■北朝鮮核廃絶問題,次の難題へ
北朝鮮のミサイル等20発発射、日本への北朝鮮ミサイル飛来を警戒し、イージス艦とペトリオット部隊が臨戦態勢を採った緊張が、再燃したように冷や水を感じました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/cc/98ab2d2d0cd843df4a0058bb2f5c40db.jpg)
北朝鮮が5月4日に相次いで発射したロケット弾乃至ミサイルについて、この内イスカンデル短距離弾道弾と非常に良く似た新型弾道弾が含まれている事が、本日北朝鮮側が発表した写真から判明しました。イスカンデルミサイルはNATOコードでトチカといい、ロシア軍制式名称は9K720、INF全廃条約制限により、射程500km程度と推測されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/d7/c9141c8c0e5d7172b95131d2f4b84ab9.jpg)
北朝鮮が日本海へミサイル演習、これは5月4日の日本時間0906時から1055時までの短時間で20発程度の飛翔体が観測され、一部の飛翔体は高度60kmに達したものがある事から、ロケット弾ではなく弾道弾の演習が行われた可能性がありました。当日発表の写真にも弾道ミサイルと思わしきものがあり、偽造写真の可能性を含め慎重に調べられています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/fb/3e22606af9d3f76ed66040a55dec04db.jpg)
イスカンデル短距離弾道弾は北朝鮮へは輸出されていません、ただ、非常によく似たミサイルが北朝鮮首都平壌における2018年2月の軍事パレードに登場しており、安定翼位置や弾体形状は材質に由来し単純な模倣では性能を再現する事が難しい事から、ロシアから、技術提供が行われた可能性か、可能性は低いですが第三国から技術供与の懸念もあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/fe/cac2370196037ec044a6cc1928aa7658.jpg)
日本やアメリカ、韓国への影響はない。韓国軍合同参謀本部は4日にこのように発表していますが、現実的ではありません、韓国と北朝鮮は国境を接しており、射程500kmの弾道弾は国境から400km離隔された地域から発射した場合でも韓国の首都ソウル特別市を射程へ収めており、韓国軍合同参謀本部の発表は余りに現実を無視した見解といえましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/c5/4535086447e8fd1582e8dba27054e369.jpg)
核兵器が搭載可能なミサイルとして報道されるイスカンデル短距離弾道弾ですが、この表現はあまり意味がありません、こういいますのも、核弾頭は小さなものでは自衛隊のFH-70榴弾砲でも投射可能という155mm核砲弾も存在し、弾頭だけであれば軽トラックにも積載できます。一方で北朝鮮核弾頭小型化技術は未知数、一概に搭載できるとはいいきれない。
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文在寅政権への配慮があり、韓国軍合同参謀本部は一種忖度のような発表をしているのではないか、韓国国内にはこうした論調があるとNHK報道では紹介されています。具体的には、北朝鮮の金正恩政権との良好な関係を維持したい文在寅政権が、国連制裁強化へ繋がる弾道ミサイル実験という現実を認めない乃至認めたくはない事への忖度、という推測で。
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玄武-2B弾道ミサイル、当方の視点としては文在寅政権の忖度というよりは玄武-2B弾道ミサイルの存在から韓国軍としては北朝鮮のイスカンデルミサイルとよく似たミサイルの存在を正面から向き合えないのではないか、と考えています。玄武-2B弾道ミサイルは日本ではあまり報道されませんが、韓国軍がイスカンデルミサイルを参考に開発した弾道弾です。
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韓国軍は玄武-2B弾道ミサイルを2020年代までに2000発程度整備する方針で、その目的はソウル首都圏とその外縁を射程に収める6000門ともいう北朝鮮砲兵部隊を弾道ミサイル攻撃により制圧する目的で開発されました。イスカンデルミサイルはロシアから輸出や技術供与等は在りませんが、一説に非合法手段で密輸し参考とした、ともいわれています。
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韓国側が批判を跳ね返される事を懸念したものですね。つまり、北朝鮮のミサイルの中でも特にイスカンデルミサイルと非常によく似たミサイルを実験した事を批判した場合、北朝鮮が韓国に対し、自国へ向けているミサイルを批判する、という鏡面の構図です。玄武-2Bはアメリカの反対を押し切り長距離打撃力を整備したもの故に別の問題側面も含むもの。
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トマホークミサイル等の対北朝鮮反撃手段の供与を韓国軍は過去に幾度もアメリカに要請していますが、米韓ミサイル指針として1979年に韓国が独自に北朝鮮を攻撃できないよう、ミサイル射程を制限する協定があり、再三の要請で漸く2012年に制限が部分緩和されました。ただしミサイル供与は受けられず、ロシアミサイルを参考とした一種の負い目が、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/b9/759a2ae547a7623eaf2cc227bb8b1c6d.jpg)
米韓離反工作にも発展しかねない問題、韓国側が北朝鮮のイスカンデル類似ミサイルを批判するならば、玄武-2B弾道ミサイルへの批判が跳ね返り、アメリカ側に韓国のミサイル開発を許容した事への批判が寄せられる可能性へ発展します。この場合、米朝問題とともに米韓ミサイル問題という、二国間への離間工作のような作用が、懸念されるかもしれません。なお、当方、イスカンデルミサイル見た事が無い為、本記事のそれっぽいものは自衛隊の弾道弾迎撃用のPAC-3です。
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次の難題として、玄武-2B弾道ミサイルは2009年に開発され、北朝鮮のイスカンデルミサイルと共通するミサイルが確認されたのは2018年です。韓国から秘密裏に技術供与された、とは考えませんが、今回の北朝鮮ミサイル演習は、核放棄の問題と共に弾道ミサイルを争点とする場合、韓国軍が北朝鮮へ向ける膨大な弾道ミサイルをどうするか、という問題を、突き付ける事となりそうです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
