北大路機関

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【G3X撮影速報】中部方面混成団創設12周年-大津駐屯地祭.平成最後の行事(2019-04-27)

2019-05-12 20:11:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■琵琶湖畔の砲声!訓練展示
 実は当方にとり大津駐屯地は初めて74式戦車の発砲焔を捉えたという、写真撮影では想い出の場所であったりします。

 大津駐屯地祭、中部方面混成団長へ第49普通科連隊第4中隊長が軽装甲機動車にて駆けより、車上から挙手の敬礼と共に訓練展示状況開始を団長へ報告、団長は立ち上がり答礼する事で、訓練展示が開始されます。第4中隊は49連隊唯一の軽装甲機動車化中隊です。

 UH-1多用途ヘリコプターが上空から情報収集任務に当ります、昔はOH-6D観測ヘリコプターが展開していましたが、OH-6Dの数が少なくなり過ぎ、図体大きなUH-1Jが対応しています、将来的には無人機が配備される、と信じたいのですが予算措置がありません。

 第49普通科連隊本部管理中隊情報小隊の偵察オートバイが仮設敵陣地へ素早く駆け寄り、状況を解明します。EOS-7Dには18-200mmレンズを装着し全景を撮影しますが、G3Xは35mm換算で24-600mmの高倍率ズーム性能を誇り、ここまで間近に構図を決められる。

 レンジャー展開へ。G3Xでも撮影が間に合いましたね。UH-2として現在、三重県明野駐屯地の航空学校と装備実験隊においてUH-1原型のベル204を発展させた双発のベル412を自衛隊仕様とした新型機が試験中です。永らく課題となっていたUH-1後継機ですね。

 87式偵察警戒車が盛んに74式車載機銃で探りを入れます、これが威力偵察で打ち返してきたところに敵が、沢山反撃が有れば大部隊が居ます、戦車が出てきたら、素早く引き返します。この訓練展示では、敵のT-74戦車が出てきました。74式戦車とよく似ていましたね。

 12.7mm重機関銃を搭載した1/2tトラック、通称パジェロが情報小隊を支援します、この車輛は第2中隊の所属です。重機関銃の威力は凄いものですがパジェロには一切防弾性能は無く、しかも反射し目立つフロントガラスを畳んでいない、遭遇戦という状況なのか。

 重迫撃砲中隊より120mm重迫撃砲RTが展開、情報小隊の発見した目標に対し120mm重迫撃砲による射撃準備へ取り掛かります。同時進行で様々な連隊の装備品が訓練展示会場に並びはじめまして、各装備品の展開要領と所要時間を解説放送と共に展示してゆきます。

 87式対戦車誘導弾が車載され投入です、敵にT-74戦車が居ましたからね。T-74は74式戦車に似ていますがフランスのAMX-30B1戦車とも似ていますし、アメリカの人たちからはT-62と似ているとも。87式対戦車誘導弾車載のパジェロ、間近に見ると車では大柄ですね。

 120mm重迫撃砲RT、展開を完了です。フランス設計の重迫撃砲を名古屋の豊和工業がライセンス生産したもの。空挺部隊や山岳部隊用に軽量設計され、装甲車により牽引する事で機械化部隊へも随伴できる高性能装備、普通科連隊重迫撃砲中隊に12門程配備される。

 FH-70榴弾砲の射撃、120mm重迫撃砲RTには空包はありませんがFH-70には空包が有る、大きな音がしますのでご注意ください、とのアナウンスと共に発砲し一瞬遅れ衝撃波が鼓膜を揺さぶりつつ周囲駐車場の防犯装置を反応させ、会場一同迫力驚くいつもの流れ。

 BTR-82装甲車により敵が反撃を試みます、BTR-82は82式指揮通信車に似ていますがBTR-80装甲車を思い出していただければ、と。いやBTRよりスペインのBMR装甲車に似ている、と反応が来そうですが、うむ、似てますね。フランスのVAB6×6にも似てる。

 74式戦車が敵の抵抗を排除するべく投入されました。先進国では少なくなった第2世代戦車です。ただ、自衛隊でも今津の第3戦車大隊と第10戦車大隊、日本原の第13戦車中隊、駒門の第1戦車大隊第2中隊と機甲教導連隊第4中隊、岩手駐屯地の第9戦車大隊のみ。

 92式地雷原処理車が敵の頑強な抵抗を前に突破口を拓くべく前進します、92MCVと昔は呼ばれていたのですが、最近はMCVという名称が機動戦闘車の略称となってしまったのでMBRSと呼称されるようになりました、92MCVではなく92MBRS,何度でも慣れないなあ。

 74式戦車ですが、まさか平成の終わりまで装備されるとは思いませんでした、第二世代戦車ですので暗視装置は旧式ですし、複合装甲も無く対戦車ミサイルには脆弱です。ただ、戦車ですので用途はあります。しかし戦車の運用と戦術へ訓練された乗員は更に貴重だ。

 軽装甲機動車が雄大な比良山系の新緑を背景に74式戦車と共に前進を開始します、74式戦車は後は西部方面戦車隊第3中隊くらいか、九州はこの他は全部10式に、第1戦車大隊は半分が10式戦車、北海道は全て90式と10式、この他は16式機動戦闘車へ換装された。

