北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【土曜詳報】アメリカ空軍嘉手納基地(4)空軍HH-60特殊戦ヘリコプター(2011.12.12)

2019-05-25 20:02:18 | 在日米軍
■海兵隊AV-8攻撃機と並ぶ
 嘉手納基地はその規模と共に誇示するように道の駅から一望の区域へ航空機を並べている点が特筆できます。

 嘉手納基地、道の駅かでな屋上展望台からは滑走路と奥の掩体地区が明瞭に見えます。F-15戦闘機等は掩体に収容されており、弾道ミサイル攻撃や巡航ミサイル攻撃から機体を防護しています。航空自衛隊のF-15Jもこれくらい厳重に防護したいものですが、ね。

 F-15C戦闘機を格納する航空掩体は一部が日本の思いやり予算、在日米軍駐留経費分担金により建設されています。一部、というのは沖縄返還前や駐留経費分担金制度前に建設された掩体がある為、ともいう。同じ防衛費なのだから那覇基地の掩体を優先したいものだ。

 第18航空団と第353航空特殊作戦群に第733空輸支援飛行隊、第82偵察飛行隊、嘉手納基地には米軍兵士と軍人家族8000名に加え国防総省文官1300名が駐留しています。同時に嘉手納基地は中国と北朝鮮弾道ミサイルの射程内にあり、此処を支えるのがグアムです。

 アンダーセン基地はグアムに置かれる中継基地で、規模も大きなものがありますが、万一嘉手納基地がミサイル攻撃により機能喪失した際には、嘉手納基地の復旧器材や予備の器材をグアムから送る事で機能を回復させる。戦略的縦深という体制が確保されています。

 F-15C戦闘機は2000年まで18機編成の飛行隊が3個、54機が配備されていました。しかし、現在は一個飛行隊が再編され24機編成の2個飛行隊、総数にして48機と若干減じた構図です。航空自衛隊那覇基地のF-15は40機程度ですが、此処まで基地の規模が違う。

 第18航空団が装備する航空機はF-15C戦闘機にE-3早期警戒管制機とKC-135空中給油輸送機、航空自衛隊ですと要撃飛行隊へ早期警戒管制機や空中給油機を装備する事は無く、空中警戒管制部隊や空中給油機部隊へ配備します。それだけにこの航空団大きさが分かる。

 第9航空団、航空自衛隊那覇基地の航空団とはF-15戦闘機の飛行隊数と総数が概ね近い水準にあるのですけれども、F-15JとF-15C,しかし戦闘機を確実に稼働させる支援体制、作戦能力を最大限発揮させる航空機、万一の際の冗長性の違いが基地規模に現れる構図です。

 KC-135空中給油機、そしてKC-10空中給油機も展開しています。将来的にはこれらの機体は新型KC-46空中給油輸送機へ置き換えられる事となるでしょう。また第18航空団にはHH-60救難ヘリコプターも配備されていまして、万一の戦闘損耗や墜落事故に備える。

 第353航空特殊作戦群はMH-60特殊戦ヘリコプターとMC-130特殊作戦機を運用しています。MH-60は自衛隊のUH-60と原型機を同じくしている機体ですが、空軍特殊作戦部隊の任務は戦闘機が主として敵勢力圏の奥地へ墜落する事案に備える戦闘救難任務を担う。

 HH-60特殊戦ヘリコプターも将来的にはCV-22可動翼機へ転換される可能性があるでしょう。CV-22は横田基地へ2018年より前方展開が開始されました。MC-130は特殊部隊の空路展開に充てる他、HH-60への空中給油に当り陸軍第1特殊作戦群の支援にも当ります。

 第733空輸支援飛行隊はC-130輸送機を運用、というよりは横田基地の兵站支援に当る輸送機部隊の包括管理を担う部隊でして、C-17輸送機を管理下へ置く場合もあります。兵站輸送と中継を同時に担いまして、空軍の嘉手納弾薬地区からの周辺地域への補給も担う。

 第18航空団は、この余裕を有する事で有事の際の基地機能拡張、環太平洋地域やアメリカ本土からの増援部隊を受け入れ、誤解を恐れずに表現するならば航空自衛隊の全戦闘機と輸送機等を一挙に受け入れても作戦運用が可能な兵站支援能力を、確保している訳ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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