北朝鮮のミサイル等20発発射、日本への北朝鮮ミサイル飛来を警戒し、イージス艦とペトリオット部隊が臨戦態勢を採った緊張が、再燃したように冷や水を感じました。
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北朝鮮が5月4日に相次いで発射したロケット弾乃至ミサイルについて、この内イスカンデル短距離弾道弾と非常に良く似た新型弾道弾が含まれている事が、本日北朝鮮側が発表した写真から判明しました。イスカンデルミサイルはNATOコードでトチカといい、ロシア軍制式名称は9K720、INF全廃条約制限により、射程500km程度と推測されています。
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北朝鮮が日本海へミサイル演習、これは5月4日の日本時間0906時から1055時までの短時間で20発程度の飛翔体が観測され、一部の飛翔体は高度60kmに達したものがある事から、ロケット弾ではなく弾道弾の演習が行われた可能性がありました。当日発表の写真にも弾道ミサイルと思わしきものがあり、偽造写真の可能性を含め慎重に調べられています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/fb/3e22606af9d3f76ed66040a55dec04db.jpg)
イスカンデル短距離弾道弾は北朝鮮へは輸出されていません、ただ、非常によく似たミサイルが北朝鮮首都平壌における2018年2月の軍事パレードに登場しており、安定翼位置や弾体形状は材質に由来し単純な模倣では性能を再現する事が難しい事から、ロシアから、技術提供が行われた可能性か、可能性は低いですが第三国から技術供与の懸念もあります。
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日本やアメリカ、韓国への影響はない。韓国軍合同参謀本部は4日にこのように発表していますが、現実的ではありません、韓国と北朝鮮は国境を接しており、射程500kmの弾道弾は国境から400km離隔された地域から発射した場合でも韓国の首都ソウル特別市を射程へ収めており、韓国軍合同参謀本部の発表は余りに現実を無視した見解といえましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/c5/4535086447e8fd1582e8dba27054e369.jpg)
核兵器が搭載可能なミサイルとして報道されるイスカンデル短距離弾道弾ですが、この表現はあまり意味がありません、こういいますのも、核弾頭は小さなものでは自衛隊のFH-70榴弾砲でも投射可能という155mm核砲弾も存在し、弾頭だけであれば軽トラックにも積載できます。一方で北朝鮮核弾頭小型化技術は未知数、一概に搭載できるとはいいきれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/2c/1b1144d4280e54116c2e630d8ff07278.jpg)
文在寅政権への配慮があり、韓国軍合同参謀本部は一種忖度のような発表をしているのではないか、韓国国内にはこうした論調があるとNHK報道では紹介されています。具体的には、北朝鮮の金正恩政権との良好な関係を維持したい文在寅政権が、国連制裁強化へ繋がる弾道ミサイル実験という現実を認めない乃至認めたくはない事への忖度、という推測で。
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玄武-2B弾道ミサイル、当方の視点としては文在寅政権の忖度というよりは玄武-2B弾道ミサイルの存在から韓国軍としては北朝鮮のイスカンデルミサイルとよく似たミサイルの存在を正面から向き合えないのではないか、と考えています。玄武-2B弾道ミサイルは日本ではあまり報道されませんが、韓国軍がイスカンデルミサイルを参考に開発した弾道弾です。
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韓国軍は玄武-2B弾道ミサイルを2020年代までに2000発程度整備する方針で、その目的はソウル首都圏とその外縁を射程に収める6000門ともいう北朝鮮砲兵部隊を弾道ミサイル攻撃により制圧する目的で開発されました。イスカンデルミサイルはロシアから輸出や技術供与等は在りませんが、一説に非合法手段で密輸し参考とした、ともいわれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/48/1c1d60e4b4f680e9ae978de7afdcad91.jpg)
韓国側が批判を跳ね返される事を懸念したものですね。つまり、北朝鮮のミサイルの中でも特にイスカンデルミサイルと非常によく似たミサイルを実験した事を批判した場合、北朝鮮が韓国に対し、自国へ向けているミサイルを批判する、という鏡面の構図です。玄武-2Bはアメリカの反対を押し切り長距離打撃力を整備したもの故に別の問題側面も含むもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/fc/2517e820534b01e459d1041607583237.jpg)
トマホークミサイル等の対北朝鮮反撃手段の供与を韓国軍は過去に幾度もアメリカに要請していますが、米韓ミサイル指針として1979年に韓国が独自に北朝鮮を攻撃できないよう、ミサイル射程を制限する協定があり、再三の要請で漸く2012年に制限が部分緩和されました。ただしミサイル供与は受けられず、ロシアミサイルを参考とした一種の負い目が、と。
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米韓離反工作にも発展しかねない問題、韓国側が北朝鮮のイスカンデル類似ミサイルを批判するならば、玄武-2B弾道ミサイルへの批判が跳ね返り、アメリカ側に韓国のミサイル開発を許容した事への批判が寄せられる可能性へ発展します。この場合、米朝問題とともに米韓ミサイル問題という、二国間への離間工作のような作用が、懸念されるかもしれません。なお、当方、イスカンデルミサイル見た事が無い為、本記事のそれっぽいものは自衛隊の弾道弾迎撃用のPAC-3です。
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次の難題として、玄武-2B弾道ミサイルは2009年に開発され、北朝鮮のイスカンデルミサイルと共通するミサイルが確認されたのは2018年です。韓国から秘密裏に技術供与された、とは考えませんが、今回の北朝鮮ミサイル演習は、核放棄の問題と共に弾道ミサイルを争点とする場合、韓国軍が北朝鮮へ向ける膨大な弾道ミサイルをどうするか、という問題を、突き付ける事となりそうです。
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