 96式装輪装甲車が攻撃前進へ参加します、第3戦車大隊本部の車両で大隊長と大隊幕僚が乗車する装備です、装甲が薄く路外機動性も低い装備ですが小型で高速道路を自走出来、何より世界的に見て同世代の装甲車よりも割安な国産装甲車、でも総数は足りていない。

 50両あれば普通科連隊の3個中隊と本部管理中隊の施設作業小隊や通信小隊と指揮通信用に十分、46億円必要になりますが、CH-47輸送ヘリコプターが55億円、現状十数輌程度しか取得されていませんが、普通科隊員の安全を考えれば毎年70両程調達してもいい筈だ。

 軽装甲機動車より下車戦闘準備が。車上からはMINIMI分隊機銃が牽制しつつ89式小銃を手に普通科隊員が下車し装甲車体に身を潜めます、四人乗の軽装甲機動車ですが操縦手と射手を残すと車長と小銃手の2名が下車戦闘に参加する、戦場のタクシーというべきか。

 96式装輪装甲車からも下車戦闘準備が、車体各所に増加装甲が配置されたⅡ型というものですね。取得費用は9600万円程度です、米軍のストライカー装甲車が毎年400両以上量産して140万ドル、スイスのピラニア装甲車が輸出費用で250万ドル、96式は安価とおもう。

 第49普通科連隊の突撃、絶対に実戦では犠牲が避けられない近接戦闘部隊の宿命です、こうして敵が蹂躙した国土を、陣地に立て籠もる敵を小銃で掃き出し銃剣で引き摺り出す事で奪還する。ただ、装甲車が多ければ突撃の距離を狭められ犠牲を抑えられる、多ければ。

 日本は人命重視、というが建前なのか嘘なのだろうなあ、と思うのは装甲車に予算を認められる余裕の少なさ。任務遂行能力が結果的に低くなれば戦線は拡大し長期化する、逆に充分装備が有れば戦線云々ではなく敵が来ない為に戦場とならない、どう考えるべきか。

 小銃班の小隊規模の突撃に呼号し軽装甲機動車もMINIMIを射撃しつつ前進します。下車戦闘要員が足りなければ操縦手も射手も全員下車し、軽装甲機動車に施錠し放置しつつ全員突撃するとも。その場合、軽装甲機動車は本当に放置されるのですが、運用は難しい。

 状況終了となりました。FH-70榴弾砲も砲身を水平に向けて直接照準で対戦車戦闘を、という訳ではなく撤収開始です。これらG3Xの写真はEOS-7Dの片手間に同時撮影したのですが、適当に撮影した割には良く撮れたと思う。そして駐屯地祭は装備品展示へ移りゆく。

 92式水際地雷敷設車です。そう、そうなんですが、琵琶湖上を航行してゆく様子が。驚いた、体験乗船券が配布されていましたが、毎年恒例の渡河ボート体験試乗だと思って、それよりは観閲行進の撮影位置確保を優先したのですね。今年は92式水際地雷敷設車なのか。

 強風の中強風のスロープを上がる92式水際地雷敷設車です。強風というのは海軍の水上戦闘機で、ここ大津駐屯地は海軍大津航空隊施設跡地を利用した駐屯地です。強風は1900馬力のエンジンを搭載する最強の水上戦闘機、陸上機に転用したのがあの、紫電と紫電改だ。

 92式水際地雷敷設車は沿岸部にマンタ小型機雷と似た水際地雷を敷設する車両です、上陸用舟艇等を沿岸部で阻止する為の装備で、その為に敷設車には海上を航行する性能が要求されていまして、要するに水陸両用車です。東日本大震災では、救助活動に活躍しました。

 琵琶湖とはいってもこの日はいつもの湖西線が止まる程の強風、92式水際地雷敷設車は2両が試乗に参加していましたが、迫力ある構図に。92式水際地雷敷設車の試乗は方々で行われていますが、水上での体験試乗となりますと、ここと和歌山駐屯地くらいではないか。

 92式水際地雷敷設車は不整地突破能力がそれほど高くはありません、実際和歌山駐屯地では海岸をドーザーで予め整地した砂浜から海上へ行くという。しかし、大津駐屯地はこの通り水上戦闘機用のスロープを利用しますと、順調に揚陸も展開でき迫力ある構図となる。

 南海トラフ巨大地震という将来の脅威を考えますと、水陸機動団へ配備されているAAV-7水陸両用車と共に、この92式水際地雷敷設車が重要な装備となるのでしょう。海上から上陸する92式水際地雷敷設車の写真は今回が初めて、と思ったら、ここは琵琶湖でしたね。

 体験試乗の帝王というべき74式戦車も大活躍です。90式戦車は体験乗車に対応していますが、富士地区と九州の10式戦車は先端C4I装備搭載の為に体験乗車対象外、16式機動戦闘車は乗車させる位置がありません、これも数年後には貴重な情景になるのだと考えつつ、令和時代最後の行事を散策しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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