定の航空機を順次災害情報収集任務に転用するかたちで次々と離陸させた事で、広範囲の情報収集体制を確立できたことが挙げられると思います。三陸では昨年にもチリ地震に伴う津波被害があり、思った以上に潮位変化が大きかった事で報道映像に衝撃を受けた方も多かったようですが、今回は前回ほどではないにしても、養殖いかだなどの被害については津波の威力を思い知らされるようにもなっていましたね。他方、副次効果ですが自衛隊の即応性の点検にもなり、この即応能力は安全保障面での抑止力にもつながるのかな、と。

Img_0517  さてさて、この地域ですが今回の地震は想定されている宮城県沖地震とは無関係だったのですが、遠からず来る訳ですね。地震は日本列島を構成した火山とおなじ造陸運動の結果生じるもので、ここに日本列島がある限り必ず来る訳でして、いつ来るかだけが問題である訳です。一つだけ言えるのは来ない事だけはあり得ないのでして、地域に関わらず、準備だけは怠ってはいけないのでしょう。

HARUNA

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